◇第百四話◇愛してるなら信じて
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カラネス区の外門前に、愛馬に乗った調査兵団の兵士達が整列する。
任務を任された調査兵だけのため、壁外調査のときのような圧巻さはないが、それでも、英雄を見るような子供たちの瞳が輝かないわけではなかった。
「調査兵団だっ!」
「すげ~なぁ。今から、巨人やっつけてくるんだぜっ!」
「カッコいいなぁ。」
大人たちの間をかいくぐった男の子たちが、少し離れた場所から調査兵団の群れに尊敬の眼差しを送る。
カラネス区外門周辺の巨人はあらかた討伐し終えたと援護班の声が響いた。
さぁ、そろそろ出発だー。
「じゃあ、行ってきますね。」
リヴァイ兵長の腕にそっと触れて、私はニコリと微笑む。
見送りに行くと言ってきかなかったリヴァイ兵長に、最終的にエルヴィン団長が折れた。
本当は骨が完全にくっついていない状態で乗馬はあまり身体によくないらしい。
「おい、テュラン。お前も男だろ。
ちゃんとコイツを連れて帰って来いよ。
いつもみてぇな無謀なことしやがったら、削いでやるからな。」
リヴァイ兵長は、テュランにまで命令を出し始めた。
だが、命令された本人は、不満気に鼻を横に振って答える。
無謀なことをするつもりらしい。
それは困った。
「帰ってきたら、たらふく林檎を食わしてやる。」
テュランが嬉しそうに鳴く。
単純な性格で羨ましいくらいだ。
今度は、リヴァイ兵長は、私の方を見て命令を出した。
「兵長命令だ。生きて帰ってこい。」
「兵長命令ですか?それじゃ、絶対、は無理です。
努力はしますけど。」
「…恋人からの命令だ。生きて帰ってこい。」
「…どうしよう、恥ずかしい。」
「お前が言わせたんだろうが。」
リヴァイ兵長が眉を顰める。
本当は行かせたくないー。
終始不安そうなリヴァイ兵長の表情は、ずっとそう言っていた。
だから、早く任務を終わらせて、早く帰ってきて、早く安心させてあげたい。
「イチャイチャは終わったか?」
既に乗馬を済ませているナナバさんが、呆れた顔で私たちを見下ろす。
「まだだ。」
リヴァイ兵長が私の腕を掴む。
最後の彼の抵抗ー。
私が触れれば、弱弱しく離れていった。
「私がいなくても、元気になれるおまじないをあげます。」
「ねぇ、そんなもん。」
リヴァイ兵長の唇に、ほんの一瞬、触れるだけの短いキスをした。
初めて私からしたキスに、リヴァイ兵長は驚いたみたいだった。
たぶん、ナナバさんとか、ゲルガーさんとか、近くにいた調査兵達も見えていたと思う。
でも、これは、リヴァイ兵長のためと、絶対に生きて帰るための私のおまじないだから、もしかしたら、子供達には刺激が強かったかもしれないけれど許してほしい。
リヴァイ兵長が、長い息を吐く。
そしてー。
「なまえ、俺は、お前を信じる。」
ホッと息を吐いて、私はようやくテュランの背に乗った。
見送りの群れの最前列へ移動したリヴァイ兵長に、小さく手を振りながら私は唇だけを動かして伝える。
『だいすき。』
『バカか、まえをみろ。』
呆れたようなリヴァイ兵長の表情と口の動きに、私は笑顔を返した後、開いていく外門を見据えた。
さぁ、私は初めて、リヴァイ兵長もハンジさんもいない壁外に出る。
そして、必ず生きて帰ってくるー。
『あいしてる。』
テュランと共に壁外に飛び出した私は、リヴァイ兵長の唇が何を語ったのかは分からない。
だから、帰ってきたら聞かせてほしい。
そして、いっぱい褒めて、愛してねー。
任務を任された調査兵だけのため、壁外調査のときのような圧巻さはないが、それでも、英雄を見るような子供たちの瞳が輝かないわけではなかった。
「調査兵団だっ!」
「すげ~なぁ。今から、巨人やっつけてくるんだぜっ!」
「カッコいいなぁ。」
大人たちの間をかいくぐった男の子たちが、少し離れた場所から調査兵団の群れに尊敬の眼差しを送る。
カラネス区外門周辺の巨人はあらかた討伐し終えたと援護班の声が響いた。
さぁ、そろそろ出発だー。
「じゃあ、行ってきますね。」
リヴァイ兵長の腕にそっと触れて、私はニコリと微笑む。
見送りに行くと言ってきかなかったリヴァイ兵長に、最終的にエルヴィン団長が折れた。
本当は骨が完全にくっついていない状態で乗馬はあまり身体によくないらしい。
「おい、テュラン。お前も男だろ。
ちゃんとコイツを連れて帰って来いよ。
いつもみてぇな無謀なことしやがったら、削いでやるからな。」
リヴァイ兵長は、テュランにまで命令を出し始めた。
だが、命令された本人は、不満気に鼻を横に振って答える。
無謀なことをするつもりらしい。
それは困った。
「帰ってきたら、たらふく林檎を食わしてやる。」
テュランが嬉しそうに鳴く。
単純な性格で羨ましいくらいだ。
今度は、リヴァイ兵長は、私の方を見て命令を出した。
「兵長命令だ。生きて帰ってこい。」
「兵長命令ですか?それじゃ、絶対、は無理です。
努力はしますけど。」
「…恋人からの命令だ。生きて帰ってこい。」
「…どうしよう、恥ずかしい。」
「お前が言わせたんだろうが。」
リヴァイ兵長が眉を顰める。
本当は行かせたくないー。
終始不安そうなリヴァイ兵長の表情は、ずっとそう言っていた。
だから、早く任務を終わらせて、早く帰ってきて、早く安心させてあげたい。
「イチャイチャは終わったか?」
既に乗馬を済ませているナナバさんが、呆れた顔で私たちを見下ろす。
「まだだ。」
リヴァイ兵長が私の腕を掴む。
最後の彼の抵抗ー。
私が触れれば、弱弱しく離れていった。
「私がいなくても、元気になれるおまじないをあげます。」
「ねぇ、そんなもん。」
リヴァイ兵長の唇に、ほんの一瞬、触れるだけの短いキスをした。
初めて私からしたキスに、リヴァイ兵長は驚いたみたいだった。
たぶん、ナナバさんとか、ゲルガーさんとか、近くにいた調査兵達も見えていたと思う。
でも、これは、リヴァイ兵長のためと、絶対に生きて帰るための私のおまじないだから、もしかしたら、子供達には刺激が強かったかもしれないけれど許してほしい。
リヴァイ兵長が、長い息を吐く。
そしてー。
「なまえ、俺は、お前を信じる。」
ホッと息を吐いて、私はようやくテュランの背に乗った。
見送りの群れの最前列へ移動したリヴァイ兵長に、小さく手を振りながら私は唇だけを動かして伝える。
『だいすき。』
『バカか、まえをみろ。』
呆れたようなリヴァイ兵長の表情と口の動きに、私は笑顔を返した後、開いていく外門を見据えた。
さぁ、私は初めて、リヴァイ兵長もハンジさんもいない壁外に出る。
そして、必ず生きて帰ってくるー。
『あいしてる。』
テュランと共に壁外に飛び出した私は、リヴァイ兵長の唇が何を語ったのかは分からない。
だから、帰ってきたら聞かせてほしい。
そして、いっぱい褒めて、愛してねー。