◇第百三十四話◇彼女の叫び
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エルヴィン団長により、総員撤退とカラネス区への帰還指示が出た。
悔しさを隠しもせず、木の枝で拳を握る調査兵達の眼下で、女型の巨人は、巨人の大群に食われ続けている。
女型の巨人が上げる白い蒸気の向こうを、私は必死に凝視していた。
うなじの中に、絶対に敵がいるのだ。
捕まえて、そして、どうしてこんなひどいことが出来るのかを聞かないといけない。
そして、それがどれほどまでに素晴らしい理由だったとしても、自分が犯した罪の重さを理解してもらわないとー。
「あ…!」
白い蒸気の中に、アニとお揃いの赤いブレスレットを見つけた。
それは、巨人の大群の足元に落ちていた。
女型の巨人のうなじを削ごうとしていたときか、巨人の大群から女型の巨人を死守しようとしていたときか分からないが、いつの間にか落としてしまっていたようだ。
このままでは巨人に壊されてしまう、大切なアニとの絆をー。
「ちょっ!ちょっと!何してんの!?」
巨人の群れの中に飛び込もうとした私を、ハンジさんが慌てて引き留めた。
「ブレスレットを落としちゃったみたいなんです。」
「それって、いつもしてる赤いやつ?」
「はい、それを取りに行きたくてー。」
「ついてるけど?」
「え?」
ハンジさんが私の左手首を指さす。
そんなはずはない、と自分の左手首を見れば、ちゃんと赤いブレスレットはそこにあった。
でも、さっきは確かに、巨人の群れの中にあったのにー。
そう思って、もう一度、眼下を確認すると、さっきはあったとおもった赤いブレスレットがなくなっていた。
「あれ?」
「白い蒸気と巨人の赤い血で、何かを見間違えたんじゃないかな。」
「そう、ですかね…?」
確かに見たのにー。
納得できないまま、私は巨人の群れの中を見渡した。
そして、白い蒸気の向こうに、赤いブレスレットをつけた手首が見えた気がした。
(アニ?)
私は首を傾げる。
また、何かを見間違えたのだろうか。
だって、アニは憲兵なのだ。壁外調査に来ているわけがない。
でも、確かにー。
「ハンジさん。」
「今度は何?」
「やっぱり、赤いブレスレットを探してきます。」
「だから、ちゃんとついてるからね?
探さなくていいの、そこにあるから。分かる?」
「間違えました。赤いブレスレットがないことを、確認したいんです。」
「ちょっと意味が分からないな、ハンジさんには。
ん?何を言ってー。」
「離脱します!」
「はぁぁぁッ!?」
驚くハンジさんの叫びを残して、私は飛んだ。
悔しさを隠しもせず、木の枝で拳を握る調査兵達の眼下で、女型の巨人は、巨人の大群に食われ続けている。
女型の巨人が上げる白い蒸気の向こうを、私は必死に凝視していた。
うなじの中に、絶対に敵がいるのだ。
捕まえて、そして、どうしてこんなひどいことが出来るのかを聞かないといけない。
そして、それがどれほどまでに素晴らしい理由だったとしても、自分が犯した罪の重さを理解してもらわないとー。
「あ…!」
白い蒸気の中に、アニとお揃いの赤いブレスレットを見つけた。
それは、巨人の大群の足元に落ちていた。
女型の巨人のうなじを削ごうとしていたときか、巨人の大群から女型の巨人を死守しようとしていたときか分からないが、いつの間にか落としてしまっていたようだ。
このままでは巨人に壊されてしまう、大切なアニとの絆をー。
「ちょっ!ちょっと!何してんの!?」
巨人の群れの中に飛び込もうとした私を、ハンジさんが慌てて引き留めた。
「ブレスレットを落としちゃったみたいなんです。」
「それって、いつもしてる赤いやつ?」
「はい、それを取りに行きたくてー。」
「ついてるけど?」
「え?」
ハンジさんが私の左手首を指さす。
そんなはずはない、と自分の左手首を見れば、ちゃんと赤いブレスレットはそこにあった。
でも、さっきは確かに、巨人の群れの中にあったのにー。
そう思って、もう一度、眼下を確認すると、さっきはあったとおもった赤いブレスレットがなくなっていた。
「あれ?」
「白い蒸気と巨人の赤い血で、何かを見間違えたんじゃないかな。」
「そう、ですかね…?」
確かに見たのにー。
納得できないまま、私は巨人の群れの中を見渡した。
そして、白い蒸気の向こうに、赤いブレスレットをつけた手首が見えた気がした。
(アニ?)
私は首を傾げる。
また、何かを見間違えたのだろうか。
だって、アニは憲兵なのだ。壁外調査に来ているわけがない。
でも、確かにー。
「ハンジさん。」
「今度は何?」
「やっぱり、赤いブレスレットを探してきます。」
「だから、ちゃんとついてるからね?
探さなくていいの、そこにあるから。分かる?」
「間違えました。赤いブレスレットがないことを、確認したいんです。」
「ちょっと意味が分からないな、ハンジさんには。
ん?何を言ってー。」
「離脱します!」
「はぁぁぁッ!?」
驚くハンジさんの叫びを残して、私は飛んだ。