◇第百五話◇悪い予感
Name change
ご利用の端末、あるいはブラウザ設定では夢小説機能をご利用になることができません。
古いスマートフォン端末や、一部ブラウザのプライベートブラウジング機能をご利用の際は、機能に制限が掛かることがございます。
幹部フロアのつきあたりにある部屋は、宿舎の中で一番広い部屋であるにも関わらず、今まで誰も使うことはなかった。
ワンルームの部屋と幹部達が使っている執務室兼自室が中扉で繋がっている構造で、廊下側にはそれぞれ扉がつき独立した部屋のようになっているので、使いづらかったのだ。
でも、ここで2人が一緒に生活するということならきっと良いと思うのだ。
プライベート空間も守られつつ、会いたいときにすぐに会いに行けるのだからー。
「なまえ、喜んでくれるかな~。」
ハンジ班の男性陣が、重たいベッドを運んでいるのを眺めながら、ハンジは、なまえが喜んでいる姿を想像してニヤける。
愛情表現の苦手なリヴァイになまえが不安になっているという話は、ペトラからチラりと聞いていた。
リヴァイもまた、忙しい中でなかなか会えないことに対して不機嫌になっている節もあった。
それでも、最近は夜に会っているようではあったが、同じ部屋ならそもそもそんな面倒なことをしなくていいから楽なはずだ。
それに、なまえが危険な壁外任務に参加させられ、リヴァイの機嫌は今、最大級に悪い。
少しでも機嫌を治してもらいたいのと、調査兵団からリヴァイという大切な兵士を守ってくれたなまえにお礼をしたいと考えたとき、モブリットがこの部屋を2人にプレゼントしようと提案してくれたのだ。
さすが、4番隊自慢の副隊長だ。
「家具の配置は、大体こんな感じでいいですか?」
モブリットが、額に浮かぶ汗を肩にかけた拭く。
なまえの両親がストヘス区に引っ越すときも同じように頑張っていたなー。
そんなことを思いながら、ハンジは問題ないと答える。
とりあえず、なまえの部屋になる予定のワンルーム部屋の家具は置き終わった。
この部屋に関して言えば、後はなまえの部屋から私物を運んでくるだけだ。
それはさすがに男性陣には任せられないので、ニファやマレーネ達に頼むことにしよう。
問題なのは、隣の執務室兼自室だ。
「なめた掃除をしてんじゃねぇ。」
扉の向こうから、リヴァイの不機嫌極まりない声が聞こえてくる。
その後ろからエレンの焦った返事が追いかける。
「あっちはまだ掃除してんの?」
「はい…。なかなか、家具の移動まで進まないみたいで…。」
「今日の夜、リヴァイはどこで寝る気なんだ…。」
窓の向こうでは、空が赤く色づき始めている。
このペースじゃ、部屋の移動は今日中に終われない。
元々のリヴァイの部屋にあった家具は、既にエルド達が廊下まで運び出している。
このまま掃除だけで1日が終わってしまったら、リヴァイは廊下で寝る気だろうか。
「でも、リヴァイ兵長はなまえが帰ってくるまでは
部屋を移動したくないと言うんだと思ってました。」
疲れたのかソファに腰をおろし、モブリットが隣の部屋と繋がる扉へ目をやる。
「私もだよ。信じてんだね。絶対になまえは帰ってくるって。」
本当はもしかしたら、願掛けみたいなものかもしれないーそうも思っている。
でも、リヴァイが神様にお願いだなんて似合わないし、しそうもない。
きっと、本当に、信じているのだろう。
絶対に生きて帰ってくるーと言ってくれたなまえのことを、必死に信じて、待っているのだ。
リヴァイにとっての初めての壁外調査。
そこで失った生意気な新兵の顔を、ハンジは今も覚えている。
世界の不条理と残酷さを思い知った、リヴァイの顔もー。
ようやく、リヴァイの世界に美しい色が加わったのだ。
もう誰にも、奪われてはいけない。
それこそ、絶対にー。
「でも、不思議ですよね。
俺もなまえは絶対に帰ってくると信じてるんです。
絶対なんて、この世界にはないはずなのにー。」
モブリットが見つめる扉の向こうからは、なかなか掃除を終わらせてもらえないリヴァイ班の悲鳴が聞こえ続けていた。
ワンルームの部屋と幹部達が使っている執務室兼自室が中扉で繋がっている構造で、廊下側にはそれぞれ扉がつき独立した部屋のようになっているので、使いづらかったのだ。
でも、ここで2人が一緒に生活するということならきっと良いと思うのだ。
プライベート空間も守られつつ、会いたいときにすぐに会いに行けるのだからー。
「なまえ、喜んでくれるかな~。」
ハンジ班の男性陣が、重たいベッドを運んでいるのを眺めながら、ハンジは、なまえが喜んでいる姿を想像してニヤける。
愛情表現の苦手なリヴァイになまえが不安になっているという話は、ペトラからチラりと聞いていた。
リヴァイもまた、忙しい中でなかなか会えないことに対して不機嫌になっている節もあった。
それでも、最近は夜に会っているようではあったが、同じ部屋ならそもそもそんな面倒なことをしなくていいから楽なはずだ。
それに、なまえが危険な壁外任務に参加させられ、リヴァイの機嫌は今、最大級に悪い。
少しでも機嫌を治してもらいたいのと、調査兵団からリヴァイという大切な兵士を守ってくれたなまえにお礼をしたいと考えたとき、モブリットがこの部屋を2人にプレゼントしようと提案してくれたのだ。
さすが、4番隊自慢の副隊長だ。
「家具の配置は、大体こんな感じでいいですか?」
モブリットが、額に浮かぶ汗を肩にかけた拭く。
なまえの両親がストヘス区に引っ越すときも同じように頑張っていたなー。
そんなことを思いながら、ハンジは問題ないと答える。
とりあえず、なまえの部屋になる予定のワンルーム部屋の家具は置き終わった。
この部屋に関して言えば、後はなまえの部屋から私物を運んでくるだけだ。
それはさすがに男性陣には任せられないので、ニファやマレーネ達に頼むことにしよう。
問題なのは、隣の執務室兼自室だ。
「なめた掃除をしてんじゃねぇ。」
扉の向こうから、リヴァイの不機嫌極まりない声が聞こえてくる。
その後ろからエレンの焦った返事が追いかける。
「あっちはまだ掃除してんの?」
「はい…。なかなか、家具の移動まで進まないみたいで…。」
「今日の夜、リヴァイはどこで寝る気なんだ…。」
窓の向こうでは、空が赤く色づき始めている。
このペースじゃ、部屋の移動は今日中に終われない。
元々のリヴァイの部屋にあった家具は、既にエルド達が廊下まで運び出している。
このまま掃除だけで1日が終わってしまったら、リヴァイは廊下で寝る気だろうか。
「でも、リヴァイ兵長はなまえが帰ってくるまでは
部屋を移動したくないと言うんだと思ってました。」
疲れたのかソファに腰をおろし、モブリットが隣の部屋と繋がる扉へ目をやる。
「私もだよ。信じてんだね。絶対になまえは帰ってくるって。」
本当はもしかしたら、願掛けみたいなものかもしれないーそうも思っている。
でも、リヴァイが神様にお願いだなんて似合わないし、しそうもない。
きっと、本当に、信じているのだろう。
絶対に生きて帰ってくるーと言ってくれたなまえのことを、必死に信じて、待っているのだ。
リヴァイにとっての初めての壁外調査。
そこで失った生意気な新兵の顔を、ハンジは今も覚えている。
世界の不条理と残酷さを思い知った、リヴァイの顔もー。
ようやく、リヴァイの世界に美しい色が加わったのだ。
もう誰にも、奪われてはいけない。
それこそ、絶対にー。
「でも、不思議ですよね。
俺もなまえは絶対に帰ってくると信じてるんです。
絶対なんて、この世界にはないはずなのにー。」
モブリットが見つめる扉の向こうからは、なかなか掃除を終わらせてもらえないリヴァイ班の悲鳴が聞こえ続けていた。