◇第二十七話◇好きになってもいい人ですか?
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リヴァイ兵長は、カラネス区からの帰りだったそうだ。
すぐそこまで迫っている壁外調査の出発地点の視察のためらしい。
特に問題もなく、予定通りに出発できそうだと教えてもらったけれど、素直に良かったと喜んでいいのかは分からなかった。
「どうして新兵の参加が中止になったんですか?」
馬小屋で偶然会ったミカサに怖い顔で睨まれたのを思い出して、リヴァイ兵長に訊ねた。
新兵の壁外調査の参加は中止になったとはいえ、巨人化したエレンの巨人捕獲作戦については予定通り行うことになっている。
エレンが行くのなら自分も行く、と荒れ続けているミカサにアルミン達は困り果てている様子だった。
「エルヴィンがそう判断した。何か考えがあるんだろう。」
「そうでしょうけど…。」
何を言っても、リヴァイ兵長から望むような答えはもらえない気がして、私は口を噤む。
新兵勧誘式であんなに脅しておいて、やっぱり連れて行かない、なんて勝手すぎる。
命を懸ける覚悟をしてやってきた彼らにとって、寿命が少しだけ延びたねなんて言えるようなものではないのだ。
私が黙れば、口数の多くないリヴァイ兵長との会話はなくなる。
沈黙が訪れたけれど、柔らかく流れる風が頬を撫でてくれるおかげで、あまり気にならなかった。
気持ちのいい風を受けながら、私はルルに言われたことを思い出していた。
あの日のキッチンでのこと、確かめるチャンスはきっと今しかない。
リヴァイ兵長と2人きりになる機会なんてなかなか訪れないし、壁外調査の後は永遠にその機会は失われるかもしれないのだ。私の命と共に―。
それならー。
「ストヘス区では、私の嘘に付き合ってくれて、ありがとうございました。」
あの日のことのお礼を言った私に、リヴァイ兵長は少し間をおいてから答えた。
「あの後、ハンジから経緯は聞いた。
おれは構わねぇが、お前はあれでいいのか。」
「いいんです。自分で決めたことだから。
でも、そのせいでリヴァイ兵長に最低な嘘吐かせてしまうことになって、ごめんなさい。
-恋人がいるのに。」
心臓が破裂しそうだった。
声が震えていた気がする。
謝罪とお礼を伝えてるフリして、私はただリヴァイ兵長の反応と答えが知りたいだけ。
本当に最低だけれど、これが、臆病な私の精一杯。
訝しげな顔で私を見たリヴァイ兵長は、思案するように視線を上げた後、口を開いた。
「何の話か知らねぇが、おれにそんなもんはいねぇ。」
リヴァイ兵長が言った言葉は、可能性はすごく低いけれどそうだったらいいな、と私が思っていた通りのそれだった。
私の勘違いじゃないか、と言っていたときのルルの顔が頭に浮かんだ。
あれは本当に私の勘違いだったんだろうか。
それとも、リヴァイ兵長は、ペトラとの秘密を守ろうとしているだけなのだろうか。
「前に談話室のキッチンで、その…。
私がティーカップを落として割ったとき…。
その、…見てしまったんです。」
何と言えばいいか分からず、口ごもりながらも、あの日の真相に少しでも近づきたくて勇気を出した。
あの日のキッチンでのことをリヴァイ兵長が覚えているのなら、これで伝わるはずだ。
でも―。
「見られちゃ困るようなもんはねぇと思うが。」
「…嘘です。」
「なんでお前にわざわざ嘘を吐く必要がある。」
「だって、私、見ました。
リヴァイ兵長が、ペトラに、キ…、キスしようとしてるところをっ。」
リヴァイ兵長が平然と答えるから、思わず言ってしまった。
ハッキリと、あぁ、ハッキリと。
私は言葉をぶつけてしまった。
目を見開くリヴァイ兵長は、さすがに驚いたみたいで、数秒時が止まったように感じた。
でもすぐに、見開いた瞳はスッと細くなり、苛立ちを隠しもせずにリヴァイ兵長は、チッと舌打ちした。
すぐそこまで迫っている壁外調査の出発地点の視察のためらしい。
特に問題もなく、予定通りに出発できそうだと教えてもらったけれど、素直に良かったと喜んでいいのかは分からなかった。
「どうして新兵の参加が中止になったんですか?」
馬小屋で偶然会ったミカサに怖い顔で睨まれたのを思い出して、リヴァイ兵長に訊ねた。
新兵の壁外調査の参加は中止になったとはいえ、巨人化したエレンの巨人捕獲作戦については予定通り行うことになっている。
エレンが行くのなら自分も行く、と荒れ続けているミカサにアルミン達は困り果てている様子だった。
「エルヴィンがそう判断した。何か考えがあるんだろう。」
「そうでしょうけど…。」
何を言っても、リヴァイ兵長から望むような答えはもらえない気がして、私は口を噤む。
新兵勧誘式であんなに脅しておいて、やっぱり連れて行かない、なんて勝手すぎる。
命を懸ける覚悟をしてやってきた彼らにとって、寿命が少しだけ延びたねなんて言えるようなものではないのだ。
私が黙れば、口数の多くないリヴァイ兵長との会話はなくなる。
沈黙が訪れたけれど、柔らかく流れる風が頬を撫でてくれるおかげで、あまり気にならなかった。
気持ちのいい風を受けながら、私はルルに言われたことを思い出していた。
あの日のキッチンでのこと、確かめるチャンスはきっと今しかない。
リヴァイ兵長と2人きりになる機会なんてなかなか訪れないし、壁外調査の後は永遠にその機会は失われるかもしれないのだ。私の命と共に―。
それならー。
「ストヘス区では、私の嘘に付き合ってくれて、ありがとうございました。」
あの日のことのお礼を言った私に、リヴァイ兵長は少し間をおいてから答えた。
「あの後、ハンジから経緯は聞いた。
おれは構わねぇが、お前はあれでいいのか。」
「いいんです。自分で決めたことだから。
でも、そのせいでリヴァイ兵長に最低な嘘吐かせてしまうことになって、ごめんなさい。
-恋人がいるのに。」
心臓が破裂しそうだった。
声が震えていた気がする。
謝罪とお礼を伝えてるフリして、私はただリヴァイ兵長の反応と答えが知りたいだけ。
本当に最低だけれど、これが、臆病な私の精一杯。
訝しげな顔で私を見たリヴァイ兵長は、思案するように視線を上げた後、口を開いた。
「何の話か知らねぇが、おれにそんなもんはいねぇ。」
リヴァイ兵長が言った言葉は、可能性はすごく低いけれどそうだったらいいな、と私が思っていた通りのそれだった。
私の勘違いじゃないか、と言っていたときのルルの顔が頭に浮かんだ。
あれは本当に私の勘違いだったんだろうか。
それとも、リヴァイ兵長は、ペトラとの秘密を守ろうとしているだけなのだろうか。
「前に談話室のキッチンで、その…。
私がティーカップを落として割ったとき…。
その、…見てしまったんです。」
何と言えばいいか分からず、口ごもりながらも、あの日の真相に少しでも近づきたくて勇気を出した。
あの日のキッチンでのことをリヴァイ兵長が覚えているのなら、これで伝わるはずだ。
でも―。
「見られちゃ困るようなもんはねぇと思うが。」
「…嘘です。」
「なんでお前にわざわざ嘘を吐く必要がある。」
「だって、私、見ました。
リヴァイ兵長が、ペトラに、キ…、キスしようとしてるところをっ。」
リヴァイ兵長が平然と答えるから、思わず言ってしまった。
ハッキリと、あぁ、ハッキリと。
私は言葉をぶつけてしまった。
目を見開くリヴァイ兵長は、さすがに驚いたみたいで、数秒時が止まったように感じた。
でもすぐに、見開いた瞳はスッと細くなり、苛立ちを隠しもせずにリヴァイ兵長は、チッと舌打ちした。