◇第百四十六話◇信じて待っていた
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王宮の中にある挙式場には、招待客が続々と集まってきているようだった。
式が始まるまでもうあまり時間がない。
侍女にウェディングドレスに着替えさせられ、髪のセットも化粧も終わっても、私はまだ、新婦控室の窓の向こうにリヴァイ兵長の姿を探していた。
あれからそんなに日数は経っていないのに、この世界ではいろんなことがあった。
特に調査兵団は本当に大変だったと思う。
そのすべてを蚊帳の外で何も出来ず、状況を新聞記事でしか知れないもどかしさを感じながらも、それでも迎えに来てくれると信じて待っていた。
でも、もうすぐ結婚式が始まる。
王族の関係者と結婚してしまえば、もう本当に私は逃げられなくなる。
今だって、控室の前に憲兵団の兵士がついて私を見張っている。
窓の外を食い入るように見ていると、扉を叩く音がした。
返事をすると、すぐにその扉が開く。
入ってきたのは、会いたかった人の中の1人だった。
真の王の親族の結婚式、真の王であるヒストリアは出席するのだろうとは思っていた。
「クリス…タ、じゃなくて、ヒストリア女王様だったわね。」
「やめてください。ヒストリアでいいですよ。」
困ったように言って、ヒストリアは私を見ると悲しそうにした。
「ごめんなさい。私と遠い親戚の人だったんですよね。
どうにか結婚を止められないか頑張ってみたんですけど、
どうにもできなくて…。」
「ヒストリアが謝ることじゃないよ。
それに、きっと、リヴァイ兵長が迎えに来てくれるから。」
私はまた、窓の外を見る。
隣で、ヒストリアが小さく「そうですね。」と呟く声がしたけれど、彼女はその迎えが本当に来るか自信がないようだった。
「そういえば、ユミルはどうしてるの?
ヒストリアと離れ離れになったら発狂するんじゃない?」
「私、孤児院を始めようと思ってるんです。」
「孤児院?」
「はい。地下街から壁の端から端まで。助けを求めてる子供達の帰る場所を作ってあげたくて。
リヴァイ兵長も後押ししてくれて、漸く夢が叶いそうです。」
ヒストリアは、どこか吹っ切れたような笑みを見せた。
会えないでいる間、彼女も何かを乗り越えたのかもしれない。
最後に会ったときのヒストリアは、まるで別人のような死んだような目をしていたからー。
「そっか。よかったね。私も応援するよ。」
微笑めば、ヒストリアはとても安心したような笑みを返した。
地下街出身のリヴァイ兵長にとっても、女王になったヒストリアの夢は嬉しかったに違いない。
幼い頃のリヴァイ兵長は救えなくても、彼と同じ境遇にいる子供達にはせめて、もっと安心して眠れる、泣いて甘えてもいい場所を与えてあげたい。
「それで、ユミルも一緒に孤児院で働いてくれることになったんです。
たぶんなんですけど…、ユミルも子供の頃、苦労したんだと思います。
今、一生懸命、私をサポートしてくれてます。」
「そっか。それならよかったよ。」
それからヒストリアは、調査兵団の幹部と数名の調査兵はまだ王都に残っていることを教えてくれた。
その中に、リヴァイ兵長もいる。
必ず迎えに行くー。
その言葉を信じている。
2人で誓った未来を
リヴァイ兵長を、信じている。
「きっと迎えに来てくれる。きっと…。」
ヒストリアが控室を出た後も、私は、まるで自分に暗示でもかけるように繰り返し呟き続けていた。
式が始まるまでもうあまり時間がない。
侍女にウェディングドレスに着替えさせられ、髪のセットも化粧も終わっても、私はまだ、新婦控室の窓の向こうにリヴァイ兵長の姿を探していた。
あれからそんなに日数は経っていないのに、この世界ではいろんなことがあった。
特に調査兵団は本当に大変だったと思う。
そのすべてを蚊帳の外で何も出来ず、状況を新聞記事でしか知れないもどかしさを感じながらも、それでも迎えに来てくれると信じて待っていた。
でも、もうすぐ結婚式が始まる。
王族の関係者と結婚してしまえば、もう本当に私は逃げられなくなる。
今だって、控室の前に憲兵団の兵士がついて私を見張っている。
窓の外を食い入るように見ていると、扉を叩く音がした。
返事をすると、すぐにその扉が開く。
入ってきたのは、会いたかった人の中の1人だった。
真の王の親族の結婚式、真の王であるヒストリアは出席するのだろうとは思っていた。
「クリス…タ、じゃなくて、ヒストリア女王様だったわね。」
「やめてください。ヒストリアでいいですよ。」
困ったように言って、ヒストリアは私を見ると悲しそうにした。
「ごめんなさい。私と遠い親戚の人だったんですよね。
どうにか結婚を止められないか頑張ってみたんですけど、
どうにもできなくて…。」
「ヒストリアが謝ることじゃないよ。
それに、きっと、リヴァイ兵長が迎えに来てくれるから。」
私はまた、窓の外を見る。
隣で、ヒストリアが小さく「そうですね。」と呟く声がしたけれど、彼女はその迎えが本当に来るか自信がないようだった。
「そういえば、ユミルはどうしてるの?
ヒストリアと離れ離れになったら発狂するんじゃない?」
「私、孤児院を始めようと思ってるんです。」
「孤児院?」
「はい。地下街から壁の端から端まで。助けを求めてる子供達の帰る場所を作ってあげたくて。
リヴァイ兵長も後押ししてくれて、漸く夢が叶いそうです。」
ヒストリアは、どこか吹っ切れたような笑みを見せた。
会えないでいる間、彼女も何かを乗り越えたのかもしれない。
最後に会ったときのヒストリアは、まるで別人のような死んだような目をしていたからー。
「そっか。よかったね。私も応援するよ。」
微笑めば、ヒストリアはとても安心したような笑みを返した。
地下街出身のリヴァイ兵長にとっても、女王になったヒストリアの夢は嬉しかったに違いない。
幼い頃のリヴァイ兵長は救えなくても、彼と同じ境遇にいる子供達にはせめて、もっと安心して眠れる、泣いて甘えてもいい場所を与えてあげたい。
「それで、ユミルも一緒に孤児院で働いてくれることになったんです。
たぶんなんですけど…、ユミルも子供の頃、苦労したんだと思います。
今、一生懸命、私をサポートしてくれてます。」
「そっか。それならよかったよ。」
それからヒストリアは、調査兵団の幹部と数名の調査兵はまだ王都に残っていることを教えてくれた。
その中に、リヴァイ兵長もいる。
必ず迎えに行くー。
その言葉を信じている。
2人で誓った未来を
リヴァイ兵長を、信じている。
「きっと迎えに来てくれる。きっと…。」
ヒストリアが控室を出た後も、私は、まるで自分に暗示でもかけるように繰り返し呟き続けていた。