◇第百五十三話◇苦難を、幸せと呼んだから
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早朝から墓地に出ていた私とリヴァイ兵長が兵舎に戻ってきたのは、ちょうどお昼の時間だった。
食堂では、調査兵達が賑やかに食事を楽しんでいる。
「おかえりなさい。」
隣の席が空いていると声をかけてくれたのはアルミンだった。
104期の調査兵達が一緒に食事をしているテーブルにお邪魔させてもらい、私とリヴァイ兵長も席に着く。
「あれ?コニーは?」
今日は、明日からの訓練や壁外任務に向けた調整日で、調査兵達はみんな休みだった。
でも、いつものメンバーにコニーがいないことに気づき訊ねると、サシャが悲しそうに目を伏せた。
ジャンも少しだけ眉を顰めたし、エレンもミカサも、みんなどこか浮かない表情になった。
答えてくれたのは、アルミンだった。
「ラガコ村へ行きました。何か分かることがあるかもしれないからって。」
「そっか…。」
浮かない表情の彼らの理由に納得し、私も僅かに目を伏せる。
調査兵団に帰ってきてから、私も知ってしまった巨人の正体。
そして、コニーの村で起きた悲劇。
あのとき、私がミケ分隊長達と一緒になって必死に討伐した巨人が、彼の故郷の村人だったなんてー。
私は、彼の大切な人達をー。
私はずっと、人類のためだと信じて、人を殺していただなんてー。
急に頭に重たさが乗ると、髪をクシャッとされた。
隣を見れば、リヴァイ兵長と目が合う。
何を考えていたか、きっとバレてしまったのだろう。
「そういえば、コニーがずっとリヴァイ兵長のバーンッが
見たいって言ってたんですよ~。」
雰囲気を変えようとしたのか、サシャが両手を前に押し出すようなジェスチャーをしながら明るく言った。
それにジャン達も乗っかって騒ぎ出したのだが、私は意味が分からず首を傾げる。
「バーン?」
「あれっすよ!結婚式に花嫁奪いに行って、バーン!ちょっと待ったーってやつ!」
ジャンが教えてくれて、漸く理解する。
そういえば、私も無意識にリヴァイ兵長のそれを待っていた気がする。
結局、来たのはー。
私も両手を前に出すジェスチャーをしながら、教えてやる。
「アルミンがしてくれたよ、それ。バーンッ!鎧の巨人が急襲!って。」
「嬉しくねぇやつ、それ!」
「笑えないやつですね、それは。」
「結婚式のバーンでそんなことされるのは、後にも先にもなまえだけ。」
ジャンとサシャがすかさずツッコミを入れれば、ミカサはとても痛いところをついてくる。
バーンはどんな気分だったかなんてエレンに聞かれて、それどころじゃなかったと本気で困っているアルミン。
今日も調査兵団の食堂はあちこちが騒がしくて、帰ってきたんだなと実感した。
確かに私は、父親が言った通り、将来安泰の生活を捨てたのかもしれない。
そもそもこの世界に将来安泰なんて本当にあるのかは置いておいて、私には苦難だと呼ばれたこの生活が、幸せのカタチに見えて仕方がなかった。
食堂では、調査兵達が賑やかに食事を楽しんでいる。
「おかえりなさい。」
隣の席が空いていると声をかけてくれたのはアルミンだった。
104期の調査兵達が一緒に食事をしているテーブルにお邪魔させてもらい、私とリヴァイ兵長も席に着く。
「あれ?コニーは?」
今日は、明日からの訓練や壁外任務に向けた調整日で、調査兵達はみんな休みだった。
でも、いつものメンバーにコニーがいないことに気づき訊ねると、サシャが悲しそうに目を伏せた。
ジャンも少しだけ眉を顰めたし、エレンもミカサも、みんなどこか浮かない表情になった。
答えてくれたのは、アルミンだった。
「ラガコ村へ行きました。何か分かることがあるかもしれないからって。」
「そっか…。」
浮かない表情の彼らの理由に納得し、私も僅かに目を伏せる。
調査兵団に帰ってきてから、私も知ってしまった巨人の正体。
そして、コニーの村で起きた悲劇。
あのとき、私がミケ分隊長達と一緒になって必死に討伐した巨人が、彼の故郷の村人だったなんてー。
私は、彼の大切な人達をー。
私はずっと、人類のためだと信じて、人を殺していただなんてー。
急に頭に重たさが乗ると、髪をクシャッとされた。
隣を見れば、リヴァイ兵長と目が合う。
何を考えていたか、きっとバレてしまったのだろう。
「そういえば、コニーがずっとリヴァイ兵長のバーンッが
見たいって言ってたんですよ~。」
雰囲気を変えようとしたのか、サシャが両手を前に押し出すようなジェスチャーをしながら明るく言った。
それにジャン達も乗っかって騒ぎ出したのだが、私は意味が分からず首を傾げる。
「バーン?」
「あれっすよ!結婚式に花嫁奪いに行って、バーン!ちょっと待ったーってやつ!」
ジャンが教えてくれて、漸く理解する。
そういえば、私も無意識にリヴァイ兵長のそれを待っていた気がする。
結局、来たのはー。
私も両手を前に出すジェスチャーをしながら、教えてやる。
「アルミンがしてくれたよ、それ。バーンッ!鎧の巨人が急襲!って。」
「嬉しくねぇやつ、それ!」
「笑えないやつですね、それは。」
「結婚式のバーンでそんなことされるのは、後にも先にもなまえだけ。」
ジャンとサシャがすかさずツッコミを入れれば、ミカサはとても痛いところをついてくる。
バーンはどんな気分だったかなんてエレンに聞かれて、それどころじゃなかったと本気で困っているアルミン。
今日も調査兵団の食堂はあちこちが騒がしくて、帰ってきたんだなと実感した。
確かに私は、父親が言った通り、将来安泰の生活を捨てたのかもしれない。
そもそもこの世界に将来安泰なんて本当にあるのかは置いておいて、私には苦難だと呼ばれたこの生活が、幸せのカタチに見えて仕方がなかった。