◇第百二十六話◇花嫁になり損ねたブライズメイド
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「それで遅かったのか。」
夜遅く、私が部屋に戻ると、リヴァイ兵長はまだ執務室で仕事をしていた。
エレンの巨人化実験のことで、書類仕事が増えて大変なのだそうだ。
とりあえず、一区切りがついたからということで、リヴァイ兵長の寝室のベッドで並んで座り、お互いの知らない一日の話を交わす。
「あっという間にドレスの型紙が出来て、感動しました。」
フロリアンからブライズメイドを頼まれた後、マレーネがお揃いの色のドレスを作ると言い出した。
彼女は幼い頃から裁縫が好きで、本当は仕立て屋になるのが夢だったらしい。
だから、友人を送るためのドレスは元々自分で作るつもりだったが、ブライズメイドをするのなら、みんなの分も作ると言ってくれて、今の時間までサイズを測ったりと慌ただしくしていた。
部屋に戻るのが遅くなってしまったのは、そのためだった。
「来い。」
リヴァイ兵長が、私の身体を軽く持ち上げて、自分の膝の上にまたがるように座らせた。
隣にあった綺麗な瞳が、真正面からまっすぐ私を見つめてくれる。
今から、たくさん甘えていいのだと言ってくれているみたいな、優しい瞳ー。私だけの、私だけを映してくれる優しい瞳。
遠回りしてたどり着いたこの場所が、私にとって一番安心できる場所だ。
「帰りが遅いから、寂しかったんですか?」
クスリと笑って、からかうように言うと、リヴァイ兵長の片眉がピクリと上がった。
でも、何か言うわけでもなく、少し強引なキスをされる。
私もキスしたかった。誓いのキスではなくたって、ずっとずっと愛してると語ってるみたいなリヴァイ兵長のキスがあれば、私はすごく幸せだ。
リップ音を鳴らして唇が離れた後、遅くなったなりに早く帰ろうと努力したという言い訳を口にする。
「もう時間も遅かったので、型紙だけ作って、
ドレスの色はまた後でってことになりました。」
サイズを測ったり、どんなドレスが出来上がるのかと盛り上がっているときに、何色にするかも話し合ったのだ。
でも、ピンクがよかったり、ブルーがよかったり、イエローがよかったり、みんな、バラバラで話がまとまらなかったので、明日までの宿題になってしまった。
私は、あの海のような綺麗な青がいいなーと思う。
幸せのイメージが、私にとってはあの海になってしまっているから。
でも、フロリアンは黄色が好きだと言っていたから、彼女の好きな色にするのが一番いいかなとも思っている。
「リヴァイ兵長は何色がいいと思いますか?」
「あぁ~…白。」
「それはダメですよ、リヴァイ兵長。
白は花嫁さんだけの特別な色だから。」
「なまえは、白いドレスは着てぇんじゃねぇのか。」
リヴァイ兵長は、まっすぐに私を見ていた。
いつもは愛を伝えてくれる瞳は、今この時は自分が語るよりも私の気持ちを覗こうとしているみたいで、怖くなる。
知られたくなくて、怖くなる。
「エレンが言ったこと、気にしてるんですか?」
「アイツの言う通りだ。俺は、結婚はしてやれねぇ。
なまえがもし、結婚してくれる相手を望むなら、俺は身を引いてもいい。
それが、なまえの幸せならー。」
これ以上、聞いていたくなくて自分の唇で、優しい顔してヒドイことを言う唇を塞いだ。
噛みつかれた瞬間は驚いた様子だったリヴァイ兵長は、私の後頭部に手をまわして唇を押しつけて来た。
お互いに、お互いを必死に求めあうみたいに、まるで戦いでもしているみたいに必死に唇に噛みつきあう。
舌を絡めて、咥内を犯し合って、息の根を止めて、このまま自分だけのものにしようとしているみたいにー。
しばらくして、離れたときは、2人ともどちらのものともわからない唾液で唇を濡らしていた。
「リヴァイ兵長は、私が他の人と結婚しても、平気ですか…?」
私が訊ねると、リヴァイ兵長は一瞬目を反らした。
でも、気持ちはもう決まっているのか、すぐに私の目を見つめ返して、そしてやっぱり、優しい顔でヒドいことを言う。
「それで、なまえが幸せになるなら、俺はそれでいい。」
「私は、嫌です。」
「そうか。」
「他の人と結婚するのも、リヴァイ兵長が他の誰かの恋人になるのも、嫌です。
そんなの、想像しただけで苦しくなります。
だからもう…っ、二度と…っ、そんなヒドイこと、言わないで…っ。」
「…わかった。悪かった。」
私は、リヴァイ兵長をひどく責めるような顔をしていたのだろう。
謝罪したリヴァイ兵長は、私の涙を拭うと、ゆるゆると私を抱き寄せた。
温かい温度と耳元にかかる吐息。
そのすべてが、私に謝ってるみたいで、胸が苦しくなった。
お互いに苦しみを誤魔化すように唇を重ね合う。
それは熱い吐息を生んで、気づけば泣いてるみたいに汗ばむ肌をぶつけ合っていた。
眉間に皺を寄せ、余裕のない表情で、リヴァイ兵長が私の名前を呼ぶ。
私はそんなリヴァイ兵長の背中にしがみついて、爪痕を刻む。
しっかりと身体は重なり合っているはずなのに、世界中の誰よりも遠く感じているのは、私だけだろうか。
リヴァイ兵長も、同じように距離を感じていたのだろうか。
この日からだったと思う。
2人の間に、少しずつ溝が、すれ違いが生まれていったのはー。
夜遅く、私が部屋に戻ると、リヴァイ兵長はまだ執務室で仕事をしていた。
エレンの巨人化実験のことで、書類仕事が増えて大変なのだそうだ。
とりあえず、一区切りがついたからということで、リヴァイ兵長の寝室のベッドで並んで座り、お互いの知らない一日の話を交わす。
「あっという間にドレスの型紙が出来て、感動しました。」
フロリアンからブライズメイドを頼まれた後、マレーネがお揃いの色のドレスを作ると言い出した。
彼女は幼い頃から裁縫が好きで、本当は仕立て屋になるのが夢だったらしい。
だから、友人を送るためのドレスは元々自分で作るつもりだったが、ブライズメイドをするのなら、みんなの分も作ると言ってくれて、今の時間までサイズを測ったりと慌ただしくしていた。
部屋に戻るのが遅くなってしまったのは、そのためだった。
「来い。」
リヴァイ兵長が、私の身体を軽く持ち上げて、自分の膝の上にまたがるように座らせた。
隣にあった綺麗な瞳が、真正面からまっすぐ私を見つめてくれる。
今から、たくさん甘えていいのだと言ってくれているみたいな、優しい瞳ー。私だけの、私だけを映してくれる優しい瞳。
遠回りしてたどり着いたこの場所が、私にとって一番安心できる場所だ。
「帰りが遅いから、寂しかったんですか?」
クスリと笑って、からかうように言うと、リヴァイ兵長の片眉がピクリと上がった。
でも、何か言うわけでもなく、少し強引なキスをされる。
私もキスしたかった。誓いのキスではなくたって、ずっとずっと愛してると語ってるみたいなリヴァイ兵長のキスがあれば、私はすごく幸せだ。
リップ音を鳴らして唇が離れた後、遅くなったなりに早く帰ろうと努力したという言い訳を口にする。
「もう時間も遅かったので、型紙だけ作って、
ドレスの色はまた後でってことになりました。」
サイズを測ったり、どんなドレスが出来上がるのかと盛り上がっているときに、何色にするかも話し合ったのだ。
でも、ピンクがよかったり、ブルーがよかったり、イエローがよかったり、みんな、バラバラで話がまとまらなかったので、明日までの宿題になってしまった。
私は、あの海のような綺麗な青がいいなーと思う。
幸せのイメージが、私にとってはあの海になってしまっているから。
でも、フロリアンは黄色が好きだと言っていたから、彼女の好きな色にするのが一番いいかなとも思っている。
「リヴァイ兵長は何色がいいと思いますか?」
「あぁ~…白。」
「それはダメですよ、リヴァイ兵長。
白は花嫁さんだけの特別な色だから。」
「なまえは、白いドレスは着てぇんじゃねぇのか。」
リヴァイ兵長は、まっすぐに私を見ていた。
いつもは愛を伝えてくれる瞳は、今この時は自分が語るよりも私の気持ちを覗こうとしているみたいで、怖くなる。
知られたくなくて、怖くなる。
「エレンが言ったこと、気にしてるんですか?」
「アイツの言う通りだ。俺は、結婚はしてやれねぇ。
なまえがもし、結婚してくれる相手を望むなら、俺は身を引いてもいい。
それが、なまえの幸せならー。」
これ以上、聞いていたくなくて自分の唇で、優しい顔してヒドイことを言う唇を塞いだ。
噛みつかれた瞬間は驚いた様子だったリヴァイ兵長は、私の後頭部に手をまわして唇を押しつけて来た。
お互いに、お互いを必死に求めあうみたいに、まるで戦いでもしているみたいに必死に唇に噛みつきあう。
舌を絡めて、咥内を犯し合って、息の根を止めて、このまま自分だけのものにしようとしているみたいにー。
しばらくして、離れたときは、2人ともどちらのものともわからない唾液で唇を濡らしていた。
「リヴァイ兵長は、私が他の人と結婚しても、平気ですか…?」
私が訊ねると、リヴァイ兵長は一瞬目を反らした。
でも、気持ちはもう決まっているのか、すぐに私の目を見つめ返して、そしてやっぱり、優しい顔でヒドいことを言う。
「それで、なまえが幸せになるなら、俺はそれでいい。」
「私は、嫌です。」
「そうか。」
「他の人と結婚するのも、リヴァイ兵長が他の誰かの恋人になるのも、嫌です。
そんなの、想像しただけで苦しくなります。
だからもう…っ、二度と…っ、そんなヒドイこと、言わないで…っ。」
「…わかった。悪かった。」
私は、リヴァイ兵長をひどく責めるような顔をしていたのだろう。
謝罪したリヴァイ兵長は、私の涙を拭うと、ゆるゆると私を抱き寄せた。
温かい温度と耳元にかかる吐息。
そのすべてが、私に謝ってるみたいで、胸が苦しくなった。
お互いに苦しみを誤魔化すように唇を重ね合う。
それは熱い吐息を生んで、気づけば泣いてるみたいに汗ばむ肌をぶつけ合っていた。
眉間に皺を寄せ、余裕のない表情で、リヴァイ兵長が私の名前を呼ぶ。
私はそんなリヴァイ兵長の背中にしがみついて、爪痕を刻む。
しっかりと身体は重なり合っているはずなのに、世界中の誰よりも遠く感じているのは、私だけだろうか。
リヴァイ兵長も、同じように距離を感じていたのだろうか。
この日からだったと思う。
2人の間に、少しずつ溝が、すれ違いが生まれていったのはー。