◇第百四十七話◇誓いの言葉を言わせないで
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両開きの扉を侍女達がゆっくりと開く。
少しずつ開けていく向こうには、豪華絢爛な装飾で彩られた世界が広がっていた。
そこはさながら、絵本の中で最も幸せなフィナーレだった。
王子様とお姫様が手と手を取り合って、愛を誓う。幸せの場所。
扉がすべて開けば、私の姿を見たときの母親と似たような顔をしていた父親が、緊張した面持ちで私の手を引いて歩きだした。
ザワついていた式場が一瞬で静まり返り、世界一幸せに違いないと噂される花嫁を今か今かと待っていた招待客達の視線が集まる。
私の幸せを信じて歩く父親に手を引かれ、一歩、また一歩、私は歩みを進める。
真っ赤な絨毯の先で待っているのは、真っ白なタキシードを着こなす金髪の王子様。
この残酷な世界の王子様ー。
娘を導いた父親に花嫁を託されたルーカスが、白いレースの手袋をつけた私の手に触れる。
そして、とても感動したように頬を緩めた。
「あぁ、とっても綺麗だよ。僕の、僕だけのなまえ…。
これで君は本当に、永遠に僕のものだ。」
ルーカスは、ベールの上から私の頬を愛おしそうに撫でる。
とても、とても幸せそうに。
ベールの上からでは、私の悲しい瞳は見えなかっただろうか。
この式場には、王勢の人がいるのに、私の悲痛な心の叫びは誰にも届かないー。
神父様が、これより式を始めると宣言する。
私とルーカスは、隣に並んでとてもご立派な神様のお話を聞いた。
それでも、私が全神経を集中させて耳を澄ませていたのは、扉が開く音。
そして、私を攫いに来たリヴァイ兵長の声を探すー。
あぁ、でも、もうそれも終わりだ。
愛しい人を待つために残された時間は、もうすぐなくなってしまう。
神父様がルーカスに、永遠を誓えるかを尋ね始めた。
私は顔を伏せ、ベールの下で瞳も口も閉じる。
今頃、リヴァイ兵長は何をしているのだろう。
何を思って、何を考えて、どんな気持ちで、今日を迎えているのだろう。
私の幸せも、不幸も、どうでもいいくらいにそばにいたいと言ってくれたあの人は今ー。
ルーカスが、永遠の愛を誓った。
神父様が、私に訊ねる。
病める時も、健やかなる時も、永遠にルーカスを愛し続けると誓うかーと。
あぁ、リヴァイ兵長のことを思い出すのはこれで最後だ。
伏せていた顔を上げ、私は前を向いた。
「私は・・・・・・っ。」
どうしても言えずに、ギュっと目を瞑って唇を噛んだ。
誓いの言葉を交わしてしまったら、その先にあるのは、永遠にリヴァイ兵長に会うことを許されない世界。
それを母親は幸せと信じ、私は地獄だと呼んだ。
今このとき、何が正しいのか、未来にならないとわからないのかもしれない。
でも、私はたった一言、リヴァイ兵長からの言葉があれば、自信を持って運命も信仰心も投げ捨てられるのにー。
永遠の愛を誓えない花嫁に、静かだった厳かな式場がザワつき始める。
「なまえ、もう諦めるんだ。あの男は迎えには来ないじゃないか。
君に嘘をついたんだ。早く返事をー。」
しびれを切らしたルーカスが小さな声で私を叱っているときだった。
大きな音とともに、式場の扉が勢いよく開かれた。
驚いて振り向いた私が見たのは、幸せの儀式をぶち壊すにはあまりにも残酷なほどに、真っ赤な血に染まった兵団服だった。
少しずつ開けていく向こうには、豪華絢爛な装飾で彩られた世界が広がっていた。
そこはさながら、絵本の中で最も幸せなフィナーレだった。
王子様とお姫様が手と手を取り合って、愛を誓う。幸せの場所。
扉がすべて開けば、私の姿を見たときの母親と似たような顔をしていた父親が、緊張した面持ちで私の手を引いて歩きだした。
ザワついていた式場が一瞬で静まり返り、世界一幸せに違いないと噂される花嫁を今か今かと待っていた招待客達の視線が集まる。
私の幸せを信じて歩く父親に手を引かれ、一歩、また一歩、私は歩みを進める。
真っ赤な絨毯の先で待っているのは、真っ白なタキシードを着こなす金髪の王子様。
この残酷な世界の王子様ー。
娘を導いた父親に花嫁を託されたルーカスが、白いレースの手袋をつけた私の手に触れる。
そして、とても感動したように頬を緩めた。
「あぁ、とっても綺麗だよ。僕の、僕だけのなまえ…。
これで君は本当に、永遠に僕のものだ。」
ルーカスは、ベールの上から私の頬を愛おしそうに撫でる。
とても、とても幸せそうに。
ベールの上からでは、私の悲しい瞳は見えなかっただろうか。
この式場には、王勢の人がいるのに、私の悲痛な心の叫びは誰にも届かないー。
神父様が、これより式を始めると宣言する。
私とルーカスは、隣に並んでとてもご立派な神様のお話を聞いた。
それでも、私が全神経を集中させて耳を澄ませていたのは、扉が開く音。
そして、私を攫いに来たリヴァイ兵長の声を探すー。
あぁ、でも、もうそれも終わりだ。
愛しい人を待つために残された時間は、もうすぐなくなってしまう。
神父様がルーカスに、永遠を誓えるかを尋ね始めた。
私は顔を伏せ、ベールの下で瞳も口も閉じる。
今頃、リヴァイ兵長は何をしているのだろう。
何を思って、何を考えて、どんな気持ちで、今日を迎えているのだろう。
私の幸せも、不幸も、どうでもいいくらいにそばにいたいと言ってくれたあの人は今ー。
ルーカスが、永遠の愛を誓った。
神父様が、私に訊ねる。
病める時も、健やかなる時も、永遠にルーカスを愛し続けると誓うかーと。
あぁ、リヴァイ兵長のことを思い出すのはこれで最後だ。
伏せていた顔を上げ、私は前を向いた。
「私は・・・・・・っ。」
どうしても言えずに、ギュっと目を瞑って唇を噛んだ。
誓いの言葉を交わしてしまったら、その先にあるのは、永遠にリヴァイ兵長に会うことを許されない世界。
それを母親は幸せと信じ、私は地獄だと呼んだ。
今このとき、何が正しいのか、未来にならないとわからないのかもしれない。
でも、私はたった一言、リヴァイ兵長からの言葉があれば、自信を持って運命も信仰心も投げ捨てられるのにー。
永遠の愛を誓えない花嫁に、静かだった厳かな式場がザワつき始める。
「なまえ、もう諦めるんだ。あの男は迎えには来ないじゃないか。
君に嘘をついたんだ。早く返事をー。」
しびれを切らしたルーカスが小さな声で私を叱っているときだった。
大きな音とともに、式場の扉が勢いよく開かれた。
驚いて振り向いた私が見たのは、幸せの儀式をぶち壊すにはあまりにも残酷なほどに、真っ赤な血に染まった兵団服だった。
