He really loves me like you do
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私は、父親の隣に立っていた。
小さな頃もそうだったのに、今日は、とても緊張する。
そして、すごく寂しい。
ほんの少しだけ目を伏せると、眩しいくらいにキラキラと輝く真っ白なドレスが、世界で一番の幸せを祝福してくれていた。
だから私は、リヴァイへの永遠の愛と、父親への変わらぬ愛を抱きしめるように、胸元に手を添えて、ギュッと握りしめる。
顔を上げれば、父親の頬を、一筋の涙がこぼれて落ちていくのが見えた。
あ———そう思った時には、目が合ってしまっていた。
「パパが泣いてるの、初めて見ちゃった。」
冗談めかして、私は明るく言った。
私は、普段の父親の反応を知っていた。
リヴァイとそっくりだからだ。
だからきっと、照れて目を逸らすか、同じように冗談にしてしまうと思った。
でも、そうじゃなかった。
父親はとても真剣に、私を見つめて、答える。
「俺は、そんなに綺麗なお前を見たのが、初めてだ。」
「・・・・っ。
お母さんに似たおかげかな…っ。」
「あぁ、きっと、そうだな。
だから、世界で一番幸せな花嫁になれたんだ。」
「———うん。ありがとう。」
目を逸らして、顔を伏せたのは、私の方だった。
少しだけ染まった頬が、強張って引きつる。
ほんの少しでも気を抜いたら、せりあがってくる涙に濡らされて、せっかくのメイクが崩れてしまいそうだった。
「扉を開きます。」
式場のスタッフの合図にあわせて、私は、父親の腕に自分のそれを絡めた。
両開きの大きな扉をゆっくりと開くのを、じっと待ちながら、私は、覚えている限り一番古い想い出にまで遡る。
そこにあるのは、大きな手で私の頬を撫で、抱き上げる父親の満面の笑みだった。
隣で、瞳に涙を浮かべ、なんとか流すまいと唇を噛んでるその人とは、まるで別人のようだ。
けれど、どちらの父親も、感じている気持ちが〝幸せ〟でありますように———そう願いながら、私は、開ききった扉の向こうを見つめる。
式場のスタッフ達と心から愛する人のおかげで、最大限以上に美しくなった花嫁と、彼女をここまで育て上げた父親の姿が、スポットライトに照らされると、大きな歓声と拍手が沸き上がる。
そのちょうど中央に、聖壇よりも少し手前に立つリヴァイがいる。
オーケストラが厳かな音楽を響かせたのを合図に、私と父親は、足を踏み出した。
真っ白いヴァージンロードを、腕を引く父親のリードに身を任せながらも、慎重に進んでいく。
一歩、一歩が、とてもゆっくりだった。
私達は、長い時間をかけて、遡った想い出をひとつひとつ数えながら、今日の日へと向かって歩く。
「ねぇ、パパ。」
「ん?」
厳かな音楽が響く教会の中央、ヴァージンロードを歩く私と父親は、涙が零れそうになっている瞳をそのままに、真っ直ぐに前を見つめていた。
そして、私達だけにしか聞こえない声で、言葉を交わす。
「神様に誓う前に、パパに誓わせてほしいの。」
「あぁ、構わないよ。どうぞ誓ってくれ。」
「リヴァイは、本当に優しくて、素敵な人だよ。
絶対に私を裏切らないし、どんな悲しみからもきっと守ってくれる。」
「そうじゃないと、ここをお前と歩かないさ。」
「そうだね。」
思わずクスリと笑ったら、一粒だけ、涙がこぼれて落ちてしまった。
「私、幸せになるんじゃないの。」
「ん?どういう意味だ?」
「私は、生まれたときから、世界で一番幸せだったから。」
私は、父親の腕に絡めている自分の手に力を込めた。
覚えてはいないけれど、産まれた日にもきっと私は、父親の大きな手を、小さな手でギュッと握りしめたのだろう。
初めて歩いた日の様子は、古いビデオに残っている。
おぼつかない足で、それでも必死に前へ進もうとしていた私が転んでしまった時、手を差し出して立ち上がらせてくれたのは、父親の大きな手だった。
転ぶのが怖いからもう歩きたくないというように、泣きながら抱っこをせがむ幼い頃の私の頭を、父親は愛おしそうに撫でると、一緒に手を繋いで歩いてくれた。
すっかり涙も引っ込んだ幼い私は、まるで、この大きな手があれば、自分はもう二度と転ぶことはないのだと、安心しきったように笑っていた。
それでも、思春期になると、父親との距離感に戸惑ったりもした。
少しだけ、距離が遠くなったこともあったかもしれない。でも、だからって、父親が私のそばからいなくなったことは、一度もない。
父親は、いつも、私の隣にいた。とても優しく温かい目で、ときに厳しい目で、私を見守り続けてくれた。
そして私も、何度転んでも、父親の大きな手が、何度だって起き上がらせてくれると、信じて安心していたような気がする。
「私が、初めて心から愛した人は、
いつの日か、私が最期まで心から愛した人に変わるのが、楽しみで、嬉しいの。」
私の言葉に、父親はもう、返事をしなかった。
顔を見なくても、分かる。
何かを言いたくなくなったわけではない。
ただ、涙を零すまいと唇を噛んでいるのだろう。
ヴァージンロードを共に歩きながら、父親の気持ちが、なんとなく分かった気がした。
リヴァイになら、娘を任せていいって、娘に相応しいかもしれないって、そう思ってくれてる。
「今日から、私を世界で一番幸せにしてくれるのは、パパではなくなるけど、」
リヴァイの前にまでやってきて、私と父親は足を止める。
ゆっくりと上がっていったリヴァイの手が、私の前に差し出された。
ゆるゆる、と父親の腕に絡んでいた私の腕が、離れていく。
でも、リヴァイの元へ行く前に、これだけは、言わせてほしい。
「私を心から愛してくれた初めての男の人は、パパだよ。
———それは、私がどこへいっても、誰といても、永遠に変わらない。」
名残惜し気に遠ざかっていく父親の手が離れてすぐに、ウェディンググローブ越しに、愛おしい温もりを感じる。
ついに、私とリヴァイの手が重なった。
そして、この手はもう二度と、他の誰かを求めることはなく、永遠に離れずに繋がれ続けるのだろう。
優しく守るように握りしめてくれたリヴァイと共に、私は父親と、改めて向かい合う。
私は、めいっぱいに微笑んだ。
なぜなら、私は、世界で一番の幸せ者だからだ。
「私を心から愛してくれた初めての男の人が、パパでよかった。
パパの娘として生まれてきた私は、世界一幸せな娘でした。」
だから私は、自分を心から愛してくれる男の人が、どんな人なのかを学ぶことが出来た。
裏切らない愛も、守ってくれる愛も、叱ってくれる愛や、強く抱きしめてくれる愛を、私はリヴァイに出逢う前から、知っていた。
だから、私は、リヴァイを見つけられた。
あぁ、私は生まれてから今日まで、ずっと、父親に守られて、幸せにしてもらっていたのだと改めて実感する。
「あぁ…っ。俺もだ…っ。
俺にとっても、お前はいつまでも可愛い娘だ…っ。
お前が、誰の隣を歩いていても、変わらない…っ。」
とうとう堪えきれず涙を零した父親に、私とリヴァイは、深くお辞儀をしてから背を向けた。
そして、父親と一歩一歩大切に踏みしめてきたヴァージンロードを、今度は、リヴァイと一緒に、幸せを噛み締めるようにしながら歩いていく。
すぐに辿り着いた聖壇で、神父様が、私達に永遠の愛を問う。
愛し、愛され育って、本当の愛を知っている私達にはもう、迷いはない。
You were the first man that really loved me
and you really love me.
(パパ、あなたは私を心から愛してくれた初めての男の人だった。
そして、今も変わらずに心から私を愛してくれてる。)
「Doctor told me the baby’s gender.」
「Which ? No, wait ... well.., maybe it' a girl.」
「Yeah! You got it!」
「Then I have to tell her.」
「what ?」
「True love, as your dad taught you how.」
小さな頃もそうだったのに、今日は、とても緊張する。
そして、すごく寂しい。
ほんの少しだけ目を伏せると、眩しいくらいにキラキラと輝く真っ白なドレスが、世界で一番の幸せを祝福してくれていた。
だから私は、リヴァイへの永遠の愛と、父親への変わらぬ愛を抱きしめるように、胸元に手を添えて、ギュッと握りしめる。
顔を上げれば、父親の頬を、一筋の涙がこぼれて落ちていくのが見えた。
あ———そう思った時には、目が合ってしまっていた。
「パパが泣いてるの、初めて見ちゃった。」
冗談めかして、私は明るく言った。
私は、普段の父親の反応を知っていた。
リヴァイとそっくりだからだ。
だからきっと、照れて目を逸らすか、同じように冗談にしてしまうと思った。
でも、そうじゃなかった。
父親はとても真剣に、私を見つめて、答える。
「俺は、そんなに綺麗なお前を見たのが、初めてだ。」
「・・・・っ。
お母さんに似たおかげかな…っ。」
「あぁ、きっと、そうだな。
だから、世界で一番幸せな花嫁になれたんだ。」
「———うん。ありがとう。」
目を逸らして、顔を伏せたのは、私の方だった。
少しだけ染まった頬が、強張って引きつる。
ほんの少しでも気を抜いたら、せりあがってくる涙に濡らされて、せっかくのメイクが崩れてしまいそうだった。
「扉を開きます。」
式場のスタッフの合図にあわせて、私は、父親の腕に自分のそれを絡めた。
両開きの大きな扉をゆっくりと開くのを、じっと待ちながら、私は、覚えている限り一番古い想い出にまで遡る。
そこにあるのは、大きな手で私の頬を撫で、抱き上げる父親の満面の笑みだった。
隣で、瞳に涙を浮かべ、なんとか流すまいと唇を噛んでるその人とは、まるで別人のようだ。
けれど、どちらの父親も、感じている気持ちが〝幸せ〟でありますように———そう願いながら、私は、開ききった扉の向こうを見つめる。
式場のスタッフ達と心から愛する人のおかげで、最大限以上に美しくなった花嫁と、彼女をここまで育て上げた父親の姿が、スポットライトに照らされると、大きな歓声と拍手が沸き上がる。
そのちょうど中央に、聖壇よりも少し手前に立つリヴァイがいる。
オーケストラが厳かな音楽を響かせたのを合図に、私と父親は、足を踏み出した。
真っ白いヴァージンロードを、腕を引く父親のリードに身を任せながらも、慎重に進んでいく。
一歩、一歩が、とてもゆっくりだった。
私達は、長い時間をかけて、遡った想い出をひとつひとつ数えながら、今日の日へと向かって歩く。
「ねぇ、パパ。」
「ん?」
厳かな音楽が響く教会の中央、ヴァージンロードを歩く私と父親は、涙が零れそうになっている瞳をそのままに、真っ直ぐに前を見つめていた。
そして、私達だけにしか聞こえない声で、言葉を交わす。
「神様に誓う前に、パパに誓わせてほしいの。」
「あぁ、構わないよ。どうぞ誓ってくれ。」
「リヴァイは、本当に優しくて、素敵な人だよ。
絶対に私を裏切らないし、どんな悲しみからもきっと守ってくれる。」
「そうじゃないと、ここをお前と歩かないさ。」
「そうだね。」
思わずクスリと笑ったら、一粒だけ、涙がこぼれて落ちてしまった。
「私、幸せになるんじゃないの。」
「ん?どういう意味だ?」
「私は、生まれたときから、世界で一番幸せだったから。」
私は、父親の腕に絡めている自分の手に力を込めた。
覚えてはいないけれど、産まれた日にもきっと私は、父親の大きな手を、小さな手でギュッと握りしめたのだろう。
初めて歩いた日の様子は、古いビデオに残っている。
おぼつかない足で、それでも必死に前へ進もうとしていた私が転んでしまった時、手を差し出して立ち上がらせてくれたのは、父親の大きな手だった。
転ぶのが怖いからもう歩きたくないというように、泣きながら抱っこをせがむ幼い頃の私の頭を、父親は愛おしそうに撫でると、一緒に手を繋いで歩いてくれた。
すっかり涙も引っ込んだ幼い私は、まるで、この大きな手があれば、自分はもう二度と転ぶことはないのだと、安心しきったように笑っていた。
それでも、思春期になると、父親との距離感に戸惑ったりもした。
少しだけ、距離が遠くなったこともあったかもしれない。でも、だからって、父親が私のそばからいなくなったことは、一度もない。
父親は、いつも、私の隣にいた。とても優しく温かい目で、ときに厳しい目で、私を見守り続けてくれた。
そして私も、何度転んでも、父親の大きな手が、何度だって起き上がらせてくれると、信じて安心していたような気がする。
「私が、初めて心から愛した人は、
いつの日か、私が最期まで心から愛した人に変わるのが、楽しみで、嬉しいの。」
私の言葉に、父親はもう、返事をしなかった。
顔を見なくても、分かる。
何かを言いたくなくなったわけではない。
ただ、涙を零すまいと唇を噛んでいるのだろう。
ヴァージンロードを共に歩きながら、父親の気持ちが、なんとなく分かった気がした。
リヴァイになら、娘を任せていいって、娘に相応しいかもしれないって、そう思ってくれてる。
「今日から、私を世界で一番幸せにしてくれるのは、パパではなくなるけど、」
リヴァイの前にまでやってきて、私と父親は足を止める。
ゆっくりと上がっていったリヴァイの手が、私の前に差し出された。
ゆるゆる、と父親の腕に絡んでいた私の腕が、離れていく。
でも、リヴァイの元へ行く前に、これだけは、言わせてほしい。
「私を心から愛してくれた初めての男の人は、パパだよ。
———それは、私がどこへいっても、誰といても、永遠に変わらない。」
名残惜し気に遠ざかっていく父親の手が離れてすぐに、ウェディンググローブ越しに、愛おしい温もりを感じる。
ついに、私とリヴァイの手が重なった。
そして、この手はもう二度と、他の誰かを求めることはなく、永遠に離れずに繋がれ続けるのだろう。
優しく守るように握りしめてくれたリヴァイと共に、私は父親と、改めて向かい合う。
私は、めいっぱいに微笑んだ。
なぜなら、私は、世界で一番の幸せ者だからだ。
「私を心から愛してくれた初めての男の人が、パパでよかった。
パパの娘として生まれてきた私は、世界一幸せな娘でした。」
だから私は、自分を心から愛してくれる男の人が、どんな人なのかを学ぶことが出来た。
裏切らない愛も、守ってくれる愛も、叱ってくれる愛や、強く抱きしめてくれる愛を、私はリヴァイに出逢う前から、知っていた。
だから、私は、リヴァイを見つけられた。
あぁ、私は生まれてから今日まで、ずっと、父親に守られて、幸せにしてもらっていたのだと改めて実感する。
「あぁ…っ。俺もだ…っ。
俺にとっても、お前はいつまでも可愛い娘だ…っ。
お前が、誰の隣を歩いていても、変わらない…っ。」
とうとう堪えきれず涙を零した父親に、私とリヴァイは、深くお辞儀をしてから背を向けた。
そして、父親と一歩一歩大切に踏みしめてきたヴァージンロードを、今度は、リヴァイと一緒に、幸せを噛み締めるようにしながら歩いていく。
すぐに辿り着いた聖壇で、神父様が、私達に永遠の愛を問う。
愛し、愛され育って、本当の愛を知っている私達にはもう、迷いはない。
You were the first man that really loved me
and you really love me.
(パパ、あなたは私を心から愛してくれた初めての男の人だった。
そして、今も変わらずに心から私を愛してくれてる。)
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