その夜は、明けない
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シングルベッドがひとつあるだけの狭い部屋。
それ以外に何も置かれていないのではなくて、何も置けないのだ。
だから、よくあるような、自分はソファで寝るねーなんてのも出来ない。
土砂降りになった雨が、土砂崩れを起こして、馬車の行く手を阻んだ。
急遽寄るしかなかった街も、私達と同じように立ち往生している人間が詰めかけたせいで、宿屋を探すのにもひどく苦労した。
そして、漸く見つけた宿屋は1室しか空いていなくてー。
神様は、一体、何がしたいのだろう。
私を、リヴァイを、裏切者にしたいのだろうか。
優しくて、可愛くて、大切なペトラを、泣かせたいわけじゃないー。
バスローブを羽織っただけの身体でベッドの縁に座って、窓を叩く雨を眺めていれば、シャワールームの扉が開く音がした。
あっという間に出てきて驚いた。
振り返れば、腰にタオルを巻いただけのリヴァイが、面倒くさそうに濡れた髪をタオルで拭きながら近づいてくる。
「災難だったね。私は床に座って寝るよ。ベッドは狭いし、こんな格好だし、
もともと停留所のベンチで寝るつもりだったわけだし、
部屋で眠れるだけラッキーだしね。それにー。」
「なまえ。」
言い訳はやめようー。
そう言われたみたいで、私は思わず口を噤む。
リヴァイが隣に座る。
すぐ触れられる距離に、引き締まった筋肉質な男の人の身体がある。
リヴァイの、身体があるー。
もう、やめてー。
私は、裏切りたくない。
私はー。
傷つきたくないー。
「もう、逃げられねぇよ。俺も、お前もー。」
リヴァイの指が、私の顎を少しだけ上げる。
熱を帯びた切れ長の目が近づいて、唇が重なる。
あぁ、もう終わりだ。
私達の関係は、壊れてしまった。
もう戻れない、二度と、今までのようにペトラは私に笑いかけてくれない。
そんなの、嫌だー。
リヴァイの胸板を両手で押すと、身体が離れた。
でもそれはただ、一度目のキスが終わっただけみたいにそっと離れただけでー。
「リヴァイ…、私ー。」
「まだ抗うのか。」
「私…、恋がしたいの。どんなに背を向けたところで
神様に引き合わされちゃうような、運命的な恋が、したいの。」
「すればいい。そんなの、お前次第だ。」
少し前、常連の客が、絶対に出来ないと断言したそれを、リヴァイは簡単そうに言う。
それは、どうしてー。
知っているからだろうか。
私が思い描いたようなストーリーの中に、私とリヴァイがいることをー。
でも、違う。
こんなんじゃないー。
だってー。
「私だけを、愛してくれる人じゃないとダメなの。
もう二度と、恋人がいるのに、他の人を愛しちゃう人は、イヤよ…。」
「そうか。じゃあ、全部、俺のせいにすればいい。」
リヴァイはそう言って、私をゆっくりとベッドに押し倒した。
私の前髪をかき上げる手は、ひどく優しくて愛おしそうでー。
そして、頬に唇を落としながら、甘い誘惑まで落とす。
「悪いのは、俺だけでいい。
俺は今すぐ、お前を抱きたい。なまえが、欲しいー…。」
首筋にリヴァイの唇が這う。
バスローブの紐が簡単に解かれたのは、私が甘い誘惑に落ちたせいだ。
だって、もうとっくに、私の心は解かれてしまっていたからー。
愛してはいけない人に、恋に、落ちてしまっていたからー。
だから違うの。
初めて逢ったその瞬間に、リヴァイのことを好きになってしまった私が悪いのー。
同じ罪を背負った夜
狭いベッドで抱き合って眠った。
目を覚ました私の頬を、彼は愛おしそうに撫でる。
「おはよう。」
可愛い恋人のいる彼が、まるで恋人にするように私にキスをする。
窓の外の雨はいつの間にか止んでいて、明るくなっていた。
朝が来た。
でも、きっと、罪深い私達の元に、明るい朝はもう二度と、訪れないー。
だから今だけは、私を抱きしめて。
まるで、恋人のようにー。
それ以外に何も置かれていないのではなくて、何も置けないのだ。
だから、よくあるような、自分はソファで寝るねーなんてのも出来ない。
土砂降りになった雨が、土砂崩れを起こして、馬車の行く手を阻んだ。
急遽寄るしかなかった街も、私達と同じように立ち往生している人間が詰めかけたせいで、宿屋を探すのにもひどく苦労した。
そして、漸く見つけた宿屋は1室しか空いていなくてー。
神様は、一体、何がしたいのだろう。
私を、リヴァイを、裏切者にしたいのだろうか。
優しくて、可愛くて、大切なペトラを、泣かせたいわけじゃないー。
バスローブを羽織っただけの身体でベッドの縁に座って、窓を叩く雨を眺めていれば、シャワールームの扉が開く音がした。
あっという間に出てきて驚いた。
振り返れば、腰にタオルを巻いただけのリヴァイが、面倒くさそうに濡れた髪をタオルで拭きながら近づいてくる。
「災難だったね。私は床に座って寝るよ。ベッドは狭いし、こんな格好だし、
もともと停留所のベンチで寝るつもりだったわけだし、
部屋で眠れるだけラッキーだしね。それにー。」
「なまえ。」
言い訳はやめようー。
そう言われたみたいで、私は思わず口を噤む。
リヴァイが隣に座る。
すぐ触れられる距離に、引き締まった筋肉質な男の人の身体がある。
リヴァイの、身体があるー。
もう、やめてー。
私は、裏切りたくない。
私はー。
傷つきたくないー。
「もう、逃げられねぇよ。俺も、お前もー。」
リヴァイの指が、私の顎を少しだけ上げる。
熱を帯びた切れ長の目が近づいて、唇が重なる。
あぁ、もう終わりだ。
私達の関係は、壊れてしまった。
もう戻れない、二度と、今までのようにペトラは私に笑いかけてくれない。
そんなの、嫌だー。
リヴァイの胸板を両手で押すと、身体が離れた。
でもそれはただ、一度目のキスが終わっただけみたいにそっと離れただけでー。
「リヴァイ…、私ー。」
「まだ抗うのか。」
「私…、恋がしたいの。どんなに背を向けたところで
神様に引き合わされちゃうような、運命的な恋が、したいの。」
「すればいい。そんなの、お前次第だ。」
少し前、常連の客が、絶対に出来ないと断言したそれを、リヴァイは簡単そうに言う。
それは、どうしてー。
知っているからだろうか。
私が思い描いたようなストーリーの中に、私とリヴァイがいることをー。
でも、違う。
こんなんじゃないー。
だってー。
「私だけを、愛してくれる人じゃないとダメなの。
もう二度と、恋人がいるのに、他の人を愛しちゃう人は、イヤよ…。」
「そうか。じゃあ、全部、俺のせいにすればいい。」
リヴァイはそう言って、私をゆっくりとベッドに押し倒した。
私の前髪をかき上げる手は、ひどく優しくて愛おしそうでー。
そして、頬に唇を落としながら、甘い誘惑まで落とす。
「悪いのは、俺だけでいい。
俺は今すぐ、お前を抱きたい。なまえが、欲しいー…。」
首筋にリヴァイの唇が這う。
バスローブの紐が簡単に解かれたのは、私が甘い誘惑に落ちたせいだ。
だって、もうとっくに、私の心は解かれてしまっていたからー。
愛してはいけない人に、恋に、落ちてしまっていたからー。
だから違うの。
初めて逢ったその瞬間に、リヴァイのことを好きになってしまった私が悪いのー。
同じ罪を背負った夜
狭いベッドで抱き合って眠った。
目を覚ました私の頬を、彼は愛おしそうに撫でる。
「おはよう。」
可愛い恋人のいる彼が、まるで恋人にするように私にキスをする。
窓の外の雨はいつの間にか止んでいて、明るくなっていた。
朝が来た。
でも、きっと、罪深い私達の元に、明るい朝はもう二度と、訪れないー。
だから今だけは、私を抱きしめて。
まるで、恋人のようにー。
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