「ぅあァァ－－－－－－－－－ァァアアッ！！」

絶望に満ちた悲鳴のような叫びが聞こえて、リヴァイは目を覚ました。
すぐに、聞き覚えのあるようなソレが、自分の喉から発せられたものだと自覚する。
変な汗が噴き出していて、濡れたシャツが身体にはりついて気持ち悪い。
どうやら、ソファで資料の確認をしているうちに、眠ってしまっていたようだ。
誰かみたいに居眠りするようなタイプではないのにー。
なまえが壁外任務に出てから、ずっとよく眠れていなかったせいか。
今日、漸く帰ってくるから、気が抜けていたのか。

(夢か…。)

大きく息を吐き、震える手で頭を抱える。
悪い夢だ。
なまえが死ぬ夢だなんてー。
悪い、夢だ。
ふと、窓を叩く雨の音に気づいた。
窓辺に立ち、外の様子を見て、悪い夢を見た理由を理解した気がした。
あの日も、白い霧が濃くて、雨が降っていた。
目の前で見たイザベルとファーランの最期が、記憶から消えない。
正直、消すつもりもない。
アレが、悪い夢ではないと、判断を誤るなと自分を戒めるためにもー。
でも、なまえが死ぬなんて、悪い夢でも御免だ。
時計を確認すると、壁外任務の調査兵達が帰ってくる予定の時間までまだもう少し余裕があった。
汗でビッショリの身体でなまえを抱きしめるのは、申し訳ない。

(シャワーでも浴びるか。)

少し熱めのお湯にして、目を覚まそう。
悪い夢から、起き上がろうー。