◇第百三十七話◇大きな犠牲を連れて、帰還する
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エルヴィン団長は、最初に私の勝手な行動を咎めた。
ガスも刃も補充しないまま巨人に立ち向かうのは、勇敢でもなんでもなく、無謀なだけだ。
そこで勇敢な死を遂げた調査兵達の足元にも及ばない兵士だと叱ってくれた。
拳を握り、目を伏せる私の肩にエルヴィン団長の手が乗る。
重たく大きな手は、それでも仲間達を守ろうとしているのだ。
恐ろしい敵に立ち向かうために化け物をも凌ぐ非情な決断を下すしかなかったのも、仲間を大切に思うが故ー。
「だが、君にとっては無謀ではなかったのだろう。」
エルヴィン団長が本題に入ったのが分かり、私の肩がビクリと揺れる。
それは、その肩に乗せていた大きな手から、ダイレクトにエルヴィン団長に伝わったはずだ。
誤魔化しはきかないだろう。
そもそも、仲間が死んでいるのに真相を闇に葬ることは出来ない。
それに、私はもう、残酷な現実から逃げられるような場所には立っていなかった。
顔を上げ、エルヴィン団長と向き合う。
現実と、向き合わなければー。
「…死なない自信が、ありました。」
「それは、自分の力を過信した、というわけでもなさそうだったと
ペトラ達から報告が来ている。君は一体、何を見た。」
「赤い、ブレスレットを…、見ました…。」
「赤いブレスレット?」
想定外の答えに、エルヴィン団長は訝し気に目を細める。
「なまえがいつも手首にしてるやつだ、今もそこにー。
あぁ…、そうか。アイツか。」
リヴァイ兵長も分かったようだった。
唇を噛んで目を伏せた私の代わりに、リヴァイ兵長が説明をしてくれた。
この赤いブレスレットの意味と、ストヘス区の憲兵団施設にいる憲兵の話を聞いたエルヴィン団長はしばらく思案した後、私に訊ねた。
「彼女の姿を君はその目で見たのか?」
「いいえ、赤いブレスレットだけです。」
「では、確実ではないということだな。」
「そう…ですね。彼女じゃないかもしれない。
私も、間違いだったらいいのにと何度も願いました。
でも、女型の巨人は、私を殺さなかった…っ。」
確信してしまっている私に、エルヴィン団長は慎重に判断すべきだと言った。
とりあえず、私が見た赤いブレスレットと憲兵のことは頭に入れておきつつ、詳しくは帰還してから話し合うことに決まった。
「なまえはペトラ達のところにでも行って、休んでおけ。
帰ったら説教をするつもりだが、とりあえずは褒めてやる。お前はよくやった。」
リヴァイ兵長が私の髪を優しく撫でた。
せっかく褒めてもらったのに、私はただ項垂れるばかりだった。
ガスも刃も補充しないまま巨人に立ち向かうのは、勇敢でもなんでもなく、無謀なだけだ。
そこで勇敢な死を遂げた調査兵達の足元にも及ばない兵士だと叱ってくれた。
拳を握り、目を伏せる私の肩にエルヴィン団長の手が乗る。
重たく大きな手は、それでも仲間達を守ろうとしているのだ。
恐ろしい敵に立ち向かうために化け物をも凌ぐ非情な決断を下すしかなかったのも、仲間を大切に思うが故ー。
「だが、君にとっては無謀ではなかったのだろう。」
エルヴィン団長が本題に入ったのが分かり、私の肩がビクリと揺れる。
それは、その肩に乗せていた大きな手から、ダイレクトにエルヴィン団長に伝わったはずだ。
誤魔化しはきかないだろう。
そもそも、仲間が死んでいるのに真相を闇に葬ることは出来ない。
それに、私はもう、残酷な現実から逃げられるような場所には立っていなかった。
顔を上げ、エルヴィン団長と向き合う。
現実と、向き合わなければー。
「…死なない自信が、ありました。」
「それは、自分の力を過信した、というわけでもなさそうだったと
ペトラ達から報告が来ている。君は一体、何を見た。」
「赤い、ブレスレットを…、見ました…。」
「赤いブレスレット?」
想定外の答えに、エルヴィン団長は訝し気に目を細める。
「なまえがいつも手首にしてるやつだ、今もそこにー。
あぁ…、そうか。アイツか。」
リヴァイ兵長も分かったようだった。
唇を噛んで目を伏せた私の代わりに、リヴァイ兵長が説明をしてくれた。
この赤いブレスレットの意味と、ストヘス区の憲兵団施設にいる憲兵の話を聞いたエルヴィン団長はしばらく思案した後、私に訊ねた。
「彼女の姿を君はその目で見たのか?」
「いいえ、赤いブレスレットだけです。」
「では、確実ではないということだな。」
「そう…ですね。彼女じゃないかもしれない。
私も、間違いだったらいいのにと何度も願いました。
でも、女型の巨人は、私を殺さなかった…っ。」
確信してしまっている私に、エルヴィン団長は慎重に判断すべきだと言った。
とりあえず、私が見た赤いブレスレットと憲兵のことは頭に入れておきつつ、詳しくは帰還してから話し合うことに決まった。
「なまえはペトラ達のところにでも行って、休んでおけ。
帰ったら説教をするつもりだが、とりあえずは褒めてやる。お前はよくやった。」
リヴァイ兵長が私の髪を優しく撫でた。
せっかく褒めてもらったのに、私はただ項垂れるばかりだった。