今日も夜遅くにリヴァイは帰ってきた。
夕飯を作って待っていたなまえに向かって、ひどく面倒くさそうに「遅くなると言っただろう。」と眉を顰める。
それでも彼女が待っていたのは、お前が好きだからだろう！
そうやって、殴ってやれたらいいのに、彼女はそれすら僕に求めてくれない。

『リヴァイは、世界で一番強い兵士さんだからね。
　栄養のあるものたくさん食べて、身体を大切にしなくちゃね。』

キッチンで夕飯を作っているときのなまえのとても優しい横顔を思い出して、僕の方が胸が痛くなる。
だって、今夜もリヴァイはなまえの料理を食べずに、シャワーを浴びるとベッドに入ってしまったから。
1人で寂しく片づけを終えたなまえは、いつもなら僕をベッドに連れて行くのに「おやすみ。」と頭を撫でただけだった。
あぁ、そうか。きっとー。
なまえはベッドに入ると、寝ようとしていたリヴァイの頬にキスをした。

「明日も早ぇんだ。寝かせてくれ。」

リヴァイは冷たく言って、なまえに背を向ける。
あの男はいつもそうやって、背中しか向けないから知らないんだ。
なまえが必死に涙を堪えてることに、あと少しで綺麗な瞳から涙が零れ落ちそうだってことに、気づかないんだ。
だからいつも、僕が彼女の隣で眠って、その涙を拭ってることだって知らないんだろう。
知らないからな。
僕に彼女を奪われたって、知らないからな。