◇第二十七話◇好きになってもいい人ですか?
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またあの夢だー。
白い砂の絨毯と地平線の向こうにまで続く大きな湖。
そして、隣に座って私の手を握る誰か。
触れたことがあるような気がする感触を確かめるように、握りしめる手に力を込めた。
そうすると、その手も応えるように握り返してくれた。
やっぱり、私はこの手を知っている。
隣にいてくれるだけでホッとする、この安心感も。
誰だっけ。知っている人のはずなのに、頭がボーっとしていて分からない。
眩しい光が、誰かの顔を隠す。
顔を覗き込もうとする私の髪を、その人は優しく撫でた。
それが気持ちよくて、なんだか眠たくなる。
幸せってこういうことを言うんだー漠然と、そんなことを思った。
そっと閉じる瞳、近づく2人の距離。
そして―。
唇に何かが触れたのを感じて、私は目を覚ました。
「起きたか。」
唇が触れるか触れないかの至近距離、そこにリヴァイ兵長の顔があった。
切れ長の2つの瞳がすぐそこにあって、何が起こっているのかわからず目を見開く私を見下ろしている。
「あの…?」
「なんで、てめぇが寝てるんだ。起こせと言っただろ。
夜になっちまうじゃねーか。」
そういえば、リヴァイ兵長越しに見える空はもう真っ赤を通り越して紫色になろうとしている。
どうしてここにいるんだったっけ。
ぼんやりとする頭で、状況をなんとなく思い出していく。
あれから、いつの間にか私も眠っていたようだ。
「いつまで寝ぼけてんだ。いくぞ。」
リヴァイ兵長に起こされて、さっきからずっと手を握っていたことに気が付いた。
そういえば、何か夢を見ていた気がするのだが思い出せない。
この手が関係あったような気がするのだけれど―。
「おい、いつまでそうしてるつもりだ。」
握りしめている手をじーっと見て記憶を辿っていると、リヴァイ兵長に窘められた。
ようやく恥ずかしいことをしていることに気が付いて、慌てて手を離して謝る。
リヴァイ兵長の言う通り、寝ぼけていたらしい。
手が離れたリヴァイ兵長は、私を見ることもせずに、馬の元へと行ってしまった。
チクリと胸は痛んだが、テュランの機嫌も気になったから、リヴァイ兵長の背中を急いで追いかけた。
「ごめんね、眠っちゃってて。」
手綱を木から解きながら謝ったけれど、テュランは、大変ご立腹な様子だった。
唸り声をあげて、少し休憩したら散歩をするという約束を守らなかった主人を責める。
今度は必ずたくさん散歩をするから、と必死にテュランを説得するがこちらを向いてもくれない。
参った。壁外調査前に親睦を深めようと思っていたのに、それどころか嫌われてしまった。最悪だ。
このままでは、怒りのまま振り落とされて、壁外でひとりぼっちで迷子になってしまうんじゃ―。
「どうしましょう…、リヴァイ兵長。」
真っ青になって、リヴァイ兵長を見たけれど、スーッと目を反らされた。
そんな、あんまりだ。
泣き出しそうな私に、ついにリヴァイ兵長が折れた。
ため息を吐いたリヴァイ兵長は、テュランに勝手な約束をする。
「今度の壁外調査から帰ってきたら、林檎をたらふく食わせてもらえ。」
「え!?」
確かに馬にご褒美として林檎をあげることもある。
でも、林檎は高級品で、私の給料ではたらふくなんて―。
嬉しそうな鳴き声を上げて、鼻先で頬を撫でてきたテュランに、それはダメだなんて言えない。
暴れ馬と勝手な約束をしたリヴァイ兵長は、さっさと馬に乗って行ってしまう。
その後姿を眺めながら、私は自分の唇にそっと触れた。
さっき、目が覚める直前、私の唇に何か触れなかったか。
それはもしかして、リヴァイ兵長の唇だったんじゃないのか。
どうして、手を握っていたんだろう。
リヴァイ兵長はいつも通りで、何を考えているのか全く分からない。
それとも、私はただ寝ぼけていただけー?
「おい、早くしろ。」
リヴァイ兵長が後ろを向いた。
すぐに返事をし、私はテュランの背中に乗る。
「…生きて帰らせてよ。」
鬣を撫でると、もちろんだ!とばかりにテュランが前脚を上げた。
よし、やる気があるのはとてもいい。
でも、戻ってきてくれないだろうか。
ビックリして背中から落ちた主人を置いていくのは、やめてください、本当に―。
白い砂の絨毯と地平線の向こうにまで続く大きな湖。
そして、隣に座って私の手を握る誰か。
触れたことがあるような気がする感触を確かめるように、握りしめる手に力を込めた。
そうすると、その手も応えるように握り返してくれた。
やっぱり、私はこの手を知っている。
隣にいてくれるだけでホッとする、この安心感も。
誰だっけ。知っている人のはずなのに、頭がボーっとしていて分からない。
眩しい光が、誰かの顔を隠す。
顔を覗き込もうとする私の髪を、その人は優しく撫でた。
それが気持ちよくて、なんだか眠たくなる。
幸せってこういうことを言うんだー漠然と、そんなことを思った。
そっと閉じる瞳、近づく2人の距離。
そして―。
唇に何かが触れたのを感じて、私は目を覚ました。
「起きたか。」
唇が触れるか触れないかの至近距離、そこにリヴァイ兵長の顔があった。
切れ長の2つの瞳がすぐそこにあって、何が起こっているのかわからず目を見開く私を見下ろしている。
「あの…?」
「なんで、てめぇが寝てるんだ。起こせと言っただろ。
夜になっちまうじゃねーか。」
そういえば、リヴァイ兵長越しに見える空はもう真っ赤を通り越して紫色になろうとしている。
どうしてここにいるんだったっけ。
ぼんやりとする頭で、状況をなんとなく思い出していく。
あれから、いつの間にか私も眠っていたようだ。
「いつまで寝ぼけてんだ。いくぞ。」
リヴァイ兵長に起こされて、さっきからずっと手を握っていたことに気が付いた。
そういえば、何か夢を見ていた気がするのだが思い出せない。
この手が関係あったような気がするのだけれど―。
「おい、いつまでそうしてるつもりだ。」
握りしめている手をじーっと見て記憶を辿っていると、リヴァイ兵長に窘められた。
ようやく恥ずかしいことをしていることに気が付いて、慌てて手を離して謝る。
リヴァイ兵長の言う通り、寝ぼけていたらしい。
手が離れたリヴァイ兵長は、私を見ることもせずに、馬の元へと行ってしまった。
チクリと胸は痛んだが、テュランの機嫌も気になったから、リヴァイ兵長の背中を急いで追いかけた。
「ごめんね、眠っちゃってて。」
手綱を木から解きながら謝ったけれど、テュランは、大変ご立腹な様子だった。
唸り声をあげて、少し休憩したら散歩をするという約束を守らなかった主人を責める。
今度は必ずたくさん散歩をするから、と必死にテュランを説得するがこちらを向いてもくれない。
参った。壁外調査前に親睦を深めようと思っていたのに、それどころか嫌われてしまった。最悪だ。
このままでは、怒りのまま振り落とされて、壁外でひとりぼっちで迷子になってしまうんじゃ―。
「どうしましょう…、リヴァイ兵長。」
真っ青になって、リヴァイ兵長を見たけれど、スーッと目を反らされた。
そんな、あんまりだ。
泣き出しそうな私に、ついにリヴァイ兵長が折れた。
ため息を吐いたリヴァイ兵長は、テュランに勝手な約束をする。
「今度の壁外調査から帰ってきたら、林檎をたらふく食わせてもらえ。」
「え!?」
確かに馬にご褒美として林檎をあげることもある。
でも、林檎は高級品で、私の給料ではたらふくなんて―。
嬉しそうな鳴き声を上げて、鼻先で頬を撫でてきたテュランに、それはダメだなんて言えない。
暴れ馬と勝手な約束をしたリヴァイ兵長は、さっさと馬に乗って行ってしまう。
その後姿を眺めながら、私は自分の唇にそっと触れた。
さっき、目が覚める直前、私の唇に何か触れなかったか。
それはもしかして、リヴァイ兵長の唇だったんじゃないのか。
どうして、手を握っていたんだろう。
リヴァイ兵長はいつも通りで、何を考えているのか全く分からない。
それとも、私はただ寝ぼけていただけー?
「おい、早くしろ。」
リヴァイ兵長が後ろを向いた。
すぐに返事をし、私はテュランの背中に乗る。
「…生きて帰らせてよ。」
鬣を撫でると、もちろんだ!とばかりにテュランが前脚を上げた。
よし、やる気があるのはとてもいい。
でも、戻ってきてくれないだろうか。
ビックリして背中から落ちた主人を置いていくのは、やめてください、本当に―。