その夜は、明けない
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あれから、リヴァイさんは喫茶店によく顔を出すようになった。
出張の帰りに寄ったり、任務の途中で昼食を食べに来たり、ほんの休憩に紅茶を飲みに来たりー。
座るのは、決まってカウンターの奥の席。
たまに、一言二言言葉を交わすこともあるけれど、静かに食事をとった後、紅茶を飲んで時間を潰して帰っていく。
ただそれだけだ。
来る時間もバラバラで、気まぐれな人のようだった。
今日も任務の合間に、昼食を食べに来ていた。
ほとんど毎日来ていることに対して、ここの食事が気に入ったのだと言われてしまえば、店を出している者として悪い気はしない。
でも、正直、あまり会いたくない私としては、ストレスだった。
食後の紅茶をリヴァイに出していると、テーブル席の客が私の名前を呼んだ。
「なまえ~!こっちに酒のおかわり持ってきてくれ~!」
「はーい!いつものでいい~?」
「おう!」
馴染みの若い男性グループで、今日は休みらしく昼間から飲みに来ていた。
すぐに紅茶を淹れて、小さく会釈をした後、私は急いでお酒の用意をして彼らのテーブルへと運ぶ。
酒の入ったグラスを並べていると、グループのひとりの彼がまたデートに誘ってきた。
いつもお酒で酔っ払った状態で口説いてくるから、本気かどうかもいまいちわからない。
「なぁ、いつになったら俺とデートしてくれる?」
「うーん、そうだなぁ。たとえば、会う約束もしてないのに
バッタリ会って、ハプニングとかに巻き込まれちゃって、
デートしなきゃいけない状況になったらかな?運命的でいいでしょ?」
「恋愛小説の読み過ぎだっつーの。
そんなの待ってたら、いつまでもデート出来ねぇよ。」
「そしたら、イエルクと私は縁がないってことよ。
きっと、運命の相手とは、どんなに離れようとしたって
神様に引き合わされると思うの。次に恋をするのはそういう人がいいな。」
「他に女作って、結婚の約束してた女を呆気なく捨てるような
アホ野郎じゃなくて?」
「…そのお喋りなお口にお酒の瓶をつっこんでやろうかしら。」
「そりゃ、おっかねぇ!!」
ゲラゲラと笑う彼らは、本当に私を口説き落とす気なんてサラサラないのだろう。
いつか、本当に現れるのだろうか。
ペトラがリヴァイさんに出逢ったみたいに、私も心から愛したいと思える人にー。
いつか、身を焦がすような恋をして、身を焦がすように愛されて、そして、運命に惹かれあうような、そんな素敵な恋がしたいー。
そうすればきっと、私は、不誠実な想いを断ち切ることが出来ると思うからー。
楽しそうな彼らのテーブルから離れようとしたとき、ふと視線を感じた。
送られてくる視線の先を見れば、リヴァイさんと目が合う。
でも、これ以上、見てしまったら、私は後戻りできなくなりそうで、すぐに目を反らした。
出張の帰りに寄ったり、任務の途中で昼食を食べに来たり、ほんの休憩に紅茶を飲みに来たりー。
座るのは、決まってカウンターの奥の席。
たまに、一言二言言葉を交わすこともあるけれど、静かに食事をとった後、紅茶を飲んで時間を潰して帰っていく。
ただそれだけだ。
来る時間もバラバラで、気まぐれな人のようだった。
今日も任務の合間に、昼食を食べに来ていた。
ほとんど毎日来ていることに対して、ここの食事が気に入ったのだと言われてしまえば、店を出している者として悪い気はしない。
でも、正直、あまり会いたくない私としては、ストレスだった。
食後の紅茶をリヴァイに出していると、テーブル席の客が私の名前を呼んだ。
「なまえ~!こっちに酒のおかわり持ってきてくれ~!」
「はーい!いつものでいい~?」
「おう!」
馴染みの若い男性グループで、今日は休みらしく昼間から飲みに来ていた。
すぐに紅茶を淹れて、小さく会釈をした後、私は急いでお酒の用意をして彼らのテーブルへと運ぶ。
酒の入ったグラスを並べていると、グループのひとりの彼がまたデートに誘ってきた。
いつもお酒で酔っ払った状態で口説いてくるから、本気かどうかもいまいちわからない。
「なぁ、いつになったら俺とデートしてくれる?」
「うーん、そうだなぁ。たとえば、会う約束もしてないのに
バッタリ会って、ハプニングとかに巻き込まれちゃって、
デートしなきゃいけない状況になったらかな?運命的でいいでしょ?」
「恋愛小説の読み過ぎだっつーの。
そんなの待ってたら、いつまでもデート出来ねぇよ。」
「そしたら、イエルクと私は縁がないってことよ。
きっと、運命の相手とは、どんなに離れようとしたって
神様に引き合わされると思うの。次に恋をするのはそういう人がいいな。」
「他に女作って、結婚の約束してた女を呆気なく捨てるような
アホ野郎じゃなくて?」
「…そのお喋りなお口にお酒の瓶をつっこんでやろうかしら。」
「そりゃ、おっかねぇ!!」
ゲラゲラと笑う彼らは、本当に私を口説き落とす気なんてサラサラないのだろう。
いつか、本当に現れるのだろうか。
ペトラがリヴァイさんに出逢ったみたいに、私も心から愛したいと思える人にー。
いつか、身を焦がすような恋をして、身を焦がすように愛されて、そして、運命に惹かれあうような、そんな素敵な恋がしたいー。
そうすればきっと、私は、不誠実な想いを断ち切ることが出来ると思うからー。
楽しそうな彼らのテーブルから離れようとしたとき、ふと視線を感じた。
送られてくる視線の先を見れば、リヴァイさんと目が合う。
でも、これ以上、見てしまったら、私は後戻りできなくなりそうで、すぐに目を反らした。