◇第百六十五話◇1年の時が変えたものと変わらない想い
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「それじゃ、私達は帰るわね。」
墓石の前にはなまえのティーカップが置かれている。
リヴァイのティーカップにも紅茶を注いだ後、母親はそう言って持ってきたバッグを肩にかけなおした。
父親も帰るつもりのようで、なまえにまた来るなと声をかけていた。
「もう帰っちまうのか。」
「だって、そろそろ帰らなくちゃ、2人きりになりたいのにって
怒られちゃうもの。」
「俺達がいたら話せないこともあるだろ。今日は2人で過ごせばいい。」
気を利かせてくれた彼らに、壁外調査から戻ったら顔を出すと伝え見送る。
初めは少しぎこちなかった関係も、今では両親とはこういうものなのだろうかーと知ったような気になるくらいは、心を許しあえていると思う。
なまえを失った日、この世界にひとりきり残されてしまったように感じていた。
でも、ひとり残して逝かないという約束を、なまえはちゃんと守ってくれていたことをリヴァイはすぐに知った。
家族がいるこの世界は、孤独とは程遠く、だからこそ今日までやってこられたのだと思う。
「今日は天気がいいな。壁外調査日和だ。」
なまえの墓石に寄り添うように背中を預けて座り、リヴァイは空を見上げた。
眩しい太陽と青い空に浮かぶ白い雲の中に、天使の翼に似ているのを見つけた。
あの羽を貰えたら、なまえに会いに行けるだろうかー。
空に手を伸ばしてみたけれど、届くわけがない。
なんだかんだやれてると言ったって、逢いたい気持ちは日に日に大きくなるばかりだー。
「漸く海に行けるな。一緒に行くだろう?」
墓石に頭を預け、空を見上げながら話しかける。
なまえがこの世を去ったことは、苦しくて悲しくて、つらかった。
それでも、残されたリヴァイ達にとっての唯一の救いは、なまえが今いる世界には、彼女の大切な人達がそばにいてくれるだろうと確信できたことだった。
親友が2人いるし、共に戦った仲間達もいる。
きっと、ファーランとイザベルとも仲良くしているだろう。
せめて、なまえが自分のように寂しく悲しい思いをしていなかったらいいー。
「このまま、ここで眠っちまおうかな。」
墓石に寄り掛かり、目を瞑った。
壁外調査の日程が決まってから、調査兵達は浮足立っているようだった。
初めて見る世界をとても楽しみにしているのが手に取るように分かった。
たぶん、自分だって、楽しみではないわけではないと思うのだ。
でも、彼らのように心から期待が出来ない。
このままここで、なまえと一緒に眠ってしまいたい。
この目で本物の海は見れなくてもいいから、なまえの夢の中に出てきた海というのを見たい。
だってそこでは、なまえの手を握っていられるらしいからー。
『早く行こうよっ。』
聞き慣れた可愛らしい声に急かされるように、ジャケットの袖口が引っ張られる。
目を開ければ、なまえが甘えるように自分を急かしている姿が見えたような気がした。
リヴァイは苦笑しながら、立ち上がる。
「そうだな。早く行こう。俺が連れてってやるって約束だもんな。」
海へと向かうため歩き出したリヴァイの背中を見送るように、墓石の前ではお揃いのティーカップが寄り添っていた。
墓石の前にはなまえのティーカップが置かれている。
リヴァイのティーカップにも紅茶を注いだ後、母親はそう言って持ってきたバッグを肩にかけなおした。
父親も帰るつもりのようで、なまえにまた来るなと声をかけていた。
「もう帰っちまうのか。」
「だって、そろそろ帰らなくちゃ、2人きりになりたいのにって
怒られちゃうもの。」
「俺達がいたら話せないこともあるだろ。今日は2人で過ごせばいい。」
気を利かせてくれた彼らに、壁外調査から戻ったら顔を出すと伝え見送る。
初めは少しぎこちなかった関係も、今では両親とはこういうものなのだろうかーと知ったような気になるくらいは、心を許しあえていると思う。
なまえを失った日、この世界にひとりきり残されてしまったように感じていた。
でも、ひとり残して逝かないという約束を、なまえはちゃんと守ってくれていたことをリヴァイはすぐに知った。
家族がいるこの世界は、孤独とは程遠く、だからこそ今日までやってこられたのだと思う。
「今日は天気がいいな。壁外調査日和だ。」
なまえの墓石に寄り添うように背中を預けて座り、リヴァイは空を見上げた。
眩しい太陽と青い空に浮かぶ白い雲の中に、天使の翼に似ているのを見つけた。
あの羽を貰えたら、なまえに会いに行けるだろうかー。
空に手を伸ばしてみたけれど、届くわけがない。
なんだかんだやれてると言ったって、逢いたい気持ちは日に日に大きくなるばかりだー。
「漸く海に行けるな。一緒に行くだろう?」
墓石に頭を預け、空を見上げながら話しかける。
なまえがこの世を去ったことは、苦しくて悲しくて、つらかった。
それでも、残されたリヴァイ達にとっての唯一の救いは、なまえが今いる世界には、彼女の大切な人達がそばにいてくれるだろうと確信できたことだった。
親友が2人いるし、共に戦った仲間達もいる。
きっと、ファーランとイザベルとも仲良くしているだろう。
せめて、なまえが自分のように寂しく悲しい思いをしていなかったらいいー。
「このまま、ここで眠っちまおうかな。」
墓石に寄り掛かり、目を瞑った。
壁外調査の日程が決まってから、調査兵達は浮足立っているようだった。
初めて見る世界をとても楽しみにしているのが手に取るように分かった。
たぶん、自分だって、楽しみではないわけではないと思うのだ。
でも、彼らのように心から期待が出来ない。
このままここで、なまえと一緒に眠ってしまいたい。
この目で本物の海は見れなくてもいいから、なまえの夢の中に出てきた海というのを見たい。
だってそこでは、なまえの手を握っていられるらしいからー。
『早く行こうよっ。』
聞き慣れた可愛らしい声に急かされるように、ジャケットの袖口が引っ張られる。
目を開ければ、なまえが甘えるように自分を急かしている姿が見えたような気がした。
リヴァイは苦笑しながら、立ち上がる。
「そうだな。早く行こう。俺が連れてってやるって約束だもんな。」
海へと向かうため歩き出したリヴァイの背中を見送るように、墓石の前ではお揃いのティーカップが寄り添っていた。