◇第百十一話◇君と、貴方と、2人だけの幸せな物語をこれからも
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ジーニー達は、憲兵団にその身柄を拘束された。
最後まで、自分は悪くないと訴え続けるジーニーの代わりに、エイクが全て白状したのだそうだ。
被験体殺しについてだけは、どうしても認めてはくれなかったようだが、憲兵はその事件についても彼女達が関わっているとして立件するつもりらしい。
衰弱しきった身体で雨に打たれた私は、高熱を出して2日間寝込んでしまったけれど、大きな怪我もなく命に別状はなかった。
あの凍えるような夜の中で、よく凍死しなかったと医療兵に笑われたくらいだ。
でもー。
(あの女の子…、誰だったんだろう。)
もしかしてー。
ベッドに横になる私の隣に座り、報告書の確認をしているリヴァイ兵長の横顔を見つめる。
もう二度と会えない、と一度は諦めた。
もう二度と会えないのだろうか、と絶望しそうになった。
でも、私は今、ここにいる。
愛おしい人の横顔を見つめることが出来ている。
奇跡だと、何度もハンジさん達に言われた。そして、それは、私が一番分かっている。
あのとき、教会で身を隠せたのも、それこそ凍死しなかったのも、奇跡だ。
テュランと別れてからすぐ、最後の力を振り絞ってなんとか巨人を1体倒した。
それが、本当に最後の力だった。
あの後、もう1体でも、私の前に巨人が現れれば、戦うことも出来ず死んでいたはずだ。
≪こっちだっ!≫
膝をつきそうな私に聞こえてきた、知らない男の人の声。
それが誰なのか、何なのかも分からないまま、私は導かれるようにその声を追いかけた。
≪もうちょっとだっ!頑張れっ!≫
倒れそうになる私の手を引いたあの女の子は、誰だったのだろう。
生きたいと叫ぶ心についていけない身体が、何度も何度も悲鳴を上げて、何度も何度も何度も諦めそうになった。
その度に、彼女は私の手を強く握った。
2人の声は、私に希望を、生きる気力を、捨てさせなかった。
≪俺達を信じろ!≫
≪アニキが来るまで一緒にいてやるからな!≫
私を迎えに来てくれた優しいテュランの背中に乗る力も残ってなかったくせに、何処からか足元に落ちてきた停留所の番号札を鞍に括りつけ、どうにかして生きるために必死にもがいた。
白い霧と雨の中、震える脚で私は走り続けた。
独りでー。
いや、きっと、私は、1人じゃなかったー。
だから、あの声に導かれて走ったから、教会に辿り着くまで、一度だって巨人に出くわすことはなかったのだと信じている。
あの女の子が言っていたアニキとは、誰のことだったのだろうー。
「アニキ…。」
不意に、ポツリと口から零れた。
その途端、隣で報告書を見ていたはずのリヴァイ兵長が、驚きを隠せない表情で私を見た。
「今、何と言った。」
「え?」
「…いや、何でもねぇ。熱は?」
「下がりました。」
私の返事も無視して、リヴァイ兵長は私の額に手を乗せて熱を確認し始める。
そして、すぐに眉間に皴を寄せた。
熱は下がってないらしい。
「まだ寝てろ。」
「…一緒に。」
リヴァイ兵長の腕に触れて、お願いをする。
だって、1人でベッドの中で眠るのは寂しいし、つまらないし、それにー。
もっともっとリヴァイ兵長を感じたい。
一緒に生きていると、生きて帰ってこれたのだと、感じたいー。
「仕方ねぇな。」
リヴァイ兵長はため息交じりに言ったけれど、その声色はとても優しい。
報告書をベッド横の棚に置いて、毛布の中に潜り込むとすぐに私を抱きしめた。
「ねぇ、リヴァイ兵長。」
「ん?」
「いつか私が死んで、向こうの世界に行ったら、
会ってお礼を言いたい人が、いるんです。」
「…そうか。俺もだ。」
「会えますかね?」
「会えるさ。」
「そうですね、会えますよね、きっと。」
リヴァイ兵長の肩に顔を埋める。
ベッドの温もりも、紅茶の甘くて苦い香りも、優しい腕の中も、私の帰りたかった場所だ。
温かくて、心まで温かくなってー。
あぁ、そういえばー。
「あの教会で、ルルがずーっと私のこと抱きしめてくれてたんです。
ヒルラもいて、ずっとリヴァイ兵長のことカッコいいねって言ってて。
だから、全然寒くなかったし、寂しくなくて…て、そんなの信じられないですよね。」
夢を見ていたのかなー。
自分でも、そう思うくらいなのだ。
でも、確かにあのとき、ルルとヒルラがー。
「信じる。」
「信じて、くれるんですか?」
「お前の言葉なら、俺は無条件で信じるから安心しろ。」
「よかった…。私もです。
リヴァイ兵長の言葉なら、それは、私にとってどんな確かな真実よりも
真実だから。」
この世に生を受けた日から、神様に決められた運命の人がいる。
恋愛小説を読むと、そんなことがよく書いてある。
でも、リヴァイ兵長はそんなこと信じていないんだろう。
そんなものはないと言うんだろう。
それなら、きっとそうなのだろう。
だから、私が決めようと思う。
私がこの世に生を受けた日からずっと探していた人は、今、私を抱きしめてくれている人。
何度生まれ変わっても、忘れられていても、忘れていても、何度でも恋をする人。愛する人。
たとえ、神様が、もっと素敵な人がいるよと新しい出逢いをくれても。
たとえ、悪魔が、どんな酷い手段を使って引き離そうとしても。
私の運命は、私が何度でも書き変える。
私とリヴァイ兵長のハッピーエンドに、何度だって、何度だってー。
「ドキドキします。熱が、上がったかもしれないです。」
「ずっと上げとけ。」
からかうように言って、リヴァイ兵長が私を強く抱きしめる。
あぁ、幸せだ。
ちゃんとお礼を言わなくちゃー。
私を救ってくれたのは、ルルとヒルラ。
そして、きっと、リヴァイ兵長のことが大切で大切で仕方ない、あなた達なんでしょう?
最後まで、自分は悪くないと訴え続けるジーニーの代わりに、エイクが全て白状したのだそうだ。
被験体殺しについてだけは、どうしても認めてはくれなかったようだが、憲兵はその事件についても彼女達が関わっているとして立件するつもりらしい。
衰弱しきった身体で雨に打たれた私は、高熱を出して2日間寝込んでしまったけれど、大きな怪我もなく命に別状はなかった。
あの凍えるような夜の中で、よく凍死しなかったと医療兵に笑われたくらいだ。
でもー。
(あの女の子…、誰だったんだろう。)
もしかしてー。
ベッドに横になる私の隣に座り、報告書の確認をしているリヴァイ兵長の横顔を見つめる。
もう二度と会えない、と一度は諦めた。
もう二度と会えないのだろうか、と絶望しそうになった。
でも、私は今、ここにいる。
愛おしい人の横顔を見つめることが出来ている。
奇跡だと、何度もハンジさん達に言われた。そして、それは、私が一番分かっている。
あのとき、教会で身を隠せたのも、それこそ凍死しなかったのも、奇跡だ。
テュランと別れてからすぐ、最後の力を振り絞ってなんとか巨人を1体倒した。
それが、本当に最後の力だった。
あの後、もう1体でも、私の前に巨人が現れれば、戦うことも出来ず死んでいたはずだ。
≪こっちだっ!≫
膝をつきそうな私に聞こえてきた、知らない男の人の声。
それが誰なのか、何なのかも分からないまま、私は導かれるようにその声を追いかけた。
≪もうちょっとだっ!頑張れっ!≫
倒れそうになる私の手を引いたあの女の子は、誰だったのだろう。
生きたいと叫ぶ心についていけない身体が、何度も何度も悲鳴を上げて、何度も何度も何度も諦めそうになった。
その度に、彼女は私の手を強く握った。
2人の声は、私に希望を、生きる気力を、捨てさせなかった。
≪俺達を信じろ!≫
≪アニキが来るまで一緒にいてやるからな!≫
私を迎えに来てくれた優しいテュランの背中に乗る力も残ってなかったくせに、何処からか足元に落ちてきた停留所の番号札を鞍に括りつけ、どうにかして生きるために必死にもがいた。
白い霧と雨の中、震える脚で私は走り続けた。
独りでー。
いや、きっと、私は、1人じゃなかったー。
だから、あの声に導かれて走ったから、教会に辿り着くまで、一度だって巨人に出くわすことはなかったのだと信じている。
あの女の子が言っていたアニキとは、誰のことだったのだろうー。
「アニキ…。」
不意に、ポツリと口から零れた。
その途端、隣で報告書を見ていたはずのリヴァイ兵長が、驚きを隠せない表情で私を見た。
「今、何と言った。」
「え?」
「…いや、何でもねぇ。熱は?」
「下がりました。」
私の返事も無視して、リヴァイ兵長は私の額に手を乗せて熱を確認し始める。
そして、すぐに眉間に皴を寄せた。
熱は下がってないらしい。
「まだ寝てろ。」
「…一緒に。」
リヴァイ兵長の腕に触れて、お願いをする。
だって、1人でベッドの中で眠るのは寂しいし、つまらないし、それにー。
もっともっとリヴァイ兵長を感じたい。
一緒に生きていると、生きて帰ってこれたのだと、感じたいー。
「仕方ねぇな。」
リヴァイ兵長はため息交じりに言ったけれど、その声色はとても優しい。
報告書をベッド横の棚に置いて、毛布の中に潜り込むとすぐに私を抱きしめた。
「ねぇ、リヴァイ兵長。」
「ん?」
「いつか私が死んで、向こうの世界に行ったら、
会ってお礼を言いたい人が、いるんです。」
「…そうか。俺もだ。」
「会えますかね?」
「会えるさ。」
「そうですね、会えますよね、きっと。」
リヴァイ兵長の肩に顔を埋める。
ベッドの温もりも、紅茶の甘くて苦い香りも、優しい腕の中も、私の帰りたかった場所だ。
温かくて、心まで温かくなってー。
あぁ、そういえばー。
「あの教会で、ルルがずーっと私のこと抱きしめてくれてたんです。
ヒルラもいて、ずっとリヴァイ兵長のことカッコいいねって言ってて。
だから、全然寒くなかったし、寂しくなくて…て、そんなの信じられないですよね。」
夢を見ていたのかなー。
自分でも、そう思うくらいなのだ。
でも、確かにあのとき、ルルとヒルラがー。
「信じる。」
「信じて、くれるんですか?」
「お前の言葉なら、俺は無条件で信じるから安心しろ。」
「よかった…。私もです。
リヴァイ兵長の言葉なら、それは、私にとってどんな確かな真実よりも
真実だから。」
この世に生を受けた日から、神様に決められた運命の人がいる。
恋愛小説を読むと、そんなことがよく書いてある。
でも、リヴァイ兵長はそんなこと信じていないんだろう。
そんなものはないと言うんだろう。
それなら、きっとそうなのだろう。
だから、私が決めようと思う。
私がこの世に生を受けた日からずっと探していた人は、今、私を抱きしめてくれている人。
何度生まれ変わっても、忘れられていても、忘れていても、何度でも恋をする人。愛する人。
たとえ、神様が、もっと素敵な人がいるよと新しい出逢いをくれても。
たとえ、悪魔が、どんな酷い手段を使って引き離そうとしても。
私の運命は、私が何度でも書き変える。
私とリヴァイ兵長のハッピーエンドに、何度だって、何度だってー。
「ドキドキします。熱が、上がったかもしれないです。」
「ずっと上げとけ。」
からかうように言って、リヴァイ兵長が私を強く抱きしめる。
あぁ、幸せだ。
ちゃんとお礼を言わなくちゃー。
私を救ってくれたのは、ルルとヒルラ。
そして、きっと、リヴァイ兵長のことが大切で大切で仕方ない、あなた達なんでしょう?