◇第百五十七話◇白い鳥達の祝福を受けて
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楽しそうな仲間達を、幸せだと思ってしまう自分を見ていられなくて、食堂の外に出た。
その途端に、強い風が吹いて、黄色いドレスが躍るようにふわりと舞う。
とても幸せそうに、楽しそうにー。
それを咎めるように、私が両手でドレスをおさえていると、食堂へやって来ていた誰かに声をかけられた。
「おめでとうございます。」
聞いたことのあるような声に気づいて顔を上げた私は、ひどく驚いた。
そして、とても狼狽えた。
私に声をかけた彼は、フロリアンの婚約者だった。
彼が纏う空気は、相変わらず、のんびりしていた。
フロリアンが愛していたままの姿で、とても優しく微笑んでくれた。
それがまた、私の胸を苦しくさせる。
「ペトラさんからお誘いをもらったんです。」
「そう…、ですか。
あの、本当に…、ごめんなさー。」
「これ、フロリアンからの婚約祝いです。」
彼がそう言って、私に差し出したのはブーケだった。
ピンクや黄色、白に赤。
色とりどりの花たちが束ねられた可愛らしいブーケは、私に甘い香りを運んでくれた。
造花のそれには、フロリアンがよくつけていた花の香水が振りかけられているようだった。
戸惑う私の手に少し強引にブーケを持たせてから、彼は続ける。
「このブーケはフロリアンの手作りなんです。」
「フロリアンの?」
「大好きな恋人が結婚してくれないような冷たい男の可哀想な友人が、
婚期を逃さないように、このブーケを投げてあげるんだって言ってました。」
彼は苦笑しながら言う。
そのときのフロリアンの様子を思い出したのだろう。
私も見たわけではないのに、その時のフロリアンの顔が目に浮かぶようだった。
優しい想いの詰まったブーケを見つめる。
「ヒドいことをしたのに、それでも命を救って友人になってくれたあなたは、
いつも誰かのためばかりだって心配もしていました。だから、あなたが結婚するときは、
自分がブライズメイドになって、世界一幸せな花嫁にしてあげたいんだって。」
「…っ。」
「だから、今日の日をアイツは誰よりも喜んでいるはずです。
彼女の代わりに、僕から言わせてください。」
なまえ、よかったわね!幸せになりなさいよー。
ブーケを抱きしめた私に、彼の声に乗せて、フロリアンが言う。
ちゃんと、聞こえた。
フロリアンの声が、私には聞こえたー。
それから、エルドが彼に気づいて食堂の中に招き入れていたけれど、私は相変わらずブーケを抱きしめて、黄色のドレスを風に躍らせていた。
そうしていると、リヴァイ兵長に声をかけられた。
「いねぇと思ったら、こんなとこにいたのか。」
振り返ると、疲れた顔のリヴァイ兵長がいて思わず苦笑する。
「酔っ払いのゲルガーさんとモブリットさんと楽しそうにしていたから。」
「本当にそう見えたのか。」
「全く。」
悪戯に笑う私の手を、リヴァイ兵長が握る。
そして、並んで空を見上げた。
真っ青な空を、白い鳥達が自由に優雅に、とても楽しそうに飛んでいた。
ありがとう、フロリアン。
ありがとう、みんな。
私は今、最高に幸せだ。
その途端に、強い風が吹いて、黄色いドレスが躍るようにふわりと舞う。
とても幸せそうに、楽しそうにー。
それを咎めるように、私が両手でドレスをおさえていると、食堂へやって来ていた誰かに声をかけられた。
「おめでとうございます。」
聞いたことのあるような声に気づいて顔を上げた私は、ひどく驚いた。
そして、とても狼狽えた。
私に声をかけた彼は、フロリアンの婚約者だった。
彼が纏う空気は、相変わらず、のんびりしていた。
フロリアンが愛していたままの姿で、とても優しく微笑んでくれた。
それがまた、私の胸を苦しくさせる。
「ペトラさんからお誘いをもらったんです。」
「そう…、ですか。
あの、本当に…、ごめんなさー。」
「これ、フロリアンからの婚約祝いです。」
彼がそう言って、私に差し出したのはブーケだった。
ピンクや黄色、白に赤。
色とりどりの花たちが束ねられた可愛らしいブーケは、私に甘い香りを運んでくれた。
造花のそれには、フロリアンがよくつけていた花の香水が振りかけられているようだった。
戸惑う私の手に少し強引にブーケを持たせてから、彼は続ける。
「このブーケはフロリアンの手作りなんです。」
「フロリアンの?」
「大好きな恋人が結婚してくれないような冷たい男の可哀想な友人が、
婚期を逃さないように、このブーケを投げてあげるんだって言ってました。」
彼は苦笑しながら言う。
そのときのフロリアンの様子を思い出したのだろう。
私も見たわけではないのに、その時のフロリアンの顔が目に浮かぶようだった。
優しい想いの詰まったブーケを見つめる。
「ヒドいことをしたのに、それでも命を救って友人になってくれたあなたは、
いつも誰かのためばかりだって心配もしていました。だから、あなたが結婚するときは、
自分がブライズメイドになって、世界一幸せな花嫁にしてあげたいんだって。」
「…っ。」
「だから、今日の日をアイツは誰よりも喜んでいるはずです。
彼女の代わりに、僕から言わせてください。」
なまえ、よかったわね!幸せになりなさいよー。
ブーケを抱きしめた私に、彼の声に乗せて、フロリアンが言う。
ちゃんと、聞こえた。
フロリアンの声が、私には聞こえたー。
それから、エルドが彼に気づいて食堂の中に招き入れていたけれど、私は相変わらずブーケを抱きしめて、黄色のドレスを風に躍らせていた。
そうしていると、リヴァイ兵長に声をかけられた。
「いねぇと思ったら、こんなとこにいたのか。」
振り返ると、疲れた顔のリヴァイ兵長がいて思わず苦笑する。
「酔っ払いのゲルガーさんとモブリットさんと楽しそうにしていたから。」
「本当にそう見えたのか。」
「全く。」
悪戯に笑う私の手を、リヴァイ兵長が握る。
そして、並んで空を見上げた。
真っ青な空を、白い鳥達が自由に優雅に、とても楽しそうに飛んでいた。
ありがとう、フロリアン。
ありがとう、みんな。
私は今、最高に幸せだ。