◇第百四十六話◇信じて待っていた
Name change
ご利用の端末、あるいはブラウザ設定では夢小説機能をご利用になることができません。
古いスマートフォン端末や、一部ブラウザのプライベートブラウジング機能をご利用の際は、機能に制限が掛かることがございます。
次に控室にやってきたのは、母親だった。
豪華なウェディングドレスに身を包んだ私を見た瞬間に、感極まったように瞳に涙を浮かべていた。
それは、娘が幸せになろうとしていることへの安心への涙か。
それとも、罪悪感からなのか。
どちらにしろ、母親の決意は固かった。
私の気持ちを無視し、殺してしまうことだって厭わないと思うほどー。
「なまえ、とても綺麗よ。」
「もしそれが本気なら、私は、お母さんが誰を見ているのかがわからない。」
「お願い、なまえ。お母さんとお父さんの気持ちを分かって。」
「私の気持ちは?分かってくれない人の気持ちをどうして私がー。」
「お父さんとお母さんのあなたへの気持ちは永遠よ。でも、あなたとリヴァイさんは違う。
今は大切かもしれないけど、いつか変わるわ。そのとききっと、ルーカスさんを選んだことを
あなたはよかったと思える日が来る。必ず。」
「私は永遠にあの人を愛してるの。これからどんな苦労があっても
たとえ、命を失うことがあっても、私は後悔しないわ。
死んでもいいくらい愛しー。」
いきなり床に落ちた視線と頬の痛みで、母親に叩かれたのだと気づいた。
カッとなって顔を上げれば、ひどく傷ついた顔の母親が私を睨みつけていた。
悔しそうに唇を噛み、真っ赤な瞳は必死に涙を堪えているようだった。
思わず言葉を飲み込んだ私を、母親はとても悲しそうに叱った
「死んでもいいなんて二度と言わないで!!」
「…っ。」
「私もお父さんも、なまえにどんなに嫌われようが、憎まれようが、絶対にここから出さない!
娘が幸せになるためなら、私達は鬼にだってなれるし、悪魔だって利用する!」
「そんなの…、おかしい…。私の幸せのためなら、私はー。」
「お願いよ、なまえ。私達はあなたを愛してるの。それこそ、リヴァイさんより、ルーカスさんよりもずっと。
しなくていい苦労ならして欲しくないし、生きていてほしい。
死んで、ほしくなんか…、ないのよ…っ。」
母親は、私の両腕を掴んで、縋るように泣いて懇願した。
彼女の気持ちが、痛いくらいに掴まれた腕から伝わってくるのに、私は何と答えればよかったのだろう。
ねぇ、リヴァイ兵長。私はどうしたらいいの。
運命を受け入れて、ベールで気持ちを隠して、偽りの花嫁になればいいの。
それともー。
あなたがいつまでも迎えに来ないことがその答えだとは、どうか、言わないでー。
「なまえ様、お待たせ致しました。お式の準備が整いました。
ルーカス様がお待ちです。」
白髪の執事が控室の扉を開く。
娘の幸せへつながると信じて、母親は私の手を引いて式場まで向かう。
この先にあるのは絶対に私の幸せではないとわかっていながら、母親への愛も捨てきれず、私が向かうのはー。
扉が閉まる前に、一度、振り返る。
カーテンが揺れる窓の向こう、綺麗な青色の下に、私がずっと待っていた人は、いなかった。
豪華なウェディングドレスに身を包んだ私を見た瞬間に、感極まったように瞳に涙を浮かべていた。
それは、娘が幸せになろうとしていることへの安心への涙か。
それとも、罪悪感からなのか。
どちらにしろ、母親の決意は固かった。
私の気持ちを無視し、殺してしまうことだって厭わないと思うほどー。
「なまえ、とても綺麗よ。」
「もしそれが本気なら、私は、お母さんが誰を見ているのかがわからない。」
「お願い、なまえ。お母さんとお父さんの気持ちを分かって。」
「私の気持ちは?分かってくれない人の気持ちをどうして私がー。」
「お父さんとお母さんのあなたへの気持ちは永遠よ。でも、あなたとリヴァイさんは違う。
今は大切かもしれないけど、いつか変わるわ。そのとききっと、ルーカスさんを選んだことを
あなたはよかったと思える日が来る。必ず。」
「私は永遠にあの人を愛してるの。これからどんな苦労があっても
たとえ、命を失うことがあっても、私は後悔しないわ。
死んでもいいくらい愛しー。」
いきなり床に落ちた視線と頬の痛みで、母親に叩かれたのだと気づいた。
カッとなって顔を上げれば、ひどく傷ついた顔の母親が私を睨みつけていた。
悔しそうに唇を噛み、真っ赤な瞳は必死に涙を堪えているようだった。
思わず言葉を飲み込んだ私を、母親はとても悲しそうに叱った
「死んでもいいなんて二度と言わないで!!」
「…っ。」
「私もお父さんも、なまえにどんなに嫌われようが、憎まれようが、絶対にここから出さない!
娘が幸せになるためなら、私達は鬼にだってなれるし、悪魔だって利用する!」
「そんなの…、おかしい…。私の幸せのためなら、私はー。」
「お願いよ、なまえ。私達はあなたを愛してるの。それこそ、リヴァイさんより、ルーカスさんよりもずっと。
しなくていい苦労ならして欲しくないし、生きていてほしい。
死んで、ほしくなんか…、ないのよ…っ。」
母親は、私の両腕を掴んで、縋るように泣いて懇願した。
彼女の気持ちが、痛いくらいに掴まれた腕から伝わってくるのに、私は何と答えればよかったのだろう。
ねぇ、リヴァイ兵長。私はどうしたらいいの。
運命を受け入れて、ベールで気持ちを隠して、偽りの花嫁になればいいの。
それともー。
あなたがいつまでも迎えに来ないことがその答えだとは、どうか、言わないでー。
「なまえ様、お待たせ致しました。お式の準備が整いました。
ルーカス様がお待ちです。」
白髪の執事が控室の扉を開く。
娘の幸せへつながると信じて、母親は私の手を引いて式場まで向かう。
この先にあるのは絶対に私の幸せではないとわかっていながら、母親への愛も捨てきれず、私が向かうのはー。
扉が閉まる前に、一度、振り返る。
カーテンが揺れる窓の向こう、綺麗な青色の下に、私がずっと待っていた人は、いなかった。