赤い夕日が見送る恋しい背中
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あぁ、知らないのは、リヴァイさんだけではなかった。
知り合って1年以上が経ったけれど、月に一度、たったの数時間一緒に紅茶を飲むだけでは、知り合うことが出来ない私達がお互いにいたのだ。
それでも、こうして、その胸の内を話してくれるのは、私に知って欲しいと、そう願っているからなのだろうか。
「それに、お前は、俺の誕生日も知らないだろ。」
リヴァイさんが、ゆっくりと顔を上げた。
確かめるように私を見つめる三白眼と、視線が重なる。
「知って、ますよ。リヴァイさんのお誕生日には、
いつも調査兵の方々が贈り物のお花を買いにいらっしゃるので。
今日もきっと、父や母が、ハンジさん達に人類最強の兵士様の誕生日花を包んでいるはずです。」
「あぁ…、そうか。それもそうだな。
なら、これは知ってたか?
俺が初めてあの店に行ったのは、俺の誕生日だった。」
「…あ。」
今、思い出した。
そういえば、そうだった。
リヴァイさんが帰った後、よくお花を買いに来る眼鏡の兵士さんと物腰柔らかい兵士さんが、人類最強の兵士の誕生日祝いの花を買いに来たのだ。
だから私は、いつものように、人類最強の兵士さんの為に誕生日花を包んだ。
リヴァイさんが、その人類最強の兵士だったなんて知りもしないで———。
『たとえば、今日の誕生日花はポセイチアなんです。
花言葉には、祝福や聖なる願い、慕われる人、というのがあります。
今日が誕生日の人は、神様やすべての人に祝福されて生まれてきて、
出逢った人達に心から慕われているとても素敵な人なんでしょうね。』
私はあの日、リヴァイさんにそう言った。
そうだ。あのとき、リヴァイさんは、驚いたように目を見開いて———。
リヴァイさんから聞いたばかりの悲しい生い立ちが、私の胸をギュゥッと締め付けた。
あのとき、彼は私の話をどんな気持ちで聞いていたのだろう。
どんな風に———。
「なまえが教えてくれた誕生日花の花言葉が、
俺にとって、人生で一番の誕生日プレゼントだったことも
お前は知らないだろ。」
リヴァイさんは、それだけ言うと、また顔を伏せた。
「でも、俺はまだ欲しい。なまえから、もっと欲しいものがある。」
「欲しいもの、ですか?
あるなら言ってください。私、本当は今日もお誕生日プレゼントをあげたくて。
でも、ご迷惑だったらと思うと用意する勇気が出なくて、それで…っ。」
私は、今がチャンスとばかりに言い訳と、願望を伝えた。
すると、リヴァイさんが、ゆっくりと顔を上げて、私の方を向く。
いつもは深い藍色の瞳は、赤い夕日を映して綺麗な紫に変わっていた。
「なら、この靴を履け。」
「…それは、受け取れませんよ。
それにそれじゃ、プレゼントをもらうのは私になってしまいます。」
「違ぇ。」
「違わないですよ。私がプレゼントをあげたいのに、貰っちゃってるじゃないですか。」
「この靴を履けば、まだ歩けるだろ。」
「どこかに行きたいところがあるんですか?
そこに欲しいものがあるとか?」
訊ねる私に、リヴァイさんは「そうではない」と首を横に振った。
そして———。
「今日は、どうすればなまえの背中を見送らずに済むのか。
どうすれば、なまえと出来るだけ長く一緒に過ごせるかをずっと考えてた。」
「え…?」
「足を痛そうにしてるなまえを見て、もう帰してやろうと思ったが
やっぱり諦めきれなくて、新しい靴を買って来た。
誕生日くらいは————。」
君の背中を見送る代わりに、隣を歩いてもいいですか?
知り合って1年以上が経ったけれど、月に一度、たったの数時間一緒に紅茶を飲むだけでは、知り合うことが出来ない私達がお互いにいたのだ。
それでも、こうして、その胸の内を話してくれるのは、私に知って欲しいと、そう願っているからなのだろうか。
「それに、お前は、俺の誕生日も知らないだろ。」
リヴァイさんが、ゆっくりと顔を上げた。
確かめるように私を見つめる三白眼と、視線が重なる。
「知って、ますよ。リヴァイさんのお誕生日には、
いつも調査兵の方々が贈り物のお花を買いにいらっしゃるので。
今日もきっと、父や母が、ハンジさん達に人類最強の兵士様の誕生日花を包んでいるはずです。」
「あぁ…、そうか。それもそうだな。
なら、これは知ってたか?
俺が初めてあの店に行ったのは、俺の誕生日だった。」
「…あ。」
今、思い出した。
そういえば、そうだった。
リヴァイさんが帰った後、よくお花を買いに来る眼鏡の兵士さんと物腰柔らかい兵士さんが、人類最強の兵士の誕生日祝いの花を買いに来たのだ。
だから私は、いつものように、人類最強の兵士さんの為に誕生日花を包んだ。
リヴァイさんが、その人類最強の兵士だったなんて知りもしないで———。
『たとえば、今日の誕生日花はポセイチアなんです。
花言葉には、祝福や聖なる願い、慕われる人、というのがあります。
今日が誕生日の人は、神様やすべての人に祝福されて生まれてきて、
出逢った人達に心から慕われているとても素敵な人なんでしょうね。』
私はあの日、リヴァイさんにそう言った。
そうだ。あのとき、リヴァイさんは、驚いたように目を見開いて———。
リヴァイさんから聞いたばかりの悲しい生い立ちが、私の胸をギュゥッと締め付けた。
あのとき、彼は私の話をどんな気持ちで聞いていたのだろう。
どんな風に———。
「なまえが教えてくれた誕生日花の花言葉が、
俺にとって、人生で一番の誕生日プレゼントだったことも
お前は知らないだろ。」
リヴァイさんは、それだけ言うと、また顔を伏せた。
「でも、俺はまだ欲しい。なまえから、もっと欲しいものがある。」
「欲しいもの、ですか?
あるなら言ってください。私、本当は今日もお誕生日プレゼントをあげたくて。
でも、ご迷惑だったらと思うと用意する勇気が出なくて、それで…っ。」
私は、今がチャンスとばかりに言い訳と、願望を伝えた。
すると、リヴァイさんが、ゆっくりと顔を上げて、私の方を向く。
いつもは深い藍色の瞳は、赤い夕日を映して綺麗な紫に変わっていた。
「なら、この靴を履け。」
「…それは、受け取れませんよ。
それにそれじゃ、プレゼントをもらうのは私になってしまいます。」
「違ぇ。」
「違わないですよ。私がプレゼントをあげたいのに、貰っちゃってるじゃないですか。」
「この靴を履けば、まだ歩けるだろ。」
「どこかに行きたいところがあるんですか?
そこに欲しいものがあるとか?」
訊ねる私に、リヴァイさんは「そうではない」と首を横に振った。
そして———。
「今日は、どうすればなまえの背中を見送らずに済むのか。
どうすれば、なまえと出来るだけ長く一緒に過ごせるかをずっと考えてた。」
「え…?」
「足を痛そうにしてるなまえを見て、もう帰してやろうと思ったが
やっぱり諦めきれなくて、新しい靴を買って来た。
誕生日くらいは————。」
君の背中を見送る代わりに、隣を歩いてもいいですか?