◇第百二十一話◇迷子の天使
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小さな赤ちゃんを連れてそこまで長いお散歩をするつもりはないけれど、念のため、ミルクとオムツの準備をしてから、宿舎を出た。
乳母車の籠の中で、ヨシュカはいつもとは違う振動と景色を楽しんでいるようで、さっきから、キャッキャッと可愛らしい声を出している。
「なまえ!!アンタが、ママやってるって噂、本当だったのね~。」
「あっという間にリヴァイ兵長の二世産んだんだってねっ。」
「これで人類の将来も安泰ね~。」
「名前は何にしたの?リヴァイ・ジュニア?」
「顔見せてよ~っ。どっちに似てるの~?」
厩舎の近くを通りかかったところで、フロリアン達が、からかう気満々で駆け寄ってきた。
噂好きの彼女達が、どうして私が赤ちゃんの世話をしているのか、本当のことを知らないはずがない。
「いいこと思いついたんだけど、
フロリアンは、次の壁外調査終わったらすぐ結婚でしょう?
そしたら、子供も出来るかもしれないし、私なんかよりもフロリアンの方がー。」
「やめてよっ。自分の子ならともかく、
他人の子のために寝不足で命削られたくないっ。」
フロリアンが全力で拒否する。
正直で、そして、的確な拒否理由を聞いて、むしろ感心する。
私は、昨日一日、赤ちゃんの世話をするまで、こんなに育児が大変なことだとは知らなかった。
赤ちゃんのお世話をする気はさらさらないらしい彼女達は、散々私のことをからかった後、訓練に戻っていった。
自由な彼女達が羨ましい。
今心底、自由というのが羨ましい。
「ふぇ…、ふぇ~~~んっ。」
「あ~っ、ごめんね、よしよし。」
私の気持ちを読んだみたいに、悲しそうに泣きだしたヨシュカを乳母車の籠から抱き上げる。
お腹が空いた様子でもないし、ただ甘えたいだけなのかもしれない。
そう思って、ヨシュカを片手で抱っこしたまま、乳母車を引いて、すぐそこの広場へ向かう。
テュランも好きな大きな木の木陰に座って、ヨシュカを膝の上に乗せてやる。
いつもとは違う視界が面白かったのか、また楽しそうな声を出し始めた。
機嫌が治ってよかった。
「ほら、見て。蝶々だよっ。可愛いねぇ~。」
「キャッ!キャッ!」
言葉が通じたのかは分からないけれど、黄色の羽をハタハタさせて舞う蝶々を、ヨシュカの小さな手が一生懸命追いかける。
腰を支える私の手を煩わしそうにどかそうとするので、芝生の上に降ろしてやると、ハイハイしながら蝶々を追いかけ始めた。
赤ちゃんも、自由でいられた方が、生き生きとするようだ。
「おいでっ。蝶々じゃなくて、なまえママのところにおいで~っ。」
ヨシュカの前にまわりこんで、屈んで両手を出した。
蝶々を追いかけていたヨシュカの視線が私に向いて止まった。
さぁ、ヨシュカは蝶々と私のどちらを選ぶのか。
ドキドキするー。
「キャァ~っ。」
嬉しそうな声を上げて、楽しそうに向かったのは、私の方だった。
小さな手と足で一生懸命にやって来てくれる姿はもう、言葉にならない愛おしさがあってー。
「ヨシュカ~っ。ありがとう~~っ。嬉しいよぉ~っ。」
ヨシュカを抱き上げて、柔らかい頬にスリスリする。
そうすると、ヨシュカからも楽しそうな声が返ってきた。
さっきまでは、寝不足で疲れ果てていたのに、こんな可愛らしいご褒美がもらえるのならいくらでも頑張れる気がしてきた。
赤ちゃんって、すごいー。
「赤ん坊よりなまえの方が楽しそうだな。」
呆れたような声がして振り向くと、リヴァイ兵長がいた。
乳母車の籠の中で、ヨシュカはいつもとは違う振動と景色を楽しんでいるようで、さっきから、キャッキャッと可愛らしい声を出している。
「なまえ!!アンタが、ママやってるって噂、本当だったのね~。」
「あっという間にリヴァイ兵長の二世産んだんだってねっ。」
「これで人類の将来も安泰ね~。」
「名前は何にしたの?リヴァイ・ジュニア?」
「顔見せてよ~っ。どっちに似てるの~?」
厩舎の近くを通りかかったところで、フロリアン達が、からかう気満々で駆け寄ってきた。
噂好きの彼女達が、どうして私が赤ちゃんの世話をしているのか、本当のことを知らないはずがない。
「いいこと思いついたんだけど、
フロリアンは、次の壁外調査終わったらすぐ結婚でしょう?
そしたら、子供も出来るかもしれないし、私なんかよりもフロリアンの方がー。」
「やめてよっ。自分の子ならともかく、
他人の子のために寝不足で命削られたくないっ。」
フロリアンが全力で拒否する。
正直で、そして、的確な拒否理由を聞いて、むしろ感心する。
私は、昨日一日、赤ちゃんの世話をするまで、こんなに育児が大変なことだとは知らなかった。
赤ちゃんのお世話をする気はさらさらないらしい彼女達は、散々私のことをからかった後、訓練に戻っていった。
自由な彼女達が羨ましい。
今心底、自由というのが羨ましい。
「ふぇ…、ふぇ~~~んっ。」
「あ~っ、ごめんね、よしよし。」
私の気持ちを読んだみたいに、悲しそうに泣きだしたヨシュカを乳母車の籠から抱き上げる。
お腹が空いた様子でもないし、ただ甘えたいだけなのかもしれない。
そう思って、ヨシュカを片手で抱っこしたまま、乳母車を引いて、すぐそこの広場へ向かう。
テュランも好きな大きな木の木陰に座って、ヨシュカを膝の上に乗せてやる。
いつもとは違う視界が面白かったのか、また楽しそうな声を出し始めた。
機嫌が治ってよかった。
「ほら、見て。蝶々だよっ。可愛いねぇ~。」
「キャッ!キャッ!」
言葉が通じたのかは分からないけれど、黄色の羽をハタハタさせて舞う蝶々を、ヨシュカの小さな手が一生懸命追いかける。
腰を支える私の手を煩わしそうにどかそうとするので、芝生の上に降ろしてやると、ハイハイしながら蝶々を追いかけ始めた。
赤ちゃんも、自由でいられた方が、生き生きとするようだ。
「おいでっ。蝶々じゃなくて、なまえママのところにおいで~っ。」
ヨシュカの前にまわりこんで、屈んで両手を出した。
蝶々を追いかけていたヨシュカの視線が私に向いて止まった。
さぁ、ヨシュカは蝶々と私のどちらを選ぶのか。
ドキドキするー。
「キャァ~っ。」
嬉しそうな声を上げて、楽しそうに向かったのは、私の方だった。
小さな手と足で一生懸命にやって来てくれる姿はもう、言葉にならない愛おしさがあってー。
「ヨシュカ~っ。ありがとう~~っ。嬉しいよぉ~っ。」
ヨシュカを抱き上げて、柔らかい頬にスリスリする。
そうすると、ヨシュカからも楽しそうな声が返ってきた。
さっきまでは、寝不足で疲れ果てていたのに、こんな可愛らしいご褒美がもらえるのならいくらでも頑張れる気がしてきた。
赤ちゃんって、すごいー。
「赤ん坊よりなまえの方が楽しそうだな。」
呆れたような声がして振り向くと、リヴァイ兵長がいた。