◇第百六十五話◇1年の時が変えたものと変わらない想い
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広い敷地内には、幾つもの墓石が並んでいる。
色鮮やかな花束を抱えたリヴァイは、迷子になりそうなそこを慣れた足取りで歩き進める。
暇さえあればなまえに会いに来ていたリヴァイだったけれど、こうしてなまえの両親と一緒に来るのは、葬儀の日以来だった。
リヴァイの後ろを歩く父親と母親は、巨人はいないと思われるとはいえ壁外に出るのだから気をつけろと口酸っぱく言っている。
もう耳にタコが出来そうだ。
人類最強の兵士と呼ばれるリヴァイをこんな風に新兵扱いするのなんて、きっとこの世で彼らだけに違いない。
聞き飽きた『ちゃんと聞いてるの?』に、心の中で苦笑して、眩しすぎる空を見上げる。
あれから今日でちょうど1年だ。
リヴァイにとってそれは、早いようで、途方に暮れるほどに長かった。
地下室で知った真相やライナーやベルトルトから聞いた話によって、壁の中の人類の本当の敵は、巨人ではなく世界なのだということも分かった。
あれから、ジーク達が帰ってこないことで、敵勢力であるマーレの進軍との大戦もあった。
それなりの被害は出たけれど、ライナーとベルトルトがこちら側についたことや、巨人を有するエルディア人に恐れをなしたことで、とりあえずは勝利というかたちで終われている。
それでも、本当にリヴァイ達、壁の中の人類が望む未来は、誰もが幸せな優しい世界だ。
マーレとよりよい関係を築いていけないかと、試行錯誤しているところである。
今では、ライナーとベルトルトは、調査兵団の兵士として日々訓練に励み、仲間として共に戦っているし、ジークとピークは何を考えているかは分からないものの、とりあえずはおとなしくしてくれているように思う。
それでもやっぱり、この世界は相変わらず欺瞞で溢れていて、なまえが望んだような、誰もが幸せな優しい世界とは程遠い。
それでも少しずつだけれど、変わってきているのも感じるのだ。
壁の中の人類が、外の世界に興味を持ちだした。そして、自由を夢見ている。
そのために自分達が何をするべきなのか、それぞれが考えるということが出来る世界にはなったのではないだろうか。
漸くたどり着いたそこで、リヴァイは持ってきた花束を墓石に立てかけた。
彼女がどんな花が好きなのかなんて知らないから、婚約パーティーの時に嬉しそうに抱えていたブーケに似た花をいつも選んでしまう。
まぁ、きっと、なまえのことだから、そんなものいらないから一緒に紅茶を飲みたいなんて言ってるんだろう。
“なまえ・アッカーマン ここに眠る”
墓石に刻まれた愛しい人の名前を、リヴァイの細い指がそっと撫でる。
2人で書いた婚姻届は出すことは叶わなかった。
だから、戸籍上はなまえの名字は元のままで、2人は夫婦ではない。
でも、なまえの両親が、せめて墓石の名前だけでも夫婦としてやりたいとリヴァイにお願いしてきたのだ。
それはリヴァイにとっても嬉しい願いだった。
きっと、なまえも喜んでくれたと信じている。
本当は、喜んだなまえの顔を見れたらもっと良かったのだろうけれどー。
リヴァイは、なまえの両親と一緒に手を合わせて、なまえのことを想う。
あれからもずっと、相変わらずずっと、想ってることを伝えたくてー。
色鮮やかな花束を抱えたリヴァイは、迷子になりそうなそこを慣れた足取りで歩き進める。
暇さえあればなまえに会いに来ていたリヴァイだったけれど、こうしてなまえの両親と一緒に来るのは、葬儀の日以来だった。
リヴァイの後ろを歩く父親と母親は、巨人はいないと思われるとはいえ壁外に出るのだから気をつけろと口酸っぱく言っている。
もう耳にタコが出来そうだ。
人類最強の兵士と呼ばれるリヴァイをこんな風に新兵扱いするのなんて、きっとこの世で彼らだけに違いない。
聞き飽きた『ちゃんと聞いてるの?』に、心の中で苦笑して、眩しすぎる空を見上げる。
あれから今日でちょうど1年だ。
リヴァイにとってそれは、早いようで、途方に暮れるほどに長かった。
地下室で知った真相やライナーやベルトルトから聞いた話によって、壁の中の人類の本当の敵は、巨人ではなく世界なのだということも分かった。
あれから、ジーク達が帰ってこないことで、敵勢力であるマーレの進軍との大戦もあった。
それなりの被害は出たけれど、ライナーとベルトルトがこちら側についたことや、巨人を有するエルディア人に恐れをなしたことで、とりあえずは勝利というかたちで終われている。
それでも、本当にリヴァイ達、壁の中の人類が望む未来は、誰もが幸せな優しい世界だ。
マーレとよりよい関係を築いていけないかと、試行錯誤しているところである。
今では、ライナーとベルトルトは、調査兵団の兵士として日々訓練に励み、仲間として共に戦っているし、ジークとピークは何を考えているかは分からないものの、とりあえずはおとなしくしてくれているように思う。
それでもやっぱり、この世界は相変わらず欺瞞で溢れていて、なまえが望んだような、誰もが幸せな優しい世界とは程遠い。
それでも少しずつだけれど、変わってきているのも感じるのだ。
壁の中の人類が、外の世界に興味を持ちだした。そして、自由を夢見ている。
そのために自分達が何をするべきなのか、それぞれが考えるということが出来る世界にはなったのではないだろうか。
漸くたどり着いたそこで、リヴァイは持ってきた花束を墓石に立てかけた。
彼女がどんな花が好きなのかなんて知らないから、婚約パーティーの時に嬉しそうに抱えていたブーケに似た花をいつも選んでしまう。
まぁ、きっと、なまえのことだから、そんなものいらないから一緒に紅茶を飲みたいなんて言ってるんだろう。
“なまえ・アッカーマン ここに眠る”
墓石に刻まれた愛しい人の名前を、リヴァイの細い指がそっと撫でる。
2人で書いた婚姻届は出すことは叶わなかった。
だから、戸籍上はなまえの名字は元のままで、2人は夫婦ではない。
でも、なまえの両親が、せめて墓石の名前だけでも夫婦としてやりたいとリヴァイにお願いしてきたのだ。
それはリヴァイにとっても嬉しい願いだった。
きっと、なまえも喜んでくれたと信じている。
本当は、喜んだなまえの顔を見れたらもっと良かったのだろうけれどー。
リヴァイは、なまえの両親と一緒に手を合わせて、なまえのことを想う。
あれからもずっと、相変わらずずっと、想ってることを伝えたくてー。