その夜が、漸く明ける
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寝室の扉が開くと、石鹸の香りがふわりと広がった。
読んでいた本を閉じた私は、顔を上げて匂いの原因を探す。
まだ少し湿っている髪をタオルで雑に拭くリヴァイは、そんな私を見ると僅かに眉を顰めた。
「まだ起きてたのか。早く寝ろと言ってるだろ。」
心配性のリヴァイはそう言うと、ベッドの縁に腰を掛けて、早速、私のお腹に手を添える。
初めて会った日から、彼は言葉数が少ない。
けれど、愛おしそうに目を細めているその横顔は、お腹の中にいる我が子に『愛してる。』としっかり伝えている。
きっと、優しく温かい手に込められている愛が、赤ん坊にも届いているはずだ。
「だって、昼間はほとんど寝てるから、夜は目が冴えちゃうんだもの。
この子も夜は起き出すのよ。」
「そうなのか?」
リヴァイが顔を上げて不思議そうに訊ねる。
素直なその反応が可愛くて、思わずクスリと笑ってしまう。
家族を知らないリヴァイにとって、私と築くすべてが彼にとっての〝すべて〟になる。
だからこそ、彼の望む『結婚』というカタチをとる勇気のない自分が無性に許せなくなる時がある。
けれど、リヴァイはそんな私をまるごと受け入れてくれた。愛してくれた。
だからせめて、私は彼に〝愛のある家族〟を与えたい。
決して、彼から離れていくことのない深い絆で繋がっている家族を————。
「えぇ、そうよ。きっとこの子もパパが帰ってくるのが分かるのね。」
「———へぇ。そうなのか。」
質素な返事をして、リヴァイはベッドの中に入ってくる。
彼は今、自分の感情を抑えるのに一生懸命だ。
けれど、緩む口元がもう『嬉しい』とハシャいでいる。
こんなリヴァイの姿が見られる私は、本当に幸運だと思う。
たとえそれが、大切な人を悲しませてまで掴んだ幸せなのだとしても———。
読んでいた本を閉じた私は、顔を上げて匂いの原因を探す。
まだ少し湿っている髪をタオルで雑に拭くリヴァイは、そんな私を見ると僅かに眉を顰めた。
「まだ起きてたのか。早く寝ろと言ってるだろ。」
心配性のリヴァイはそう言うと、ベッドの縁に腰を掛けて、早速、私のお腹に手を添える。
初めて会った日から、彼は言葉数が少ない。
けれど、愛おしそうに目を細めているその横顔は、お腹の中にいる我が子に『愛してる。』としっかり伝えている。
きっと、優しく温かい手に込められている愛が、赤ん坊にも届いているはずだ。
「だって、昼間はほとんど寝てるから、夜は目が冴えちゃうんだもの。
この子も夜は起き出すのよ。」
「そうなのか?」
リヴァイが顔を上げて不思議そうに訊ねる。
素直なその反応が可愛くて、思わずクスリと笑ってしまう。
家族を知らないリヴァイにとって、私と築くすべてが彼にとっての〝すべて〟になる。
だからこそ、彼の望む『結婚』というカタチをとる勇気のない自分が無性に許せなくなる時がある。
けれど、リヴァイはそんな私をまるごと受け入れてくれた。愛してくれた。
だからせめて、私は彼に〝愛のある家族〟を与えたい。
決して、彼から離れていくことのない深い絆で繋がっている家族を————。
「えぇ、そうよ。きっとこの子もパパが帰ってくるのが分かるのね。」
「———へぇ。そうなのか。」
質素な返事をして、リヴァイはベッドの中に入ってくる。
彼は今、自分の感情を抑えるのに一生懸命だ。
けれど、緩む口元がもう『嬉しい』とハシャいでいる。
こんなリヴァイの姿が見られる私は、本当に幸運だと思う。
たとえそれが、大切な人を悲しませてまで掴んだ幸せなのだとしても———。