◇第百六話◇悪魔の駒
Name change
ご利用の端末、あるいはブラウザ設定では夢小説機能をご利用になることができません。
古いスマートフォン端末や、一部ブラウザのプライベートブラウジング機能をご利用の際は、機能に制限が掛かることがございます。
巨大樹の森での調査班は、ミケ率いるAチームとナナバ率いるBチームに分かれていて、なまえが所属するのはBチームだった。
Aチームは巨大樹の森の中央で調査を行い、Bチームは巨大樹の周囲の巨人を討伐し、中への侵入を防ぐのが任務だ。
だが、前回の壁外調査の時に巨大樹の森の中に設置していた拠点というのが破壊されていたらしくAチームは昨日までその再建に追われ、最終日の今日漸く調査が開始されることになった。
「眠くなりそうだな。」
静かに過ぎていく時間の中で、精鋭兵の1人が、木の枝の上であぐらをかき、眼下を見下ろす。
Bチームのメンバーは、巨大樹の入口に班毎に配置され、大きな木の枝の上に立ち、通常種を集めていた。
その中に奇行種がいて、巨大樹の森に入っていこうとすれば討伐しなければならないが、そこまで危険な任務ではない。
エルヴィンが、危険だ危険だと言っていたのは、巨大樹の森で巨人の大群が発生した経緯があるからで、今回それが起こらなければ、比較的穏やかな任務に違いなかった。
「ねぇ、なまえ、エイクがいないの。
一緒に探してくれない?」
ジーニーが声をかけると、まるで何かにとりつかれたように眼下の通常種を見下ろしていたなまえが顔を上げた。
今回の作戦に、本当はジーニーやその取りまきが参加する予定はなかった。
理由は簡単、精鋭兵ではないからだ。
それなのに、当然のように精鋭兵の中に入っているなまえが、本当に気に入らない。
しかも、どうしても壁外任務に出たい、経験値を増やしたいと所属する分隊の隊長であるミケに直談判した結果、なまえの監視付きという条件付きで参加を認められてしまった。
プライドはズタズタだ。
怪我が治っていないリヴァイをカラネス区にまで連れてきて、恋人になれたことを見せびらかすところも、本当に嫌な女だ。
でも、友人がいないとなれば、今の自分の班長はなまえなのだから彼女に頼るしかない。
仕方が、ないのだ。
「いつからいないの?」
単純だからすぐに動き出すと思っていたなまえだったが、自分が立っている木の上から移動する様子はなかった。
「少し前からよ。早くしないと、何かあったかもしれないっ。」
焦ったように言えば、なまえは漸く眼下の通常種を気にしつつも、レバーに手をかけた。
「分かった。じゃあ、私だけが行くからジーニーはここにいて。」
「なまえだけ?」
「何人も動いたら、ここの通常種が追いかけてくるかもしれないから。」
「あぁ、それもそうね。」
なまえがすぐに動かなかった理由に納得して、ムカついた。
実力があるにしても、経験値の少ないなまえを自分達の監視役につけたミケの判断が信じられなかったが、こういう状況把握能力があるということを彼は知っていたのだろう。
すごく、気に入らない。
「それじゃ、よろしくね。」
「うん、ジーニー達も気をつけてね、何かあったら信煙弾で教えて。」
「言われなくても分かってる。」
ムスッとしたジーニーを気にする様子もなく、なまえは立体起動装置を上手に操ってエイクを探しに向かった。
これが、罠であるとも知らずにー。
Aチームは巨大樹の森の中央で調査を行い、Bチームは巨大樹の周囲の巨人を討伐し、中への侵入を防ぐのが任務だ。
だが、前回の壁外調査の時に巨大樹の森の中に設置していた拠点というのが破壊されていたらしくAチームは昨日までその再建に追われ、最終日の今日漸く調査が開始されることになった。
「眠くなりそうだな。」
静かに過ぎていく時間の中で、精鋭兵の1人が、木の枝の上であぐらをかき、眼下を見下ろす。
Bチームのメンバーは、巨大樹の入口に班毎に配置され、大きな木の枝の上に立ち、通常種を集めていた。
その中に奇行種がいて、巨大樹の森に入っていこうとすれば討伐しなければならないが、そこまで危険な任務ではない。
エルヴィンが、危険だ危険だと言っていたのは、巨大樹の森で巨人の大群が発生した経緯があるからで、今回それが起こらなければ、比較的穏やかな任務に違いなかった。
「ねぇ、なまえ、エイクがいないの。
一緒に探してくれない?」
ジーニーが声をかけると、まるで何かにとりつかれたように眼下の通常種を見下ろしていたなまえが顔を上げた。
今回の作戦に、本当はジーニーやその取りまきが参加する予定はなかった。
理由は簡単、精鋭兵ではないからだ。
それなのに、当然のように精鋭兵の中に入っているなまえが、本当に気に入らない。
しかも、どうしても壁外任務に出たい、経験値を増やしたいと所属する分隊の隊長であるミケに直談判した結果、なまえの監視付きという条件付きで参加を認められてしまった。
プライドはズタズタだ。
怪我が治っていないリヴァイをカラネス区にまで連れてきて、恋人になれたことを見せびらかすところも、本当に嫌な女だ。
でも、友人がいないとなれば、今の自分の班長はなまえなのだから彼女に頼るしかない。
仕方が、ないのだ。
「いつからいないの?」
単純だからすぐに動き出すと思っていたなまえだったが、自分が立っている木の上から移動する様子はなかった。
「少し前からよ。早くしないと、何かあったかもしれないっ。」
焦ったように言えば、なまえは漸く眼下の通常種を気にしつつも、レバーに手をかけた。
「分かった。じゃあ、私だけが行くからジーニーはここにいて。」
「なまえだけ?」
「何人も動いたら、ここの通常種が追いかけてくるかもしれないから。」
「あぁ、それもそうね。」
なまえがすぐに動かなかった理由に納得して、ムカついた。
実力があるにしても、経験値の少ないなまえを自分達の監視役につけたミケの判断が信じられなかったが、こういう状況把握能力があるということを彼は知っていたのだろう。
すごく、気に入らない。
「それじゃ、よろしくね。」
「うん、ジーニー達も気をつけてね、何かあったら信煙弾で教えて。」
「言われなくても分かってる。」
ムスッとしたジーニーを気にする様子もなく、なまえは立体起動装置を上手に操ってエイクを探しに向かった。
これが、罠であるとも知らずにー。