ウトガルド城跡地、そこは凄惨たる状況だった。
巨人の大群に加え、壁の方角から岩まで飛んできている。
猛スピードで仲間の元へ走ってくれるテュランの上から振り返れば、ミケ分隊長の愛馬を殺した獣の巨人が、大岩を投げている姿が見えた。
また、アイツだー。

「行くぞ！」
「はい！」

城壁にナナバさんとゲルガーさんの姿が見えた。
すぐそこに巨人が来ているのに、動かない姿から察するに、これだけの巨人を相手にしたことで体力やガス、刃、もしくはそのすべてが尽きてしまったのかもしれない。
鞘を抜きながら、レバーでアンカーを飛ばす。
なんとかギリギリのところで、ナナバさんの身体を抱えて、塔の上へ飛び上がった。

「ありがとう…。助かったよ。」

そっと降ろせば、ナナバさんは壁に背中を預けて目を閉じた。
その隣では、ミケ分隊長に助けられたゲルガーさんが倒れ込んでいる。
リーネさんとヘニングさんの亡骸を見つけて、私は拳を握った。
もっと早く来ていればー。

「ミケ分隊長！なまえさんっ！」
「実力者の2人が来てくれればもう安心だぜ！」

クリスタとコニーが嬉しそうに言った。

「喜ぶのは後だ。今は眼下の巨人の討伐が先だ。
　君達はそこでおとなしくしていろ。くれぐれも余計な真似はするな。」

ミケ分隊長に続いて、私も巨人の群れに飛び込んだ。