◇第百十七話◇いつか地平線を眺めるなら
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ザザザー…。
白い砂の絨毯に波が行ったり来たりするのを眺めながら歩く。
砂浜にヒールが埋もれて歩きづらいから、途中で脱いだ。
ひんやりとしたきめの細かい砂が裸足に纏わりついて、不思議と気持ちがいい。
1人で歩いているときは、煩わしくて仕方がなかったはずなのにー。
そんなことを思いながら、手を繋いで歩く愛おしい人を見る。
彼は、何処までも続く青い海を眺めていた。
その綺麗な横顔がとても儚げで、なぜかとても胸が苦しくなった。
だから、握る手に力を込めれば、海を映していた彼の瞳が私を映した。
太陽の光が彼を輝かせるから、相も変わらず、私は胸をときめかせる。
彼の瞳には、隣を歩く私はどんな風に映っているのだろう。
今日は特別に綺麗だなー、なんて思ってくれていたら嬉しいな。
私は、今日も世界一素敵だなー、て思ってる。
≪アニキーっ!なまえーーっ!!≫
後ろから、私達を呼ぶ声がして立ち止まる。
振り向くと、可愛らしい友人が大きく手を振って笑顔で駆け寄ってきていた。
普段から服は動きやすいのが一番だと言っている彼女も、さすがに今日はおしとやかなワンピースを着ている。
でも、そんな風に走ってしまったら、せっかく可愛くセットした髪も乱れてしまうんじゃないかと心配になってしまう。
その後ろには、面倒くさそうに歩きながらこちらに向かってきている頼りがいのある友人の姿も見える。
彼もまた、いつものラフな格好とは違って、タキシードでビシッとキメている。
いつものイメージと違うけれど、それはそれでとても似合うとは思う。
でもやっぱり、私の愛おしい人には敵わない。
≪もうみんな集まってるぜ。お前らが主役なんだから、早く戻れよ。≫
意外とタキシードの似合う友人は、私達を窘めるとすぐに元来た道を戻っていく。
≪美味そうなもんがたくさんあったぜ!
早く終わらせて、食い尽くそうぜっ!!≫
嬉しそうに言った可愛い友人は、また騒がしく走って戻っていく。
せっかくのお洒落やワンピースよりも食事の方が楽しみのようだ。
でも、私はもう少しここにいたくて、海を振り返る。
いつか、この青い海の向こうにはどんな世界があるのだろう、と夢を馳せたことがある気がする。
それは遠い遠い昔のような気もするし、つい昨日だったような気もする。
その時も、隣には彼がいたはずなのだけれど、いつのことだっけー。
不意に、潮風に真っ白いドレスが舞って踊る。
慌てて押さえると、隣でクスリと笑われてしまった。
≪さぁ、行こうか。≫
誰よりもタキシードの似合う私の騎士が、優しく手を差し伸べる。
決して大きくはないその手で、初めて出逢ったその日から、ようやく迎えられる今日の日まで、この世界にある悲しみの全てから私を守ってくれた。
何よりも強くて、優しい彼の手。
そっと握れば、愛おしさと共に懐かしさも湧きあがる。
≪ねぇ。≫
≪ん?≫
≪私、生まれる前からずっと大好きなんですよ。≫
≪あぁ、知ってる。生まれる前からずっと。≫
海の見える教会に向かう前に、2人だけで永遠の愛を誓うキスを交わす。
そして私達は、並んで歩いてきた足跡を辿るように、大切な人達の待つ場所へと向かった。
隣を歩く私を愛おしそうに見つめる優しい彼の瞳には、世界一幸せな花嫁が映っていた。
白い砂の絨毯に波が行ったり来たりするのを眺めながら歩く。
砂浜にヒールが埋もれて歩きづらいから、途中で脱いだ。
ひんやりとしたきめの細かい砂が裸足に纏わりついて、不思議と気持ちがいい。
1人で歩いているときは、煩わしくて仕方がなかったはずなのにー。
そんなことを思いながら、手を繋いで歩く愛おしい人を見る。
彼は、何処までも続く青い海を眺めていた。
その綺麗な横顔がとても儚げで、なぜかとても胸が苦しくなった。
だから、握る手に力を込めれば、海を映していた彼の瞳が私を映した。
太陽の光が彼を輝かせるから、相も変わらず、私は胸をときめかせる。
彼の瞳には、隣を歩く私はどんな風に映っているのだろう。
今日は特別に綺麗だなー、なんて思ってくれていたら嬉しいな。
私は、今日も世界一素敵だなー、て思ってる。
≪アニキーっ!なまえーーっ!!≫
後ろから、私達を呼ぶ声がして立ち止まる。
振り向くと、可愛らしい友人が大きく手を振って笑顔で駆け寄ってきていた。
普段から服は動きやすいのが一番だと言っている彼女も、さすがに今日はおしとやかなワンピースを着ている。
でも、そんな風に走ってしまったら、せっかく可愛くセットした髪も乱れてしまうんじゃないかと心配になってしまう。
その後ろには、面倒くさそうに歩きながらこちらに向かってきている頼りがいのある友人の姿も見える。
彼もまた、いつものラフな格好とは違って、タキシードでビシッとキメている。
いつものイメージと違うけれど、それはそれでとても似合うとは思う。
でもやっぱり、私の愛おしい人には敵わない。
≪もうみんな集まってるぜ。お前らが主役なんだから、早く戻れよ。≫
意外とタキシードの似合う友人は、私達を窘めるとすぐに元来た道を戻っていく。
≪美味そうなもんがたくさんあったぜ!
早く終わらせて、食い尽くそうぜっ!!≫
嬉しそうに言った可愛い友人は、また騒がしく走って戻っていく。
せっかくのお洒落やワンピースよりも食事の方が楽しみのようだ。
でも、私はもう少しここにいたくて、海を振り返る。
いつか、この青い海の向こうにはどんな世界があるのだろう、と夢を馳せたことがある気がする。
それは遠い遠い昔のような気もするし、つい昨日だったような気もする。
その時も、隣には彼がいたはずなのだけれど、いつのことだっけー。
不意に、潮風に真っ白いドレスが舞って踊る。
慌てて押さえると、隣でクスリと笑われてしまった。
≪さぁ、行こうか。≫
誰よりもタキシードの似合う私の騎士が、優しく手を差し伸べる。
決して大きくはないその手で、初めて出逢ったその日から、ようやく迎えられる今日の日まで、この世界にある悲しみの全てから私を守ってくれた。
何よりも強くて、優しい彼の手。
そっと握れば、愛おしさと共に懐かしさも湧きあがる。
≪ねぇ。≫
≪ん?≫
≪私、生まれる前からずっと大好きなんですよ。≫
≪あぁ、知ってる。生まれる前からずっと。≫
海の見える教会に向かう前に、2人だけで永遠の愛を誓うキスを交わす。
そして私達は、並んで歩いてきた足跡を辿るように、大切な人達の待つ場所へと向かった。
隣を歩く私を愛おしそうに見つめる優しい彼の瞳には、世界一幸せな花嫁が映っていた。