その夜は、明けない
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「さっきの騒がしい奴らが言ってたが、ここは夜もやってんのか?」
賑やかな若いグループが帰ると、店内に残ったお客様は、リヴァイさんだけになっていた。
そして、もう何杯目かの紅茶を飲みながら、私に訊ねた。
今日は暑いですね、とか天気の話しかしたことなかったから驚いた。
それだって、間を持たせるためだけに、私が苦し紛れに振った話題で、リヴァイさんの返事は『あぁ。』のみだったのにー。
「えぇ、昼間は喫茶店をして、夜はバーをしてるんです。
リヴァイさんも今度、御友人とー。」
「リヴァイ。」
「え?」
「さん、はいらねぇ。」
「でも、リヴァイさんはー。」
「リヴァイ。敬語も要らねぇ。俺はお前の上官でもなんでもねぇんだ。」
「でも、お客様です。」
「さっきの奴らは、名前も呼び捨てで敬語も使ってねぇようだったが?」
「あの人達は常連さんですから。」
「俺も結構な常連だと思うんだがな。
そうか、この店は客によって態度を変えるらしい。」
「そんなことは…っ。」
「じゃあ、決まりだな。」
リヴァイさんー。
いや、リヴァイは勝手にそう決めて、紅茶を口に運ぶ。
冷たい言葉や横暴なことばかりが出てくる口は、ティーカップに隠れてしまった。
相変わらず、独特なティーカップの持ち方だ。
その細くて華奢な手で、隠れてしまった唇で、どうやってペトラに触れるのだろうー。
あぁ、本当に。
早く帰ってくれないだろうか。
その姿を見るだけで、同じ空気を吸っていると思うだけで、私はリヴァイに惹かれていくー。
だから、夜もお店が開いていることは教えていなかったのにー。
「今度は夜、来る。」
リヴァイは立ち上がると、いつものようにカウンターにお札を雑に置く。
お釣りをもらってくれたことは、一度もないー。
「えぇ、是非、お友達といらして。」
せめてもの、私の牽制だった。
ニコリと微笑めば、リヴァイは一瞬動きを止めた後、小さく息を吐く。
「あぁ、クソほど酒を呑むやつを連れてくる。
酒を増やして待っとけ。」
捨て台詞のように吐いて、リヴァイはカウンターに背を向ける。
あの手が扉を開くと、鈴の音が鳴る。
それが、私の胸の高鳴りに聞こえていたのはもう随分前のことのように思える。
まだ出逢って、ほんの少ししか経っていないのにー。
私には、鈴の音すら、警告音に聞こえるのだ。
扉が閉まって、リヴァイの背中を消したらやっと、私は大きく息を吐く。
必死に、涙だけは堪えてー。
賑やかな若いグループが帰ると、店内に残ったお客様は、リヴァイさんだけになっていた。
そして、もう何杯目かの紅茶を飲みながら、私に訊ねた。
今日は暑いですね、とか天気の話しかしたことなかったから驚いた。
それだって、間を持たせるためだけに、私が苦し紛れに振った話題で、リヴァイさんの返事は『あぁ。』のみだったのにー。
「えぇ、昼間は喫茶店をして、夜はバーをしてるんです。
リヴァイさんも今度、御友人とー。」
「リヴァイ。」
「え?」
「さん、はいらねぇ。」
「でも、リヴァイさんはー。」
「リヴァイ。敬語も要らねぇ。俺はお前の上官でもなんでもねぇんだ。」
「でも、お客様です。」
「さっきの奴らは、名前も呼び捨てで敬語も使ってねぇようだったが?」
「あの人達は常連さんですから。」
「俺も結構な常連だと思うんだがな。
そうか、この店は客によって態度を変えるらしい。」
「そんなことは…っ。」
「じゃあ、決まりだな。」
リヴァイさんー。
いや、リヴァイは勝手にそう決めて、紅茶を口に運ぶ。
冷たい言葉や横暴なことばかりが出てくる口は、ティーカップに隠れてしまった。
相変わらず、独特なティーカップの持ち方だ。
その細くて華奢な手で、隠れてしまった唇で、どうやってペトラに触れるのだろうー。
あぁ、本当に。
早く帰ってくれないだろうか。
その姿を見るだけで、同じ空気を吸っていると思うだけで、私はリヴァイに惹かれていくー。
だから、夜もお店が開いていることは教えていなかったのにー。
「今度は夜、来る。」
リヴァイは立ち上がると、いつものようにカウンターにお札を雑に置く。
お釣りをもらってくれたことは、一度もないー。
「えぇ、是非、お友達といらして。」
せめてもの、私の牽制だった。
ニコリと微笑めば、リヴァイは一瞬動きを止めた後、小さく息を吐く。
「あぁ、クソほど酒を呑むやつを連れてくる。
酒を増やして待っとけ。」
捨て台詞のように吐いて、リヴァイはカウンターに背を向ける。
あの手が扉を開くと、鈴の音が鳴る。
それが、私の胸の高鳴りに聞こえていたのはもう随分前のことのように思える。
まだ出逢って、ほんの少ししか経っていないのにー。
私には、鈴の音すら、警告音に聞こえるのだ。
扉が閉まって、リヴァイの背中を消したらやっと、私は大きく息を吐く。
必死に、涙だけは堪えてー。