◇第百七話◇霧と雨が阻む帰り道
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お腹に衝撃を受けた私は、苦しみもがきながら目を覚ました。
顔を上げれば、テュランの怒った顔があった。
どうやら私は、仲間だと思っていたジーニー達に殺されかけた上、愛馬に振り落とされ、そして、その愛馬に腹を蹴られたらしい。
とんだ踏んだり蹴ったりだ。
雨に叩きつけられてびしょ濡れの身体を小さく震わせながらも、ゆっくりと起き上がる。
落馬した時に頭を打って気を失っていたようではあるが、幸い、どこも怪我はしていなさそうだ。
「助けてくれてありがとう。」
テュランが前脚を上げて、なんとか抵抗してくれなければ、ジーニーの振り上げた超硬質スチールは確実に私を殺していた。
あんな明らかな殺意を前にしたのは初めてで怖かった。
今思い出しても恐怖で身体が震える。
テュランがいなければー。
自慢気に鼻を鳴らしたテュランは、前脚からは血を流している。
あのとき、私の代わりに切られてしまったからー。
「脚、大丈夫?」
テュランの前脚の傷を確認する。
超硬質スチールに切られた割には、肉をえぐられてはいないようだ。
切り傷も深くはない。
さすが、性格には問題ありだが、身体能力は群を抜いて高いと先輩兵士達に言われているだけはある。
「怪我してるところ悪いけど、私は絶対に壁内に帰らないといけないの。」
テュランの首のあたりを撫でてそう言えば、もちろんだとばかりに鳴いて答えてくれた。
鐙に足をかけて、テュランの背中に乗る。
どれくらい意識を失っていたか分からない。
白い霧は濃くなり、雨は本降りになっている。
でも、テュランは短気だから、いつまでも起きない私を起こすために腹を蹴るという乱暴な決断に至るまでに、そこまで時間をかけていないはずだ。
大丈夫、まだ間に合う。
脚が痛いはずのテュランが、雨に濡れた地面を力強く蹴った。
早く本隊と合流しなければー。
私は手綱を持つ手に力をこめ、テュランの横腹を蹴った。
(帰ろう、一緒に。仲間の待つ場所に…!)
リヴァイ兵長の腕の中に、早くー。
顔を上げれば、テュランの怒った顔があった。
どうやら私は、仲間だと思っていたジーニー達に殺されかけた上、愛馬に振り落とされ、そして、その愛馬に腹を蹴られたらしい。
とんだ踏んだり蹴ったりだ。
雨に叩きつけられてびしょ濡れの身体を小さく震わせながらも、ゆっくりと起き上がる。
落馬した時に頭を打って気を失っていたようではあるが、幸い、どこも怪我はしていなさそうだ。
「助けてくれてありがとう。」
テュランが前脚を上げて、なんとか抵抗してくれなければ、ジーニーの振り上げた超硬質スチールは確実に私を殺していた。
あんな明らかな殺意を前にしたのは初めてで怖かった。
今思い出しても恐怖で身体が震える。
テュランがいなければー。
自慢気に鼻を鳴らしたテュランは、前脚からは血を流している。
あのとき、私の代わりに切られてしまったからー。
「脚、大丈夫?」
テュランの前脚の傷を確認する。
超硬質スチールに切られた割には、肉をえぐられてはいないようだ。
切り傷も深くはない。
さすが、性格には問題ありだが、身体能力は群を抜いて高いと先輩兵士達に言われているだけはある。
「怪我してるところ悪いけど、私は絶対に壁内に帰らないといけないの。」
テュランの首のあたりを撫でてそう言えば、もちろんだとばかりに鳴いて答えてくれた。
鐙に足をかけて、テュランの背中に乗る。
どれくらい意識を失っていたか分からない。
白い霧は濃くなり、雨は本降りになっている。
でも、テュランは短気だから、いつまでも起きない私を起こすために腹を蹴るという乱暴な決断に至るまでに、そこまで時間をかけていないはずだ。
大丈夫、まだ間に合う。
脚が痛いはずのテュランが、雨に濡れた地面を力強く蹴った。
早く本隊と合流しなければー。
私は手綱を持つ手に力をこめ、テュランの横腹を蹴った。
(帰ろう、一緒に。仲間の待つ場所に…!)
リヴァイ兵長の腕の中に、早くー。