エピローグ
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主役の2人を彼らの親友が呼びに行った後、式の準備が残っているというペトラ達に続いて、そろそろ式も始まるし自分達も教会へ向かおうと招待客もぞろぞろと家を出ていく。
「ミケ、顔色が悪いな。」
「仲人の挨拶を前に緊張して、胃液なくなるまで吐いたんです…。」
「…そうか。」
「…エルヴィン、挙式の後のパーティーでお前は司会をするんだろう?
なぜ、平気そうでいられる。」
相変わらず青い顔をしたミケの背中をルルが擦る。
責任は感じてはいたものの、特にプレッシャーを感じていなかったエルヴィンだが、ミケのせいで緊張してきてしまった。
そこへ、ナナバとゲルガーが追いかけてきて、暇すぎて庭で始めていたバドミントンの勝敗を教えてくれた。
全く緊張していない彼らのことを、ミケとエルヴィンは心底羨ましく思った。
「それで、ヒルラ。俺達の結婚式はどこでしようか?
お城で盛大にするのがいいかなって思ってるんだけど。」
「私を最高のお姫様にしてね。」
「仰せのままに、僕のプリンセス。」
「いいなぁ、ヒルラ。王子様と結婚なんて。」
「フロリアンは先月、のんびりした優しそうな人と結婚したじゃない。」
「それはそれ、王子様は王子様よ。」
「まぁ、確かに王子様だけど、悪魔よ。」
「本当残念だよねぇ。顔もスタイルも、出身も最高なのに…。
性格だけがねぇ…。」
「今となってはルーカスの悪魔っぷりはバレバレだけどさ、
本物の王子様に一目惚れされて、プロポーズまでされたのに、相手にしないどころか
いつか騎士が迎えに来るとかわけわかんないこと言うなまえが信じられなかったわ。」
「そうそう。早く目を覚まさせてやらないとって
親友として使命感にかられたわ。あのときは本気で。」
「騎士?」
「ほら、子供の頃に親が読んでくれたおとぎ話なかった?
悪魔の王子に騙されたお姫様を騎士が救ってくれるやつ。
あの騎士が大好きなのよ、なまえ。」
「あぁ、それでね。夢見る少女の目を覚ませてやりたかったわけね。」
「その物語が好きすぎて、悪魔王子を見抜いちゃったのかしら。」
「もしかして、君たちは俺のことを悪魔王子って言ってる?」
「そうよ。あなたは悪魔王子。」
「それで、彼は騎士なのよね。」
「昔からモテるのに恋人を1人も作らないで待ち続けて
運命の人と出逢ってすぐに初めての恋に落ちて、
あっという間に結婚しちゃうー。ロマンチックだなぁ。」
「どこの恋愛小説って感じよね。」
ヒルラとルーカス、フロリアン達は、親友の珍しい恋物語の話で盛り上がる。
恋人になりたいという男からの申し出は幾つもあったし、その中には本当に素敵な男性だっていたのだ。
それなのに誰ひとりとして相手にしなかった親友のことをずっと心配に思っていた彼女達は、漸く幸せを見つけてくれて心底ホッとしていた。
それに、親友が初めての恋をした彼は、一見すると冷たそうなのだけれど、仲間や部下に慕われるとても素敵な男性だった。
親友のことも心から愛しているのが、ふたりのやり取りからも伝わっている。
彼になら、大切な親友を任せられると思えるくらいにー。
そんな彼女達の横をエレンら年下同期組が駆け抜けていった。
丘を降りて少し歩いた先にある教会に誰が最初に到着するかの勝負が始まったらしい。
ぶっちぎりで1位のミカサをライナーとベルトルトが追いかける。その後ろではジャンとエレンが睨み合いながら走っている。そのさらに後ろをアルミンが必死に追いかけていた。
本気で勝負をしているのは彼らだけのようで、サシャとコニーは、どっちの方が奇抜な走り方が出来るかという新しい勝負を始めている。
そして、そんな阿呆な同期達の背中をヒストリアとユミルが呆れた様子で眺めながら歩いていた。
「飾りつけ、ありがとうございます。とっても可愛いかったわ。」
「いえいえっ。頼れる同僚と可愛いお嫁さんの幸せのためのお手伝いを
私たちがやりたかっただけですからっ。」
頭を下げるなまえの母に、ハンジは顔の前に両手を持ってきて左右に振った。
モブリットやニファ達もとても楽しかったと言えば、クシェルが嬉しそうに微笑んだ。
どちらかというとおしとやかで、優しい雰囲気の彼女は、ハンジ達の知っている同僚と全く重ならなかった。
なまえと出逢ってから少しずつ表情が柔らかくなったとはいえ、いつ見ても無表情で何を考えているか分からないような男が彼女の息子だなんてー。
むしろ、口の悪さがソックリの叔父ケニーの方が、血が濃そうだ。
「おいおい、いつまでめそめそしてんだよ。シャキッとしやがれっ。」
「…千鳥足の君には言われたくないよ。」
「確かになっ!!」
ケニーに肩を抱かれているなまえの父親は、朝からずっと元気がない。
娘が一生を捧げると決めた男のことを認めてはいるし、仲良くはしているようだったが、自分の手から離れてしまうのがとても寂しいらしい。
「なんだか、私達までドキドキしちゃいますね。」
「えぇ、本当に。」
なまえの母親とクシェルが顔を見合わせて、困ったように笑う。
寂しくてたまらなそうな男性陣とは違って、どちらかというと、彼女達は安心の方が勝っているようだった。
「それにしても、可愛らしい家だなぁ。」
歩きながら後ろを振り返ったハンジは、小さな赤い屋根の家を見上げた。
なまえのイメージには合うのだけれどー。
ここに殺し屋のような目をした男が住んでいるなんて誰も思わないはずだ。
「どうしても海が見えるところがいいって、2人で探して決めたんだっけ。」
「そうなんですか?」
「出逢いが海だったからなのかな?」
「そうかもな。」
ハンジ達の話が聞こえてきたのか、なまえの母親が困った顔をして言った。
「たぶん、海が大好きななまえが、我儘を言ったんですよ。
昔から暇さえあれば海に行っては、いつかきっと運命の人が迎えに来るってそればかりだったもの。
このまま海と結婚するんじゃないかと心配してたくらいですよ。」
「まぁ…!同じね。リヴァイも昔から、何処へ行っても、まず最初に向かうのは海だったわ。
でも、海で遊ぶわけでも、地平線を眺めるわけでもなくて、ただ辺りを見渡すの。」
「分かります!!私達と仕事で世界中を飛び回ってるときも、
リヴァイはいつもそうだった!!」
ハンジが興奮気味に言う。
モブリット達にも心当たりがあった。
でも、そういえば、この前の出張の時は、リヴァイは海にすら行かず、なまえへの土産を真剣に探していたっけ。
「もしかしたら、2人は本当にお互いを探し合ってたのかもしれないわね。」
なまえの母親は、感慨深げに呟くように言う。
いつまでも運命の人がどうだとか、騎士がどうだとか、夢見る少女のようなことを言っていたなまえが、初めて家に連れてきたのがリヴァイだった。
そのとき、本当にとても不思議なのだけれど、この青年が娘の運命の人だと確信したのだ。
なぜか、初めて会ったはずなのに、どこかで逢ったことがあるような気もしてー。
「そうね。私もそう思うわ。
だって、初めてリヴァイがなまえを紹介してくれたとき、
あぁ、運命の人を見つけたんだって確信したんだもの。」
クシェルが柔らかく微笑む。
全く同じことを考えていたー、なまえの母親は驚きつつも、とても嬉しかった。
これから先の娘の未来が、幸せで溢れていることを確信できたような気がしたからー。
「やっと、2人は結婚できるんだね。長かったなぁ…。
ほんと…、よかった。すごく、嬉しい…。」
ハンジは少し目を伏せる。
胸がジンとして、温かくなって、でもすごく苦しい。
幸せで嬉しいのに、なぜか、引き裂かれそうな胸の痛みを思い出しそうでー。
「長くはないですよね?お互い一目惚れですぐに付き合いだしたから、
まだ出逢って半年ですよ。それで、あっという間に結婚決めちゃって今日ですから
むしろ早くないですか?」
ニファが不思議そうに首を傾げた。
あぁ、そうかー。
ハンジもハッとする。
確かに、かなりのスピード婚だ。
結婚なんてしなさそうな男だと思っていたから、同僚達は一様に驚いていたし、リヴァイに憧れていた女の子達が、あっという間に彼の心を掴んだなまえを羨んでいたのを思い出す。
そう、確かに、出逢ってから今日の日を迎えるまで、本当に早かった。
まるで、出逢うまでの時間を埋めるように、待ち焦がれていたときを急かしているみたいにー。
「不思議ですね。私もずっと同じことを思っていたんです。
やっと、2人は幸せになれるのかって。」
モブリットが呟くように言って、空を見上げた。
雲一つない澄んだ青い空は海のようで、とても綺麗だ。
柔らかい日差しはきっと、永遠の愛を誓う2人を優しく包んでくれるだろう。
それはきっと、まるで神様の寵愛のようにー。
「ミケ、顔色が悪いな。」
「仲人の挨拶を前に緊張して、胃液なくなるまで吐いたんです…。」
「…そうか。」
「…エルヴィン、挙式の後のパーティーでお前は司会をするんだろう?
なぜ、平気そうでいられる。」
相変わらず青い顔をしたミケの背中をルルが擦る。
責任は感じてはいたものの、特にプレッシャーを感じていなかったエルヴィンだが、ミケのせいで緊張してきてしまった。
そこへ、ナナバとゲルガーが追いかけてきて、暇すぎて庭で始めていたバドミントンの勝敗を教えてくれた。
全く緊張していない彼らのことを、ミケとエルヴィンは心底羨ましく思った。
「それで、ヒルラ。俺達の結婚式はどこでしようか?
お城で盛大にするのがいいかなって思ってるんだけど。」
「私を最高のお姫様にしてね。」
「仰せのままに、僕のプリンセス。」
「いいなぁ、ヒルラ。王子様と結婚なんて。」
「フロリアンは先月、のんびりした優しそうな人と結婚したじゃない。」
「それはそれ、王子様は王子様よ。」
「まぁ、確かに王子様だけど、悪魔よ。」
「本当残念だよねぇ。顔もスタイルも、出身も最高なのに…。
性格だけがねぇ…。」
「今となってはルーカスの悪魔っぷりはバレバレだけどさ、
本物の王子様に一目惚れされて、プロポーズまでされたのに、相手にしないどころか
いつか騎士が迎えに来るとかわけわかんないこと言うなまえが信じられなかったわ。」
「そうそう。早く目を覚まさせてやらないとって
親友として使命感にかられたわ。あのときは本気で。」
「騎士?」
「ほら、子供の頃に親が読んでくれたおとぎ話なかった?
悪魔の王子に騙されたお姫様を騎士が救ってくれるやつ。
あの騎士が大好きなのよ、なまえ。」
「あぁ、それでね。夢見る少女の目を覚ませてやりたかったわけね。」
「その物語が好きすぎて、悪魔王子を見抜いちゃったのかしら。」
「もしかして、君たちは俺のことを悪魔王子って言ってる?」
「そうよ。あなたは悪魔王子。」
「それで、彼は騎士なのよね。」
「昔からモテるのに恋人を1人も作らないで待ち続けて
運命の人と出逢ってすぐに初めての恋に落ちて、
あっという間に結婚しちゃうー。ロマンチックだなぁ。」
「どこの恋愛小説って感じよね。」
ヒルラとルーカス、フロリアン達は、親友の珍しい恋物語の話で盛り上がる。
恋人になりたいという男からの申し出は幾つもあったし、その中には本当に素敵な男性だっていたのだ。
それなのに誰ひとりとして相手にしなかった親友のことをずっと心配に思っていた彼女達は、漸く幸せを見つけてくれて心底ホッとしていた。
それに、親友が初めての恋をした彼は、一見すると冷たそうなのだけれど、仲間や部下に慕われるとても素敵な男性だった。
親友のことも心から愛しているのが、ふたりのやり取りからも伝わっている。
彼になら、大切な親友を任せられると思えるくらいにー。
そんな彼女達の横をエレンら年下同期組が駆け抜けていった。
丘を降りて少し歩いた先にある教会に誰が最初に到着するかの勝負が始まったらしい。
ぶっちぎりで1位のミカサをライナーとベルトルトが追いかける。その後ろではジャンとエレンが睨み合いながら走っている。そのさらに後ろをアルミンが必死に追いかけていた。
本気で勝負をしているのは彼らだけのようで、サシャとコニーは、どっちの方が奇抜な走り方が出来るかという新しい勝負を始めている。
そして、そんな阿呆な同期達の背中をヒストリアとユミルが呆れた様子で眺めながら歩いていた。
「飾りつけ、ありがとうございます。とっても可愛いかったわ。」
「いえいえっ。頼れる同僚と可愛いお嫁さんの幸せのためのお手伝いを
私たちがやりたかっただけですからっ。」
頭を下げるなまえの母に、ハンジは顔の前に両手を持ってきて左右に振った。
モブリットやニファ達もとても楽しかったと言えば、クシェルが嬉しそうに微笑んだ。
どちらかというとおしとやかで、優しい雰囲気の彼女は、ハンジ達の知っている同僚と全く重ならなかった。
なまえと出逢ってから少しずつ表情が柔らかくなったとはいえ、いつ見ても無表情で何を考えているか分からないような男が彼女の息子だなんてー。
むしろ、口の悪さがソックリの叔父ケニーの方が、血が濃そうだ。
「おいおい、いつまでめそめそしてんだよ。シャキッとしやがれっ。」
「…千鳥足の君には言われたくないよ。」
「確かになっ!!」
ケニーに肩を抱かれているなまえの父親は、朝からずっと元気がない。
娘が一生を捧げると決めた男のことを認めてはいるし、仲良くはしているようだったが、自分の手から離れてしまうのがとても寂しいらしい。
「なんだか、私達までドキドキしちゃいますね。」
「えぇ、本当に。」
なまえの母親とクシェルが顔を見合わせて、困ったように笑う。
寂しくてたまらなそうな男性陣とは違って、どちらかというと、彼女達は安心の方が勝っているようだった。
「それにしても、可愛らしい家だなぁ。」
歩きながら後ろを振り返ったハンジは、小さな赤い屋根の家を見上げた。
なまえのイメージには合うのだけれどー。
ここに殺し屋のような目をした男が住んでいるなんて誰も思わないはずだ。
「どうしても海が見えるところがいいって、2人で探して決めたんだっけ。」
「そうなんですか?」
「出逢いが海だったからなのかな?」
「そうかもな。」
ハンジ達の話が聞こえてきたのか、なまえの母親が困った顔をして言った。
「たぶん、海が大好きななまえが、我儘を言ったんですよ。
昔から暇さえあれば海に行っては、いつかきっと運命の人が迎えに来るってそればかりだったもの。
このまま海と結婚するんじゃないかと心配してたくらいですよ。」
「まぁ…!同じね。リヴァイも昔から、何処へ行っても、まず最初に向かうのは海だったわ。
でも、海で遊ぶわけでも、地平線を眺めるわけでもなくて、ただ辺りを見渡すの。」
「分かります!!私達と仕事で世界中を飛び回ってるときも、
リヴァイはいつもそうだった!!」
ハンジが興奮気味に言う。
モブリット達にも心当たりがあった。
でも、そういえば、この前の出張の時は、リヴァイは海にすら行かず、なまえへの土産を真剣に探していたっけ。
「もしかしたら、2人は本当にお互いを探し合ってたのかもしれないわね。」
なまえの母親は、感慨深げに呟くように言う。
いつまでも運命の人がどうだとか、騎士がどうだとか、夢見る少女のようなことを言っていたなまえが、初めて家に連れてきたのがリヴァイだった。
そのとき、本当にとても不思議なのだけれど、この青年が娘の運命の人だと確信したのだ。
なぜか、初めて会ったはずなのに、どこかで逢ったことがあるような気もしてー。
「そうね。私もそう思うわ。
だって、初めてリヴァイがなまえを紹介してくれたとき、
あぁ、運命の人を見つけたんだって確信したんだもの。」
クシェルが柔らかく微笑む。
全く同じことを考えていたー、なまえの母親は驚きつつも、とても嬉しかった。
これから先の娘の未来が、幸せで溢れていることを確信できたような気がしたからー。
「やっと、2人は結婚できるんだね。長かったなぁ…。
ほんと…、よかった。すごく、嬉しい…。」
ハンジは少し目を伏せる。
胸がジンとして、温かくなって、でもすごく苦しい。
幸せで嬉しいのに、なぜか、引き裂かれそうな胸の痛みを思い出しそうでー。
「長くはないですよね?お互い一目惚れですぐに付き合いだしたから、
まだ出逢って半年ですよ。それで、あっという間に結婚決めちゃって今日ですから
むしろ早くないですか?」
ニファが不思議そうに首を傾げた。
あぁ、そうかー。
ハンジもハッとする。
確かに、かなりのスピード婚だ。
結婚なんてしなさそうな男だと思っていたから、同僚達は一様に驚いていたし、リヴァイに憧れていた女の子達が、あっという間に彼の心を掴んだなまえを羨んでいたのを思い出す。
そう、確かに、出逢ってから今日の日を迎えるまで、本当に早かった。
まるで、出逢うまでの時間を埋めるように、待ち焦がれていたときを急かしているみたいにー。
「不思議ですね。私もずっと同じことを思っていたんです。
やっと、2人は幸せになれるのかって。」
モブリットが呟くように言って、空を見上げた。
雲一つない澄んだ青い空は海のようで、とても綺麗だ。
柔らかい日差しはきっと、永遠の愛を誓う2人を優しく包んでくれるだろう。
それはきっと、まるで神様の寵愛のようにー。