◇第百四十五話◇あと少し待って
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オルブド区外壁、早朝。
今からそれほど時間を待たずして、超大型巨人よりも巨大な巨人がここへ到達して人類を襲うことになる。
それを食い止めるのが、ジャン達の使命だった。
漸く調査兵団への容疑が晴れたというのに、地獄のような一日はなかなか終わりを迎えさせてはくれないようだった。
「リヴァイ兵長、こうなること分かっててなまえさんを行かせたんですか。」
外壁のギリギリのところに立って、巨人化したロッド・レイスを待っていたリヴァイが振り返った。
なまえの両親、果てにはルーカスまでやってきて、彼女を連れ戻そうとしたとき、リヴァイならなんとかして奪われないようにしてくれるんじゃないかと期待があった。
なまえもそれを望んでいたし、何より、リヴァイがどれほど彼女のことを大切にしているのかをあのとき、目の当たりにしたからだ。
でも実際は、リヴァイはなまえの手を放した。
信じられなかった。
でもー。
「こんなに最悪な状況になるのは想定外だった。」
「まぁ、そうっすよね。」
いつもの無表情で答えるリヴァイに、ジャンは思わず苦笑が漏れる。
でも、やっぱり、リヴァイはなまえを諦めたわけでも、彼女の幸せがどうのとか面倒くさいことを考えて手放したわけでもなかった。
ホッとすると同時に、ずっと心のどこかで思っていた気持ちが顔を出し始める。
でも、それは、自分達の手を汚してまで大切な人達を守ろうとした仲間のことを蔑ろにするような発言な気がして、口には出来なかった。
「お前達には悪いが、俺はなまえがここにいなくて良かったと思ってる。」
今、自分が考えていたのとまったく同じセリフがリヴァイから出てきて驚いた。
リヴァイは、遠くに見えだしている巨人の姿を鋭い眼光でとらえながら続ける。
「どうせまた無茶して、後で死ぬほど苦しむんだ。
なまえに人殺しは似合わねぇよ。
お前らには、仲間のために手を汚せと言っておきながら、悪いな。」
「いえ…、俺も同じことを思ってましたから。」
「そうか。」
ジャンは、リヴァイの隣に並ぶ。
白くなりだした空の下、とりあえず、最低最悪の今日はもうすぐ決着がつく。
必ず勝たなけばならない戦いだ。
ここで負ければ、人類が滅ぶ。
そして、人類が滅ぶ前に、なまえのいる王都ミットラスに恐ろしい巨人が到達してしまうことになる。
「これが全部終わったら、なまえさんを迎えに行くんですか?」
「愛想が尽きてなきゃいいがな。」
「大丈夫っすよ。そしたら、俺が貰います。」
「…ここから突き落としても、この状況じゃ、追い詰められて飛び降りたと思われるだろうな。
まぁ、もしくは不慮の事故か。どっちにしてほしい。」
隣から、冗談とは思えない殺気を感じてジャンはそっと逃げた。
今からそれほど時間を待たずして、超大型巨人よりも巨大な巨人がここへ到達して人類を襲うことになる。
それを食い止めるのが、ジャン達の使命だった。
漸く調査兵団への容疑が晴れたというのに、地獄のような一日はなかなか終わりを迎えさせてはくれないようだった。
「リヴァイ兵長、こうなること分かっててなまえさんを行かせたんですか。」
外壁のギリギリのところに立って、巨人化したロッド・レイスを待っていたリヴァイが振り返った。
なまえの両親、果てにはルーカスまでやってきて、彼女を連れ戻そうとしたとき、リヴァイならなんとかして奪われないようにしてくれるんじゃないかと期待があった。
なまえもそれを望んでいたし、何より、リヴァイがどれほど彼女のことを大切にしているのかをあのとき、目の当たりにしたからだ。
でも実際は、リヴァイはなまえの手を放した。
信じられなかった。
でもー。
「こんなに最悪な状況になるのは想定外だった。」
「まぁ、そうっすよね。」
いつもの無表情で答えるリヴァイに、ジャンは思わず苦笑が漏れる。
でも、やっぱり、リヴァイはなまえを諦めたわけでも、彼女の幸せがどうのとか面倒くさいことを考えて手放したわけでもなかった。
ホッとすると同時に、ずっと心のどこかで思っていた気持ちが顔を出し始める。
でも、それは、自分達の手を汚してまで大切な人達を守ろうとした仲間のことを蔑ろにするような発言な気がして、口には出来なかった。
「お前達には悪いが、俺はなまえがここにいなくて良かったと思ってる。」
今、自分が考えていたのとまったく同じセリフがリヴァイから出てきて驚いた。
リヴァイは、遠くに見えだしている巨人の姿を鋭い眼光でとらえながら続ける。
「どうせまた無茶して、後で死ぬほど苦しむんだ。
なまえに人殺しは似合わねぇよ。
お前らには、仲間のために手を汚せと言っておきながら、悪いな。」
「いえ…、俺も同じことを思ってましたから。」
「そうか。」
ジャンは、リヴァイの隣に並ぶ。
白くなりだした空の下、とりあえず、最低最悪の今日はもうすぐ決着がつく。
必ず勝たなけばならない戦いだ。
ここで負ければ、人類が滅ぶ。
そして、人類が滅ぶ前に、なまえのいる王都ミットラスに恐ろしい巨人が到達してしまうことになる。
「これが全部終わったら、なまえさんを迎えに行くんですか?」
「愛想が尽きてなきゃいいがな。」
「大丈夫っすよ。そしたら、俺が貰います。」
「…ここから突き落としても、この状況じゃ、追い詰められて飛び降りたと思われるだろうな。
まぁ、もしくは不慮の事故か。どっちにしてほしい。」
隣から、冗談とは思えない殺気を感じてジャンはそっと逃げた。