◇第二十八話◇友人の応援
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リヴァイ兵長の食事の心配をしたことも、申し訳なく思ったことも嘘じゃない。
でも、好きな人に会うための理由を探すのは、恋をしている誰もがすることで。
パンと紅茶を乗せたトレイを持っていく足取りは、もっと軽いはずで。
そのはずだったのに、今の私の足は鉛を引きずっているみたいに重たくて、リヴァイ兵長に会うのを躊躇っていた。
ようやくたどり着いた部屋の前に立って、深呼吸を2、3度繰り返してから、扉をノックする。
「入れ。」
誰か確認することもせず、部屋の主人に促され、私は扉を開いた。
「失礼します。」
「なまえ?」
部屋に入ってきた人物が意外だったのだろう。
執務用のデスクに向かって座っていたリヴァイ兵長は、私の声を聞くと振り向いた。
「食堂に食事が残ってなかったので、リヴァイ兵長がお困りかと思って持ってきました。」
「あぁ、助かる。サシャが食ったらしいな。」
「私の顔を見るなり、嘘みたいな速さで逃げていきましたよ。」
あのときのサシャを思い出して、ため息が出る。
歩き疲れて、お腹がすいて、ワクワクして食堂に行ったのにー。
「それはお前のか。」
リヴァイ兵長が、2つあるトレイの片方を指さして訊ねる。
「はい、もうお腹ペコペコですよ。まぁ、私のせいなんですけどね。
これ、ここに置いておきますね。
お仕事のきりのいいときに召しあがってください。」
パンが2つ乗っている方のトレイをテーブルの上に置いた。
ここに来るまで鉛のように重たかった私の足は、まだここに留まりたいと床に根を生やそうとしている気がした。
でも―。
「それじゃ、おやすみなさい。」
「待て。」
部屋を出ていこうとする私をリヴァイ兵長が呼び止めた。
そして、広げていた書類を綴じ、椅子から立ち上がりながら言う。
「ちょうど休憩しようとしてたところだ。
お前もここで食っていけ。」
そしてその後に仕事を手伝えと言う残念なお誘いも続いたけれど、少し前の私なら小躍りで喜んだはずだ。
まだ一緒にいられる、顔を見ていられる、と。
でもー。
「ハンジさんに、リヴァイ兵長のお仕事を手伝うの禁止されてるんです。」
「無視しとけ。」
「ストヘス区の会議資料をまとめる仕事が残っているので、せっかくのお誘いですが
遠慮させてもらいますね。」
仕事が残っているのは嘘じゃない。
でも、リヴァイ兵長と食事を一緒にして、仕事を手伝ったからって、終わらないような量じゃない。
それに、たとえ徹夜になったって、リヴァイ兵長と一緒にいられるなら、全然構わない。
でも、ペトラの泣いてるみたいな笑い顔が頭をチラチラしてー。
もしも、リヴァイ兵長がそれでもここに残れと言うのなら、自分が可愛い私はきっとー。
「そうか。それなら構わねぇ。部屋に戻れ。」
「…はい。おやすみなさい。」
一礼して、私は部屋を出た。
でも、好きな人に会うための理由を探すのは、恋をしている誰もがすることで。
パンと紅茶を乗せたトレイを持っていく足取りは、もっと軽いはずで。
そのはずだったのに、今の私の足は鉛を引きずっているみたいに重たくて、リヴァイ兵長に会うのを躊躇っていた。
ようやくたどり着いた部屋の前に立って、深呼吸を2、3度繰り返してから、扉をノックする。
「入れ。」
誰か確認することもせず、部屋の主人に促され、私は扉を開いた。
「失礼します。」
「なまえ?」
部屋に入ってきた人物が意外だったのだろう。
執務用のデスクに向かって座っていたリヴァイ兵長は、私の声を聞くと振り向いた。
「食堂に食事が残ってなかったので、リヴァイ兵長がお困りかと思って持ってきました。」
「あぁ、助かる。サシャが食ったらしいな。」
「私の顔を見るなり、嘘みたいな速さで逃げていきましたよ。」
あのときのサシャを思い出して、ため息が出る。
歩き疲れて、お腹がすいて、ワクワクして食堂に行ったのにー。
「それはお前のか。」
リヴァイ兵長が、2つあるトレイの片方を指さして訊ねる。
「はい、もうお腹ペコペコですよ。まぁ、私のせいなんですけどね。
これ、ここに置いておきますね。
お仕事のきりのいいときに召しあがってください。」
パンが2つ乗っている方のトレイをテーブルの上に置いた。
ここに来るまで鉛のように重たかった私の足は、まだここに留まりたいと床に根を生やそうとしている気がした。
でも―。
「それじゃ、おやすみなさい。」
「待て。」
部屋を出ていこうとする私をリヴァイ兵長が呼び止めた。
そして、広げていた書類を綴じ、椅子から立ち上がりながら言う。
「ちょうど休憩しようとしてたところだ。
お前もここで食っていけ。」
そしてその後に仕事を手伝えと言う残念なお誘いも続いたけれど、少し前の私なら小躍りで喜んだはずだ。
まだ一緒にいられる、顔を見ていられる、と。
でもー。
「ハンジさんに、リヴァイ兵長のお仕事を手伝うの禁止されてるんです。」
「無視しとけ。」
「ストヘス区の会議資料をまとめる仕事が残っているので、せっかくのお誘いですが
遠慮させてもらいますね。」
仕事が残っているのは嘘じゃない。
でも、リヴァイ兵長と食事を一緒にして、仕事を手伝ったからって、終わらないような量じゃない。
それに、たとえ徹夜になったって、リヴァイ兵長と一緒にいられるなら、全然構わない。
でも、ペトラの泣いてるみたいな笑い顔が頭をチラチラしてー。
もしも、リヴァイ兵長がそれでもここに残れと言うのなら、自分が可愛い私はきっとー。
「そうか。それなら構わねぇ。部屋に戻れ。」
「…はい。おやすみなさい。」
一礼して、私は部屋を出た。