言葉の意味は理解していても、それが自分に向けられているものとなると話は違っていた。
私は何が起こっているのか分からず、1週間前に見つけたイヤリングのことを考えていた。
だって、確かに、リヴァイの隣には、私の知らない可愛い彼女がいたのだ。
それは、イヤリングという証拠だってあるし、リヴァイが好きだと言った私のこの瞳で、しっかり見ている。
そして、彼女と堂々と付き合う為に、クリスマスに私と別れると話していたはずだ。
だから、別れ話をされるのだと覚悟を決めようと、あれから1週間、そればかり考えていたのだ。
それなのに、私は今、プロポーズをされたのだろうか。
どうして———。
リヴァイが、そっと身体を離した。
そして、私の頬を流れる涙を拭いながら、続けた。

「出逢ってからずっと、俺が愛してるのは、なまえだけだ。
　絶対に、裏切ったりしてねぇし、これからはもう不安にもさせねぇ。
　だから———、俺を信じてくれ。」

リヴァイが、私を見つめて言う。
真剣な瞳と声が、私にはどうしても、その場凌ぎだとか、嘘には思えなくて———。
それに、もしも、信じてくれと言われなくたって、私はリヴァイを信じてしまうのだ。
だって、好きだから。愛してるから————。

「さっきの…、返事…。」
「ん？」

小さく口を開いた私に、リヴァイは優しく髪を撫でながら、少しだけ首を傾げた。
まるで、小さな子供を甘やかすみたいなそれは、私が可愛くて可愛くて仕方ないって、言ってるみたいだった。
だから、私も甘えたくなる。
リヴァイの言葉と、さっきの、プロポーズ————。

「本当に…、私と、結婚、してくれるの…？」

私がそう訊ねると、リヴァイの目が、優しく細くなった。

「違ぇよ。俺がしてやるんじゃねぇ。
　俺が、なまえに、俺と結婚して欲しいんだ。」

リヴァイが、私の髪を優しく撫でながら言う。

「それで、返事を聞いてもいいか？」
「…っ、うん…っ。結婚、する…っ。したい…っ。」
「よかった…。プロポーズする前に、お前を失っちまうかと思って、焦った。」

リヴァイが小さく呟いて、息を吐く。
さっきまでは、悲しくて流れていた涙が、今度は暖かくなって私の頬を幾つも幾つも零れ落ちて行った。
すると、リヴァイが、私の目尻に唇をつけて、涙を拭う。
その仕草が、ひどく優しくて、私はまた泣いてしまった。