◇第百六十話◇起死回生の作戦
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エルヴィン団長の作戦は、リヴァイ兵長に伝わり、そして、それは精鋭兵達にも説明された。
それは、騎馬特攻を囮とした獣の巨人襲撃作戦だった。
ここに残っている精鋭兵達と新兵達が囮になり、一気に馬に乗って獣の巨人に特攻していく間に、リヴァイ兵長と私が獣の巨人の周りに立っている巨人を討伐しながら近づき左右から挟み撃ちにして倒してしまおうという作戦だ。
精鋭兵達はまだしも、新兵達を鼓舞するためにも、エルヴィン団長は騎馬特攻の先頭を走ることになった。
ほぼ確実に死ぬ位置だ。
だから、それしかないと分かっていても精鋭兵達は、なかなかOKを出せなかったー。
他に何か方法はないのかー。
精鋭兵達が躊躇しているうちに、7m級の巨人もこちらに向かって来だした。
建物の陰に隠れている私達を誘き出そうと獣の巨人が考えたのだろう。
動くなら、早くしないといけない。
エルヴィン団長の作戦がうまくいくうちにー。
でも、私は気づいてしまったー。
あぁ、どうしてだろう。気づいてしまったー。
「エルド、ナイフ持ってたよね?貸してくれる?」
「…?あぁ、いいが。それをどうする気だ。」
「ヘアカット。」
「はぁ?」
こんな時に何を言っているんだという顔をしたエルドだったけれど、私にナイフを渡してくれた。
それを持って、私はエルヴィン団長とリヴァイ兵長の元へ向かった。
彼らは、これからの作戦についてを話し合っているようだった。
私が声をかけると、2人ともこちらを向いてくれた。
絶望と覚悟を瞳に宿す2人は、とても勇敢な兵士だと思う。
この後の世界にも、絶対に必要だと、思う。
「獣の巨人が誘き出したいのは、強敵のリヴァイ兵長だと思います。」
「だろうな。」
エルヴィン団長は遠い目で、獣の巨人のいる方を向く。
きっと、私が気づいていることに、彼も気づいているはずだ。
それでも、最後の博打に出ようとしているのか。
それとも、最後の最後に、命の選別をしてしまったのかもしれない。
ずっと共に戦ってきたリヴァイ兵長の心を、守るためにー。
「もしここで、騎馬特攻作戦に出ても、そこにリヴァイ兵長がいなければ、
獣の巨人はきっと、何か裏に作戦があると気づくんじゃないでしょうか。」
ストヘス区での戦いで自分を追い詰めたリヴァイ兵長のことを、獣の巨人は最も危惧しているはずだ。
そして、恐らく、獣の巨人は、自分のいる側にリヴァイ兵長がいることを知っていると思われる。
あの四足歩行の巨人が、すぐに教えているだろうからだ。
だから、私達が何かの作戦に出れば、獣の巨人はまず、リヴァイ兵長を気にする。
「もし、作戦の内容まではバレなくても、これが囮だと気づかれたら
新兵も精鋭兵も、エルヴィン団長も無駄死にです。」
「そうかもしれないな。」
「エルヴィン団長、リヴァイ兵長を騎馬特攻の前線に出しましょう!」
私の提案に驚いたのは、エルヴィン団長だけではなかった。
そばにいた精鋭兵達も、そして、リヴァイ兵長も言葉を失っているようだった。
そうだろう。
私が一番、そんなことを言わないはずだったからー。
でも、今は普通の状況じゃない。
この極限状態で、最も大切なものは何かを考えられないと兵士ではいられない。
だから、リヴァイ兵長は、エルヴィン団長の夢や命よりも、人類の命を選んだのだからー。
「ちょうど今、7m級の巨人がこっちに向かってきてます。あれを討伐しながら誰よりも前に出るんです。
きっと、獣の巨人の狙いはリヴァイ兵長に集中するはずです。
そうすれば、新兵や精鋭兵の被害を最小限に抑えられます。」
「…だが、獣の巨人の討伐はどうする。それでは、リヴァイが獣の巨人に辿り着けたとしても
おそらく万全の状態では戦えないだろう。そうなれば、人類の負けだ。
獣の巨人は、リヴァイでないと倒せない。」
「分かってます。だから、獣の巨人はリヴァイ兵長に倒してもらいましょう。」
私が当然のように答えるから、精鋭兵達は戸惑っているようだった。
馬鹿なことを言うなと私を叱る声も上がる。
リヴァイ兵長は、その作戦の成功率について考えているようだった。
きっと、本当にリヴァイ兵長ひとりに全てを任せようとしたら、成功率なんて皆無に等しい。
そんなの、無駄に死んでくれと言っているようなものだ。
馬鹿を言うなと、私を叱る精鋭兵達の言う通りだ。
「エルヴィン団長、私はー。」
「言わなくていい。さっきの私の作戦で行こう。
リヴァイがいないことに気づいても、騎馬特攻を放っておくことは出来ないはずだ。」
エルヴィン団長が立ち上がり、私の肩を押し自分の後ろに隠した。
あぁ、やっぱり、エルヴィン団長はもっといい作戦があることに気づいているのだ。
彼が守りたいのはきっと、リヴァイ兵長でー。
そんな強い絆を前に、人類の勝利を前に、そして、兵士として、私は黙っていることは出来なかった。
エルヴィン団長が失った右腕をジャケット越しに掴む。
振り返らない彼に、私は続けた。
「巨人を使って近づいていることに気づけば、今度は獣の巨人は15m級の巨人を動かします。
そうなれば、私もリヴァイ兵長も獣の巨人に簡単に近づけなくなります。
だから、どうかー。」
「言わなくていい。君はリヴァイと一緒にー。」
「私が、新兵を地獄へ導きます。
ーリヴァイ兵長として。」
朝の強い太陽の光が、ナイフに反射する。
自慢の長い髪が、リヴァイ兵長のために伸ばしていた長い髪が、生温かい風に乗せられて飛んでいく。
甘い果物の香りがした気がしたー。
それは、騎馬特攻を囮とした獣の巨人襲撃作戦だった。
ここに残っている精鋭兵達と新兵達が囮になり、一気に馬に乗って獣の巨人に特攻していく間に、リヴァイ兵長と私が獣の巨人の周りに立っている巨人を討伐しながら近づき左右から挟み撃ちにして倒してしまおうという作戦だ。
精鋭兵達はまだしも、新兵達を鼓舞するためにも、エルヴィン団長は騎馬特攻の先頭を走ることになった。
ほぼ確実に死ぬ位置だ。
だから、それしかないと分かっていても精鋭兵達は、なかなかOKを出せなかったー。
他に何か方法はないのかー。
精鋭兵達が躊躇しているうちに、7m級の巨人もこちらに向かって来だした。
建物の陰に隠れている私達を誘き出そうと獣の巨人が考えたのだろう。
動くなら、早くしないといけない。
エルヴィン団長の作戦がうまくいくうちにー。
でも、私は気づいてしまったー。
あぁ、どうしてだろう。気づいてしまったー。
「エルド、ナイフ持ってたよね?貸してくれる?」
「…?あぁ、いいが。それをどうする気だ。」
「ヘアカット。」
「はぁ?」
こんな時に何を言っているんだという顔をしたエルドだったけれど、私にナイフを渡してくれた。
それを持って、私はエルヴィン団長とリヴァイ兵長の元へ向かった。
彼らは、これからの作戦についてを話し合っているようだった。
私が声をかけると、2人ともこちらを向いてくれた。
絶望と覚悟を瞳に宿す2人は、とても勇敢な兵士だと思う。
この後の世界にも、絶対に必要だと、思う。
「獣の巨人が誘き出したいのは、強敵のリヴァイ兵長だと思います。」
「だろうな。」
エルヴィン団長は遠い目で、獣の巨人のいる方を向く。
きっと、私が気づいていることに、彼も気づいているはずだ。
それでも、最後の博打に出ようとしているのか。
それとも、最後の最後に、命の選別をしてしまったのかもしれない。
ずっと共に戦ってきたリヴァイ兵長の心を、守るためにー。
「もしここで、騎馬特攻作戦に出ても、そこにリヴァイ兵長がいなければ、
獣の巨人はきっと、何か裏に作戦があると気づくんじゃないでしょうか。」
ストヘス区での戦いで自分を追い詰めたリヴァイ兵長のことを、獣の巨人は最も危惧しているはずだ。
そして、恐らく、獣の巨人は、自分のいる側にリヴァイ兵長がいることを知っていると思われる。
あの四足歩行の巨人が、すぐに教えているだろうからだ。
だから、私達が何かの作戦に出れば、獣の巨人はまず、リヴァイ兵長を気にする。
「もし、作戦の内容まではバレなくても、これが囮だと気づかれたら
新兵も精鋭兵も、エルヴィン団長も無駄死にです。」
「そうかもしれないな。」
「エルヴィン団長、リヴァイ兵長を騎馬特攻の前線に出しましょう!」
私の提案に驚いたのは、エルヴィン団長だけではなかった。
そばにいた精鋭兵達も、そして、リヴァイ兵長も言葉を失っているようだった。
そうだろう。
私が一番、そんなことを言わないはずだったからー。
でも、今は普通の状況じゃない。
この極限状態で、最も大切なものは何かを考えられないと兵士ではいられない。
だから、リヴァイ兵長は、エルヴィン団長の夢や命よりも、人類の命を選んだのだからー。
「ちょうど今、7m級の巨人がこっちに向かってきてます。あれを討伐しながら誰よりも前に出るんです。
きっと、獣の巨人の狙いはリヴァイ兵長に集中するはずです。
そうすれば、新兵や精鋭兵の被害を最小限に抑えられます。」
「…だが、獣の巨人の討伐はどうする。それでは、リヴァイが獣の巨人に辿り着けたとしても
おそらく万全の状態では戦えないだろう。そうなれば、人類の負けだ。
獣の巨人は、リヴァイでないと倒せない。」
「分かってます。だから、獣の巨人はリヴァイ兵長に倒してもらいましょう。」
私が当然のように答えるから、精鋭兵達は戸惑っているようだった。
馬鹿なことを言うなと私を叱る声も上がる。
リヴァイ兵長は、その作戦の成功率について考えているようだった。
きっと、本当にリヴァイ兵長ひとりに全てを任せようとしたら、成功率なんて皆無に等しい。
そんなの、無駄に死んでくれと言っているようなものだ。
馬鹿を言うなと、私を叱る精鋭兵達の言う通りだ。
「エルヴィン団長、私はー。」
「言わなくていい。さっきの私の作戦で行こう。
リヴァイがいないことに気づいても、騎馬特攻を放っておくことは出来ないはずだ。」
エルヴィン団長が立ち上がり、私の肩を押し自分の後ろに隠した。
あぁ、やっぱり、エルヴィン団長はもっといい作戦があることに気づいているのだ。
彼が守りたいのはきっと、リヴァイ兵長でー。
そんな強い絆を前に、人類の勝利を前に、そして、兵士として、私は黙っていることは出来なかった。
エルヴィン団長が失った右腕をジャケット越しに掴む。
振り返らない彼に、私は続けた。
「巨人を使って近づいていることに気づけば、今度は獣の巨人は15m級の巨人を動かします。
そうなれば、私もリヴァイ兵長も獣の巨人に簡単に近づけなくなります。
だから、どうかー。」
「言わなくていい。君はリヴァイと一緒にー。」
「私が、新兵を地獄へ導きます。
ーリヴァイ兵長として。」
朝の強い太陽の光が、ナイフに反射する。
自慢の長い髪が、リヴァイ兵長のために伸ばしていた長い髪が、生温かい風に乗せられて飛んでいく。
甘い果物の香りがした気がしたー。