その夜に、沈む
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ハンジは、リヴァイを探していた。
新しい実験を思いついたのだ。
是非、次回の壁外調査で試してみたいとエルヴィンにお願いをしに行ったら、リヴァイの許可が降りなければ無理だと言われてしまった。
確かに、リヴァイの協力が必要不可欠な実験だ。
そう思って、朝から調査兵団兵舎をくまなく探しているのだけれど、全然見つからない。
誰に聞いても、行方を知らない。
一番の有力な情報は、エルドだったが、それも、昨日が非番だった部下の家まで、必要な書類を届けに行ったことまでは知っているのだが、それから見ていないと言われてしまった。
今日が非番だから、どこかで遊んでいるのか———いや、リヴァイはそういうタイプではない。
非番の日こそ、兵舎の自室の掃除にたっぷり時間をかけられると、殺人鬼のような怖い目をキラキラさせる変わっている男だ。
「どこに行ったんだ~?」
廊下の窓を開けながら呟き、頭をボリボリと掻くと、たまったフケが雪のようにハラハラと舞う。
窓の外は、ちょうど兵門あたりになっていて、任務や訓練場へ向かう調査兵が行き交うのが良く見えた。
(まさか、惚れてる女のところとか…。)
ハンジの眉間に無意識に皴が寄る。
だが、すぐに大きく首を横に振った。
リヴァイは、もう二度と会うつもりはないと言った。
潔癖なリヴァイは、嘘もひどく嫌う。会わないと言うのなら、本当に会わないつもりなのだろう。
それなら、どこへいってしまったのだろうか———そんなことを考えながら窓の外に、小さな人類最強の兵士の姿を探していたハンジは、探し人の代わりに、リヴァイの行方を知っていそうな調査兵を見つけた。
「オルオ!おーい!!オルオーーーー!!」
窓から大きく手を振って、どこかへ行こうとしているオルオを呼び止める。
すぐに気が付いたオルオだったが、振り返った途端に、窓の向こうからでも分かるほどに『ゲッ。』とあからさまに嫌そうな顔をする。
だが、それをいちいち気にするようなら、ハンジはリヴァイから『奇行種』とは呼ばれない。
「リヴァイを見てないかーーーー?」
「見てないっす!!じゃ。」
一言、返事だけしてその場から逃げようとするオルオを、ハンジはすぐに呼び止める。
ひどく面倒くさそうにして、オルオがまた振り返り、窓を見上げる。
「リヴァイさんは今日、非番っすよ!部屋で掃除してるんじゃないんすか?」
大声でオルオが言う。
やはりみんな、リヴァイの非番の日の行動について考えるとき、それ一択になるのだろう。
だが———。
「いなかったんだよ!」
「なら、マジで知らないっす!」
「ねー!ペトラなら知らないかなー?!聞いてみてくれないかー?」
ほんの一瞬、オルオが表情を曇らせた。
ペトラとは訓練兵時代からの付き合いのあるオルオもまた、彼女の恋の相談相手だった。
リヴァイから、他に好きな人がいるからと別れを告げられたことも、それでいまだに引きずり苦しんでいることも、よく知っているからだろう。
「ペトラなら、なまえさんのとこっすよ!」
「なまえさんーーー?」
「ペトラが姉貴みたいに慕ってる人っす!昨日、知り合いから
なまえさんが風邪でぶっ倒れてるって聞いて、今日が非番だったから
さっき、見舞いに行きました!」
オルオが大声で叫んで答える。
その瞬間に、ふ、と覚えた違和感が、ハンジにハッとさせる。
そして、どこを探してもリヴァイが見当たらないことと繋がってしまった———。
「オルオ!今すぐ、ペトラを連れて帰ってこい!
絶対に、なまえのところに行かせちゃだめだ!」
「はぁ?!なんでっすか!?
なまえさんって、女ですよ!俺も会ったことあるけど、
綺麗で優しくて、うまい飯を食わせてくれるいい人———。」
「リヴァイがいる!」
「どうしてリヴァイ兵長が出てくるんすか?!
リヴァイ兵長がどこにいるか分からないんでしょう?!」
「ペトラと同じ理由だ!昨日の夜から、誰もリヴァイを見てない!
鉢合わせしてしまう前に、早くペトラを追いかけてくれ!!」
「はぁ?どうしてリヴァイ兵長と————。」
そこまで言って、オルオはハッとした顔をした。
血の気が引き、真っ青になっているのが、窓からでも分かった。
その途端に、オルオは全速力で駆けだした。
光のようなスピードで兵門をくぐっていくのを見送って、ハンジは窓の縁に両肘を乗せて頭を抱える。
「いつか、こうなると分かってたよ…。」
ハンジは、ため息を吐きだすように声を漏らす。
隠し通すことなんて、出来ないのだ。
誰かを想う気持ちだって、止められない。
新しい実験を思いついたのだ。
是非、次回の壁外調査で試してみたいとエルヴィンにお願いをしに行ったら、リヴァイの許可が降りなければ無理だと言われてしまった。
確かに、リヴァイの協力が必要不可欠な実験だ。
そう思って、朝から調査兵団兵舎をくまなく探しているのだけれど、全然見つからない。
誰に聞いても、行方を知らない。
一番の有力な情報は、エルドだったが、それも、昨日が非番だった部下の家まで、必要な書類を届けに行ったことまでは知っているのだが、それから見ていないと言われてしまった。
今日が非番だから、どこかで遊んでいるのか———いや、リヴァイはそういうタイプではない。
非番の日こそ、兵舎の自室の掃除にたっぷり時間をかけられると、殺人鬼のような怖い目をキラキラさせる変わっている男だ。
「どこに行ったんだ~?」
廊下の窓を開けながら呟き、頭をボリボリと掻くと、たまったフケが雪のようにハラハラと舞う。
窓の外は、ちょうど兵門あたりになっていて、任務や訓練場へ向かう調査兵が行き交うのが良く見えた。
(まさか、惚れてる女のところとか…。)
ハンジの眉間に無意識に皴が寄る。
だが、すぐに大きく首を横に振った。
リヴァイは、もう二度と会うつもりはないと言った。
潔癖なリヴァイは、嘘もひどく嫌う。会わないと言うのなら、本当に会わないつもりなのだろう。
それなら、どこへいってしまったのだろうか———そんなことを考えながら窓の外に、小さな人類最強の兵士の姿を探していたハンジは、探し人の代わりに、リヴァイの行方を知っていそうな調査兵を見つけた。
「オルオ!おーい!!オルオーーーー!!」
窓から大きく手を振って、どこかへ行こうとしているオルオを呼び止める。
すぐに気が付いたオルオだったが、振り返った途端に、窓の向こうからでも分かるほどに『ゲッ。』とあからさまに嫌そうな顔をする。
だが、それをいちいち気にするようなら、ハンジはリヴァイから『奇行種』とは呼ばれない。
「リヴァイを見てないかーーーー?」
「見てないっす!!じゃ。」
一言、返事だけしてその場から逃げようとするオルオを、ハンジはすぐに呼び止める。
ひどく面倒くさそうにして、オルオがまた振り返り、窓を見上げる。
「リヴァイさんは今日、非番っすよ!部屋で掃除してるんじゃないんすか?」
大声でオルオが言う。
やはりみんな、リヴァイの非番の日の行動について考えるとき、それ一択になるのだろう。
だが———。
「いなかったんだよ!」
「なら、マジで知らないっす!」
「ねー!ペトラなら知らないかなー?!聞いてみてくれないかー?」
ほんの一瞬、オルオが表情を曇らせた。
ペトラとは訓練兵時代からの付き合いのあるオルオもまた、彼女の恋の相談相手だった。
リヴァイから、他に好きな人がいるからと別れを告げられたことも、それでいまだに引きずり苦しんでいることも、よく知っているからだろう。
「ペトラなら、なまえさんのとこっすよ!」
「なまえさんーーー?」
「ペトラが姉貴みたいに慕ってる人っす!昨日、知り合いから
なまえさんが風邪でぶっ倒れてるって聞いて、今日が非番だったから
さっき、見舞いに行きました!」
オルオが大声で叫んで答える。
その瞬間に、ふ、と覚えた違和感が、ハンジにハッとさせる。
そして、どこを探してもリヴァイが見当たらないことと繋がってしまった———。
「オルオ!今すぐ、ペトラを連れて帰ってこい!
絶対に、なまえのところに行かせちゃだめだ!」
「はぁ?!なんでっすか!?
なまえさんって、女ですよ!俺も会ったことあるけど、
綺麗で優しくて、うまい飯を食わせてくれるいい人———。」
「リヴァイがいる!」
「どうしてリヴァイ兵長が出てくるんすか?!
リヴァイ兵長がどこにいるか分からないんでしょう?!」
「ペトラと同じ理由だ!昨日の夜から、誰もリヴァイを見てない!
鉢合わせしてしまう前に、早くペトラを追いかけてくれ!!」
「はぁ?どうしてリヴァイ兵長と————。」
そこまで言って、オルオはハッとした顔をした。
血の気が引き、真っ青になっているのが、窓からでも分かった。
その途端に、オルオは全速力で駆けだした。
光のようなスピードで兵門をくぐっていくのを見送って、ハンジは窓の縁に両肘を乗せて頭を抱える。
「いつか、こうなると分かってたよ…。」
ハンジは、ため息を吐きだすように声を漏らす。
隠し通すことなんて、出来ないのだ。
誰かを想う気持ちだって、止められない。