見慣れた夜
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甘いデザートを頬張るなまえが、嬉しそうに頬を緩める。
俺はそれを眺めながら、紅茶を飲む。
窓の向こうでは、始まりだした冬が木枯らしを吹かし、葉の落ちた細い木を揺らしていたけれど、暖炉の火で暖まっている店内には、いつもと同じ時間が流れていた。
「良い人はまだいないの?」
目が合うタイミングを待っていたかのように、なまえがお決まりになっているセリフを口にする。
「いねぇ。」
紅茶を飲みながら、適当に交わす。
昔は、なまえにそう聞かれる度に胸を痛めていたけれど、習慣化してきた頃から、何も思わないようになってきた。
「リヴァイの理想が高すぎるんじゃないの?」
「そんなことはねぇ…はずだ。」
「えー、嘘だ~。もしかしてリヴァイ、モテないの?
じゃなきゃ、恋人がいつまでも出来ないなんておかしい。」
「おかしくはねぇだろ。忙しいだけだ。
モテたことくらい…ある。」
「…可哀想に。」
本気で不憫そうな視線を送るなまえに「言い訳じゃねぇ。」とムキになっている〝フリ〟をして返す。
いつも、同じ質問が来る度に、俺は不思議になる。
俺に恋人が出来たら、こんな風に会えなくなることを、なまえは分かって言っているのだろうか。
この時間を、どんなものとも代えがたい大切な時間だと思っているのは、きっと俺だけなのだ。
そもそも、なまえにとって俺は〝代わり〟に過ぎなくて———。
「リヴァイの理想ってどんななの?
私が探してあげるよ。仕事柄、花屋さんには女性客が多いのよ。」
なまえが、鼻をふふんと鳴らす。
確かに、この世で、理想の女を俺に連れてこれるのは、なまえだけだ。
でも、もしも俺が、素直に答えたら、なまえはどうするのだろう。
どんな顔をして、どんな風に誤魔化して、それが本気だと気づいた時、どんな気持ちで『ごめん。』と謝るのだろう。
「なまえ。」
「ん?」
気づいたら、俺はとんでもないことを言っていた。
でも、なまえには届かなかったらしい。
不思議そうに首を傾げるなまえの無垢さに、無性に腹が立った。
そんな顔をされると、このまま、気持ちを押し付けたくなる————。
「なまえよりいい女なら、何でもいい。
この世のほとんどがそのはずなんだけどな。」
「な…!?失礼!失礼だよ、リヴァイっ。
それは、私にも、私を選んだファーランにも失礼!」
なまえが頬を膨らませて、俺を叱る。
だから俺は「冗談だ。」と得意の嘘を吐いて、笑って誤魔化す。
時々、なまえと一緒にいるところを部下や同僚に見られることがある。
彼らは口を揃えて、俺が笑っているところなんて初めて見た、と驚いたように言う。
でも、違うのだ。
俺は、なまえの前では、笑うしかなくなるだけだ。
幸せで、嬉しくて、愛おしくて、そして、気持ちを誤魔化さなければならなくて———。
「お前みたいな手のかかる女に惚れたのが悪ぃ。」
首を竦めて意地悪を言ってやれば、なまえがまた頬を膨らませて、本気で怒り出す。
でもそれは、ファーランに言ったんじゃない。
俺に言ったセリフなのだ。
どうして、親友の恋人を愛してしまったのだろう。
なまえじゃなくちゃいけない理由とは、何だろう。
別に、特別、優れた何かがあるわけじゃない。
愛嬌があって、美人な顔立ちではあるかもしれないが、目を引くほどでもない。
優しくて明るい性格が魅力的だとは言っても、そんな女、見渡せばいくらでもいるはずだ。
だから俺は、他の女を愛してみようとしたこともあるのだ。でも、出来なかった。
心臓が悲鳴を上げて、こんな無駄なことをするなと、頭の奥で何かが叫ぶのだ。
それなら俺はどうしたらいいのだろう。
親友の恋人で、いまだに死んだ男を愛し続けている、クソみたいに一途な女を想い続けても、時間の無駄だということは、分かりきっている。
「—————ファーランも、迷惑かな。
早く忘れろって、言われてる気がする。」
散々文句を言っていたくせに、なまえが悲しげに言って目を伏せる。
長い睫毛が重たそうにユラユラと揺れた。
気づけば俺は、ソファ席から立ち上がり、なまえの隣に腰を降ろし、彼女を抱きしめていた。
「クソが。ファーランは、いつもなまえの気持ちが最優先だったのを忘れたか。」
腕の中で、なまえが小さく首を横に振った。
忘れるわけがない。ファーランの隣にいるなまえは、今よりもずっとずっと幸せそうで、心から楽しそうに笑っていた。
そして、そんななまえを、ファーランはひどく愛おしそうに見つめていた。
誰が見てもお似合いで、誰にも、入り込むすきなんてないくらいに、愛し合っている恋人同士だった。
「忘れるのも、忘れねぇのも、好きなようにすればいい。
ファーランは、どんななまえだって愛してる。受け入れるに決まってる。」
セーターの肩の辺りに涙の染みが出来ていくのが、濡れていく感触から伝わってくる。
だからさらに強く抱きしめれば、俺の背中に、なまえの腕がゆるゆると上がっていった。
そしてそれは、ひどく弱弱しい力で、俺の背中にしがみつくように、セーターを握りしめた。
『忘れてしまえ、ファーランもそれを願ってる。』
言いかけた言葉は、必死に飲み込んだ。
だって、俺は、誰よりも知っているのだ。
残酷な現実を受け入れて打ちのめされるよりも、独りきりで未来を歩くことを選ぶ道の方がツラく険しい。
だからなまえは、死んだ恋人を愛し続ける現実を受け入れた。
だから俺は、死んだ恋人を愛し続けるなまえに叶わない想いを抱えている現実を受け入れるしかなかった。
「ファーラン…っ。」
親友の名前が、こんなにも切ないものだなんてことは、彼が死んだあの日、なまえが泣きながら呼ぶまで知らなかったのだ。
あれから何年も時が経って、ファーランは、なまえの中でどんどん美化されて、とうとう、この世の誰にも越えられない存在になってしまった。
「俺が・・・・っ。」
俺がいる。俺が離さない————そんなこと、言えるわけがない。
泣きじゃくるなまえを抱きしめて、そう誓ったところで、その心を独り占めすることなんて永遠に出来ない。
幸せだと信じようとした時間ですら、なまえはファーランのことを想っていて、手にした気がしていた幸せは、彼女を抱きしめるこの腕の隙間からも、止まることなく零れ落ちていく。
人類最強の兵士だなんて呼ばれて、怖ろしい巨人を躊躇なく殺すことは出来ても、死んだ相手には、どうやったって勝てはしないのだ。
それなら、叶わない恋だと、諦めたい。
初めてなまえに出逢ったあの日から、俺はファーランには、敵わないのだから———。
「そろそろ帰ろうか。」
涙をこすって赤くなった目で、なまえが下手くそに笑う。
呆気なく離れた体温のせいで、胸の辺りが少し寒い。
「そうだな。」
ソファから立ち上がり、脱いだジャケットを羽織る。
毎回、割り勘にしようとする律儀ななまえを適当に交わして、支払いを終えた後、俺達は並んで店を出た。
でも、家に帰るなまえと、調査兵団の兵舎に向かう俺は、すぐに反対方向へと歩き出す。
ここにファーランがいれば、なまえを送って帰っていたのだろうか。
離れていく華奢な背中を見送りながら、そんなことを思う。
いや、きっと、ファーランは兵舎ではなくなまえと一緒の家に暮らしていたんだろう。
でも、そんな未来は永久に訪れない。
それなのに俺達は、いつまでもファーランがいたかもしれない未来を想像してしまう。そしてその度に、残酷な現実に打ちのめされるのだ。
本当は、ずっと思っていた。
生きている俺達が、死んだ人間に縛られた時間を続けていくのは、あまりにも悲しくて寂しい。
俺に会う度、なまえは救われている気になって、本当はただ俺にファーランの影を見て、悲しい過去に縛られているだけ。
だから、なまえの為に俺が出来ることは、この関係を変えることだ。
未来のなまえを幸せにしてやれなかったファーランに、唯一俺が勝つには、それくらいしかない。
それは賭けで、俺が負ける可能性の方が高いんだろう。
でも、前から決めていた。覚悟もしてきた。
今夜が、最後の夜になったって構わない。
「なまえ!」
覚悟を決めてなまえを呼びとめる。
俺の声は、無駄に大きくなって、少し震えていた。
なまえの細い肩が跳ねて、すぐに後ろを振り向く。
初めて俺に呼び止められて、驚いたようだった。
「どうしたの?」
なまえが不思議そうに首を傾げた。
言え———自分を急かす。
何も生まれない無駄な関係に幕を引こう————。
「気を付けて、帰れよ。」
絞り出された言葉は、言うはずの『愛してる。』ではなかった。
少しだけキョトンとした後、なまえが柔らかく笑う。
「うん!リヴァイもね!またね!」
なまえが大きく手を振る。
だから俺も、下手くそな笑顔を返しながら「あぁ、また、な。」と小さく手を振った。
見慣れた夜、見慣れた道と、君と僕
彼女に初めて会った日から、伝えたいと願っていた。
この想いが叶わないことは分かっていて、それでも伝えてみたいと願っている。
それでもまた俺は、届くことのない想いを抱えたまま、決して振り返らない彼女の背中を見送り続ける。
さようならと言えないまま。
俺はそれを眺めながら、紅茶を飲む。
窓の向こうでは、始まりだした冬が木枯らしを吹かし、葉の落ちた細い木を揺らしていたけれど、暖炉の火で暖まっている店内には、いつもと同じ時間が流れていた。
「良い人はまだいないの?」
目が合うタイミングを待っていたかのように、なまえがお決まりになっているセリフを口にする。
「いねぇ。」
紅茶を飲みながら、適当に交わす。
昔は、なまえにそう聞かれる度に胸を痛めていたけれど、習慣化してきた頃から、何も思わないようになってきた。
「リヴァイの理想が高すぎるんじゃないの?」
「そんなことはねぇ…はずだ。」
「えー、嘘だ~。もしかしてリヴァイ、モテないの?
じゃなきゃ、恋人がいつまでも出来ないなんておかしい。」
「おかしくはねぇだろ。忙しいだけだ。
モテたことくらい…ある。」
「…可哀想に。」
本気で不憫そうな視線を送るなまえに「言い訳じゃねぇ。」とムキになっている〝フリ〟をして返す。
いつも、同じ質問が来る度に、俺は不思議になる。
俺に恋人が出来たら、こんな風に会えなくなることを、なまえは分かって言っているのだろうか。
この時間を、どんなものとも代えがたい大切な時間だと思っているのは、きっと俺だけなのだ。
そもそも、なまえにとって俺は〝代わり〟に過ぎなくて———。
「リヴァイの理想ってどんななの?
私が探してあげるよ。仕事柄、花屋さんには女性客が多いのよ。」
なまえが、鼻をふふんと鳴らす。
確かに、この世で、理想の女を俺に連れてこれるのは、なまえだけだ。
でも、もしも俺が、素直に答えたら、なまえはどうするのだろう。
どんな顔をして、どんな風に誤魔化して、それが本気だと気づいた時、どんな気持ちで『ごめん。』と謝るのだろう。
「なまえ。」
「ん?」
気づいたら、俺はとんでもないことを言っていた。
でも、なまえには届かなかったらしい。
不思議そうに首を傾げるなまえの無垢さに、無性に腹が立った。
そんな顔をされると、このまま、気持ちを押し付けたくなる————。
「なまえよりいい女なら、何でもいい。
この世のほとんどがそのはずなんだけどな。」
「な…!?失礼!失礼だよ、リヴァイっ。
それは、私にも、私を選んだファーランにも失礼!」
なまえが頬を膨らませて、俺を叱る。
だから俺は「冗談だ。」と得意の嘘を吐いて、笑って誤魔化す。
時々、なまえと一緒にいるところを部下や同僚に見られることがある。
彼らは口を揃えて、俺が笑っているところなんて初めて見た、と驚いたように言う。
でも、違うのだ。
俺は、なまえの前では、笑うしかなくなるだけだ。
幸せで、嬉しくて、愛おしくて、そして、気持ちを誤魔化さなければならなくて———。
「お前みたいな手のかかる女に惚れたのが悪ぃ。」
首を竦めて意地悪を言ってやれば、なまえがまた頬を膨らませて、本気で怒り出す。
でもそれは、ファーランに言ったんじゃない。
俺に言ったセリフなのだ。
どうして、親友の恋人を愛してしまったのだろう。
なまえじゃなくちゃいけない理由とは、何だろう。
別に、特別、優れた何かがあるわけじゃない。
愛嬌があって、美人な顔立ちではあるかもしれないが、目を引くほどでもない。
優しくて明るい性格が魅力的だとは言っても、そんな女、見渡せばいくらでもいるはずだ。
だから俺は、他の女を愛してみようとしたこともあるのだ。でも、出来なかった。
心臓が悲鳴を上げて、こんな無駄なことをするなと、頭の奥で何かが叫ぶのだ。
それなら俺はどうしたらいいのだろう。
親友の恋人で、いまだに死んだ男を愛し続けている、クソみたいに一途な女を想い続けても、時間の無駄だということは、分かりきっている。
「—————ファーランも、迷惑かな。
早く忘れろって、言われてる気がする。」
散々文句を言っていたくせに、なまえが悲しげに言って目を伏せる。
長い睫毛が重たそうにユラユラと揺れた。
気づけば俺は、ソファ席から立ち上がり、なまえの隣に腰を降ろし、彼女を抱きしめていた。
「クソが。ファーランは、いつもなまえの気持ちが最優先だったのを忘れたか。」
腕の中で、なまえが小さく首を横に振った。
忘れるわけがない。ファーランの隣にいるなまえは、今よりもずっとずっと幸せそうで、心から楽しそうに笑っていた。
そして、そんななまえを、ファーランはひどく愛おしそうに見つめていた。
誰が見てもお似合いで、誰にも、入り込むすきなんてないくらいに、愛し合っている恋人同士だった。
「忘れるのも、忘れねぇのも、好きなようにすればいい。
ファーランは、どんななまえだって愛してる。受け入れるに決まってる。」
セーターの肩の辺りに涙の染みが出来ていくのが、濡れていく感触から伝わってくる。
だからさらに強く抱きしめれば、俺の背中に、なまえの腕がゆるゆると上がっていった。
そしてそれは、ひどく弱弱しい力で、俺の背中にしがみつくように、セーターを握りしめた。
『忘れてしまえ、ファーランもそれを願ってる。』
言いかけた言葉は、必死に飲み込んだ。
だって、俺は、誰よりも知っているのだ。
残酷な現実を受け入れて打ちのめされるよりも、独りきりで未来を歩くことを選ぶ道の方がツラく険しい。
だからなまえは、死んだ恋人を愛し続ける現実を受け入れた。
だから俺は、死んだ恋人を愛し続けるなまえに叶わない想いを抱えている現実を受け入れるしかなかった。
「ファーラン…っ。」
親友の名前が、こんなにも切ないものだなんてことは、彼が死んだあの日、なまえが泣きながら呼ぶまで知らなかったのだ。
あれから何年も時が経って、ファーランは、なまえの中でどんどん美化されて、とうとう、この世の誰にも越えられない存在になってしまった。
「俺が・・・・っ。」
俺がいる。俺が離さない————そんなこと、言えるわけがない。
泣きじゃくるなまえを抱きしめて、そう誓ったところで、その心を独り占めすることなんて永遠に出来ない。
幸せだと信じようとした時間ですら、なまえはファーランのことを想っていて、手にした気がしていた幸せは、彼女を抱きしめるこの腕の隙間からも、止まることなく零れ落ちていく。
人類最強の兵士だなんて呼ばれて、怖ろしい巨人を躊躇なく殺すことは出来ても、死んだ相手には、どうやったって勝てはしないのだ。
それなら、叶わない恋だと、諦めたい。
初めてなまえに出逢ったあの日から、俺はファーランには、敵わないのだから———。
「そろそろ帰ろうか。」
涙をこすって赤くなった目で、なまえが下手くそに笑う。
呆気なく離れた体温のせいで、胸の辺りが少し寒い。
「そうだな。」
ソファから立ち上がり、脱いだジャケットを羽織る。
毎回、割り勘にしようとする律儀ななまえを適当に交わして、支払いを終えた後、俺達は並んで店を出た。
でも、家に帰るなまえと、調査兵団の兵舎に向かう俺は、すぐに反対方向へと歩き出す。
ここにファーランがいれば、なまえを送って帰っていたのだろうか。
離れていく華奢な背中を見送りながら、そんなことを思う。
いや、きっと、ファーランは兵舎ではなくなまえと一緒の家に暮らしていたんだろう。
でも、そんな未来は永久に訪れない。
それなのに俺達は、いつまでもファーランがいたかもしれない未来を想像してしまう。そしてその度に、残酷な現実に打ちのめされるのだ。
本当は、ずっと思っていた。
生きている俺達が、死んだ人間に縛られた時間を続けていくのは、あまりにも悲しくて寂しい。
俺に会う度、なまえは救われている気になって、本当はただ俺にファーランの影を見て、悲しい過去に縛られているだけ。
だから、なまえの為に俺が出来ることは、この関係を変えることだ。
未来のなまえを幸せにしてやれなかったファーランに、唯一俺が勝つには、それくらいしかない。
それは賭けで、俺が負ける可能性の方が高いんだろう。
でも、前から決めていた。覚悟もしてきた。
今夜が、最後の夜になったって構わない。
「なまえ!」
覚悟を決めてなまえを呼びとめる。
俺の声は、無駄に大きくなって、少し震えていた。
なまえの細い肩が跳ねて、すぐに後ろを振り向く。
初めて俺に呼び止められて、驚いたようだった。
「どうしたの?」
なまえが不思議そうに首を傾げた。
言え———自分を急かす。
何も生まれない無駄な関係に幕を引こう————。
「気を付けて、帰れよ。」
絞り出された言葉は、言うはずの『愛してる。』ではなかった。
少しだけキョトンとした後、なまえが柔らかく笑う。
「うん!リヴァイもね!またね!」
なまえが大きく手を振る。
だから俺も、下手くそな笑顔を返しながら「あぁ、また、な。」と小さく手を振った。
見慣れた夜、見慣れた道と、君と僕
彼女に初めて会った日から、伝えたいと願っていた。
この想いが叶わないことは分かっていて、それでも伝えてみたいと願っている。
それでもまた俺は、届くことのない想いを抱えたまま、決して振り返らない彼女の背中を見送り続ける。
さようならと言えないまま。
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