≪Levi生誕祭2019≫最高の誕生日プレゼントをあげる
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玄関の鍵をあけて、扉を開いた。
今朝、出勤するときは電気を消したはずの玄関は、明かりがついていた。
履き潰した冬物のサンダルの隣に、見慣れない男物の新しい靴が、とても几帳面に綺麗に並んでいる。
お酒が抜けない身体で、なんとか雑にヒールを脱ぎ捨てて、私はリビングへ向かった。
見慣れたソファやテーブルが置かれたリビングに、私は久しぶりに、リヴァイがいるのを見た。
リヴァイは、ソファに座っていた。
テーブルには、私が捨てたはずの彼への誕生日プレゼントが置いてある。
今朝、捨てたばかりだったから、リビングのゴミ箱には、それしか入ってなかったし、きっと、すぐに見つかってしまったのだろう。
グチャグチャに潰した箱は開かれていて、悩んで悩んでやっと決めた財布が、包装紙の上にポツンと置かれていた。
もうずっと古いのを使っていたから、新しいのを買ってあげようかなって、そう思ったのだけれど、本当にまだ私が知っている財布を持っているかはもう分からない。
「遅かったな。」
リヴァイが、私の方を向いた。
目は合わなかった。
私が、すぐに目を反らしたからだ。
「うん。」
視線から逃げるように言って、私はリヴァイに背を向けて、寝室へと向かった。
会いたいと思って帰ってきたはずだった。
でも、久しぶりにリヴァイの姿を見たら、怖くなった。
だって、仕事帰りの少しくたびれたスーツだって、彼が着ていたら何よりも素敵で、私の心は、また彼に恋をしてしまう。
それなのに、今から別れを告げられるなんて、そんなの、堪えられない———。
「待て…!」
飛び上がるようにソファから立ち上がったリヴァイが、私を追いかけて手首を掴んだ。
その拍子に、驚いた私が、バッグを落としてしまって、財布やスマホ、ポーチ、鍵が散らばる。
そして私は、去年、リヴァイと一緒に選んで買ったお気に入りのカーペットに、見慣れないイヤリングが落ちているのを見つけてしまった。
あの日、動揺したままスマホをバッグに投げ入れたときに、イヤリングも持って帰って来てしまったらしい。
「悪い…。」
「触らないで!」
いきなりの大声に、しゃがんでポーチを拾おうとしたリヴァイは、手をピタリと止めた。
私は、カーペットの上に腰を降ろして座って、イヤリングを拳で包むように握る。
見たくないイヤリングが、視界から消えた。
こんな風に、あの娘も、リヴァイの視界に入らなくなったら、また私を好きになってくれるのかな———。
「大切な話をしに来たんでしょう?」
カーペットの上で握った拳を見下ろしたままで、私は本題に入った。
早く終わらせてしまおうと思ったのだ。
そうすればもしかしたら、この胸に痛みとか、吐きそうなくらいの息苦しさとか、消えてくれるかもしれないと期待して。
「気づいてたのか。」
「…うん。」
「だから、俺を避けてたのか?
プレゼントを捨てたのも、そのせいか。」
リヴァイが、テーブルの方をチラリと見たのが分かった。
思わず、ギュッと拳を握ってしまったら、イヤリングのハートの飾りが手のひらに刺さって痛かった。
諦めの悪い私は、まだどこかで、リヴァイを信じてた。
そんな話なんてないって、いつものようにクリスマスを私と過ごしたかっただけだって、そう言ってくれたら———なんて愚かな願いは、呆気なく裏切られてしまった。
「違うよ。」
「あ?」
「私から、リヴァイにあげられる一番の誕生日プレゼントは、
それじゃないって分かったから、それは要らなくなっただけ。」
「一番の誕生日プレゼント?」
リヴァイが、不思議そうに言う。
私はゆっくりと顔を上げた。
久しぶりに彼と目が合う。
真正面から見たリヴァイの顔は、とても疲れていた。
目の下の隈はいつもよりも濃くなっていたし、どこかやつれたように思う。
もしかしたら、残業や休日出勤も、全てが嘘だったわけではないのかもしれない。
「だから、私から、大切な話をさせて。」
「…いい、俺がする。」
「聞きたくないの。
クリスマスなんだから、恋人のお願いくらいきいてよ。」
私がそうお願いすると、リヴァイの眉間の皴が濃くなった。
何かを考えているときの彼の表情だった。
でも、どちらにしろ、私から、告げるつもりだったから、その答えを待たずに、口を開いた。
「別れましょう。」
ちゃんとお別れを告げられるか自信がなかったけれど、私は真っすぐにリヴァイを見つめて、ハッキリとそう口にすることが出来た。
最後だと思ったら、彼を少しでも長く瞳に映したいと思ってしまったのだ。
自分から告げるはずだった別れ話を私からされたリヴァイが、息を呑んだ。
驚いた目が、ゆっくりと開いていく。
数秒、シンとした時間が過ぎた。
それは時が止まったみたいに、世界中が冷たくなったように感じた。
しばらくして、リヴァイが口を開いた。
「理由は。」
リヴァイは、私を真っすぐに見て言う。
掠れた音みたいに出て来たそれは、やっと絞り出したような声だった。
「それは、リヴァイが一番分かってるでしょ。」
私は、目を反らして答える。
「仕事で忙しくて、ずっと会ってやれなかったからか?
…その間に、他に男でも出来たのか。俺の連絡を無視するのも、だからか。」
「それ、本気で言ってるの?」
「今日もソイツと酒を飲んできたんだろ。」
リヴァイの声に、怒りが含まれた。
でも、たぶん、ピリッとした張りつめた空気を放ったのは、私だ。
「ふざけないでよ!」
私は、握った拳を持ち上げると、リヴァイの顔にイヤリングを投げつけた。
今朝、出勤するときは電気を消したはずの玄関は、明かりがついていた。
履き潰した冬物のサンダルの隣に、見慣れない男物の新しい靴が、とても几帳面に綺麗に並んでいる。
お酒が抜けない身体で、なんとか雑にヒールを脱ぎ捨てて、私はリビングへ向かった。
見慣れたソファやテーブルが置かれたリビングに、私は久しぶりに、リヴァイがいるのを見た。
リヴァイは、ソファに座っていた。
テーブルには、私が捨てたはずの彼への誕生日プレゼントが置いてある。
今朝、捨てたばかりだったから、リビングのゴミ箱には、それしか入ってなかったし、きっと、すぐに見つかってしまったのだろう。
グチャグチャに潰した箱は開かれていて、悩んで悩んでやっと決めた財布が、包装紙の上にポツンと置かれていた。
もうずっと古いのを使っていたから、新しいのを買ってあげようかなって、そう思ったのだけれど、本当にまだ私が知っている財布を持っているかはもう分からない。
「遅かったな。」
リヴァイが、私の方を向いた。
目は合わなかった。
私が、すぐに目を反らしたからだ。
「うん。」
視線から逃げるように言って、私はリヴァイに背を向けて、寝室へと向かった。
会いたいと思って帰ってきたはずだった。
でも、久しぶりにリヴァイの姿を見たら、怖くなった。
だって、仕事帰りの少しくたびれたスーツだって、彼が着ていたら何よりも素敵で、私の心は、また彼に恋をしてしまう。
それなのに、今から別れを告げられるなんて、そんなの、堪えられない———。
「待て…!」
飛び上がるようにソファから立ち上がったリヴァイが、私を追いかけて手首を掴んだ。
その拍子に、驚いた私が、バッグを落としてしまって、財布やスマホ、ポーチ、鍵が散らばる。
そして私は、去年、リヴァイと一緒に選んで買ったお気に入りのカーペットに、見慣れないイヤリングが落ちているのを見つけてしまった。
あの日、動揺したままスマホをバッグに投げ入れたときに、イヤリングも持って帰って来てしまったらしい。
「悪い…。」
「触らないで!」
いきなりの大声に、しゃがんでポーチを拾おうとしたリヴァイは、手をピタリと止めた。
私は、カーペットの上に腰を降ろして座って、イヤリングを拳で包むように握る。
見たくないイヤリングが、視界から消えた。
こんな風に、あの娘も、リヴァイの視界に入らなくなったら、また私を好きになってくれるのかな———。
「大切な話をしに来たんでしょう?」
カーペットの上で握った拳を見下ろしたままで、私は本題に入った。
早く終わらせてしまおうと思ったのだ。
そうすればもしかしたら、この胸に痛みとか、吐きそうなくらいの息苦しさとか、消えてくれるかもしれないと期待して。
「気づいてたのか。」
「…うん。」
「だから、俺を避けてたのか?
プレゼントを捨てたのも、そのせいか。」
リヴァイが、テーブルの方をチラリと見たのが分かった。
思わず、ギュッと拳を握ってしまったら、イヤリングのハートの飾りが手のひらに刺さって痛かった。
諦めの悪い私は、まだどこかで、リヴァイを信じてた。
そんな話なんてないって、いつものようにクリスマスを私と過ごしたかっただけだって、そう言ってくれたら———なんて愚かな願いは、呆気なく裏切られてしまった。
「違うよ。」
「あ?」
「私から、リヴァイにあげられる一番の誕生日プレゼントは、
それじゃないって分かったから、それは要らなくなっただけ。」
「一番の誕生日プレゼント?」
リヴァイが、不思議そうに言う。
私はゆっくりと顔を上げた。
久しぶりに彼と目が合う。
真正面から見たリヴァイの顔は、とても疲れていた。
目の下の隈はいつもよりも濃くなっていたし、どこかやつれたように思う。
もしかしたら、残業や休日出勤も、全てが嘘だったわけではないのかもしれない。
「だから、私から、大切な話をさせて。」
「…いい、俺がする。」
「聞きたくないの。
クリスマスなんだから、恋人のお願いくらいきいてよ。」
私がそうお願いすると、リヴァイの眉間の皴が濃くなった。
何かを考えているときの彼の表情だった。
でも、どちらにしろ、私から、告げるつもりだったから、その答えを待たずに、口を開いた。
「別れましょう。」
ちゃんとお別れを告げられるか自信がなかったけれど、私は真っすぐにリヴァイを見つめて、ハッキリとそう口にすることが出来た。
最後だと思ったら、彼を少しでも長く瞳に映したいと思ってしまったのだ。
自分から告げるはずだった別れ話を私からされたリヴァイが、息を呑んだ。
驚いた目が、ゆっくりと開いていく。
数秒、シンとした時間が過ぎた。
それは時が止まったみたいに、世界中が冷たくなったように感じた。
しばらくして、リヴァイが口を開いた。
「理由は。」
リヴァイは、私を真っすぐに見て言う。
掠れた音みたいに出て来たそれは、やっと絞り出したような声だった。
「それは、リヴァイが一番分かってるでしょ。」
私は、目を反らして答える。
「仕事で忙しくて、ずっと会ってやれなかったからか?
…その間に、他に男でも出来たのか。俺の連絡を無視するのも、だからか。」
「それ、本気で言ってるの?」
「今日もソイツと酒を飲んできたんだろ。」
リヴァイの声に、怒りが含まれた。
でも、たぶん、ピリッとした張りつめた空気を放ったのは、私だ。
「ふざけないでよ!」
私は、握った拳を持ち上げると、リヴァイの顔にイヤリングを投げつけた。