◇第百三話◇夜の逢瀬のオマケ
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会議室から逃げてきたリヴァイ兵長は、初めから私の部屋に泊まるつもりではあったかもしれないが、着替えを持ってきていたわけではない。
まだもう少しそばにはいたかったけれど、リヴァイ兵長を見送るために部屋の扉を開けた。
まだ空が白い時間だから、シンと冷たい廊下が出迎えると思っていた私は、隣の部屋の扉の前で唇を重ねる男女を見てしまって、硬直した。
隣の部屋は、ペトラの部屋で、目を閉じる可愛らしい女性は、ペトラだった。
そして、唇を重ねるのはどう見てもー。
名残惜しそうに唇を離した2人が、私の視線に気づいた。
目が合った。
驚いた顔で私を見る男には、見覚えがあった。ありすぎた。
あぁ、やっぱり、どう見ても男女の夜を一緒に過ごして、こんな朝早い時間に誰にも気づかれないように自分の部屋に戻ろうとしているようにしか見えない男はー。
目を見開いて私を見る男は、どう見てもー。
「おい、何してんだ。」
リヴァイ兵長の声にハッとして、私は勢いよく扉を閉じた。
そして、身体を回転させて、まるで、扉の向こうにとても怖いお化けでも見つけたみたいに、扉を背中でおさえる。
(え?今の、何…?え?)
どうしよう、パニックだ。
今、自分が見た光景を頭が受け入れようとしてくれない。
理解しようとしてくれない。
それでも必死に頭を回転させようとするから、よけい訳が分からなくなる。
「なんだ、奇行種でもいたか。」
リヴァイ兵長が眉を顰めた。
朝早くから自分を捕まえるために待ち構えているハンジさんの姿を想像したようだ。
でも、違う。
奇行種はいなかった。
「ラブラブな…、恋人がいました…。」
「俺たちのことか。」
澄ました顔で、とんでもないくらいに嬉しいことを言ってくれる人だ、リヴァイ兵長は。
これが、今じゃなかったら、頬を染めてとても喜べたのに、私は壊れた玩具みたいに、首を横に振り続けることだけで精一杯だった。
「オルオが…。」
「アイツがどうした。」
「オルオが…、ペトラに、チューしてた…。」
自分が見たものが信じられずにパニックになっている私とは違い、リヴァイ兵長は片眉を上げただけだった。
私の言っている意味を、すぐに理解し、納得したようだ。
そして、私が背中で押さえる扉を躊躇いもなく開けた。
「リヴァイ兵長ッ!?」
私の部屋から出てきたリヴァイ兵長を見て、真っ青な顔をしたのはオルオだった。
どう見ても、どう見ても、オルオだ。
真っ青な顔のオルオのシャツの腰のあたりを握りしめて、困ったような表情で、でもとても可愛らしく頬を染めているペトラはどう見ても、恋をしている。
どう見ても、どう見ても、オルオに恋をしている。
「いつからだ。」
「え…、えっと…っ。」
オルオはオロオロとしながら、自分の腰元を握りしめて恥ずかしそうに背中に隠れるペトラとリヴァイ兵長を交互に見る。
ちょこっとオルオの背中から、ペトラが顔を出す。
なんだ、それ、可愛すぎる。
染まる頬も含めて、小動物みたいで、可愛すぎる。
「一週間くらい、前からです…。」
オロオロしているオルオの代わりに、頬を染めて、ペトラが答える。
「えっ!?そうだったのっ!?」
「ごめん、なまえ。なんか照れくさくて、なかなか報告できなくて。」
ペトラは申し訳なさそうに言うと、また恥ずかしそうにオルオの後ろに隠れた。
どうしよう、すごく可愛い。
ギューッてしたい。
「あぁ、そうか。つい最近だな。
ところで、オルオよ。」
「は、はい…っ!!」
「俺は、まだ骨がくっついてねぇ。」
「へっ?!あ…、はい、存じております!
リヴァイ兵長の骨が完全に繋がるまで、全力でサポートする所存です!」
「そうか。じゃあ、お前の骨も折って構わねぇな。」
「へッ!?じゃあ、の意味がわかりませぇぇぇええんっ!!」
「クソがッ!!待ちやがれっ!!裏切者がッ!!!!」
真っ青な顔で逃げるオルオを、鬼のように怖い顔をしたリヴァイ兵長が追いかけていった。
激しい運動はダメだって、言われているのにー。
私とペトラは、静かだったはずの廊下を騒がしく走り去っていく、それぞれの愛おしい人の背中を視線で追いながら、口を開く。
「リヴァイ兵長、なんで怒ってるの?」
「たぶん、オルオが羨ましいんだと思う。」
「…あ、あぁ…。骨がまだくっついてないからね。」
「これでまた、延期になりそうだよ。」
「男ってのはバカな生き物って言葉、リヴァイ兵長も含まれてたんだね。」
「悲しいね。」
「うん、悲しいね。」
バカかもしれないけれど、身体能力の高い男達の姿は、あっという間に見えなくなって、遠くにオルオの悲鳴だけが響いていた。
彼が、鬼と化したリヴァイ兵長に捕まるのも時間の問題だろう。
「オルオ、骨、折られちゃうかな。」
「その前にリヴァイ兵長のあばら骨がまた折れるんじゃないかな。」
「…バカだね。」
「うん…、バカだね。」
私とペトラのため息が重なった。
そして、顔を合わせて、笑い合う。
男たちが消えた朝の廊下を、女たちの可愛らしい笑い声が優しく包んだ。
まだもう少しそばにはいたかったけれど、リヴァイ兵長を見送るために部屋の扉を開けた。
まだ空が白い時間だから、シンと冷たい廊下が出迎えると思っていた私は、隣の部屋の扉の前で唇を重ねる男女を見てしまって、硬直した。
隣の部屋は、ペトラの部屋で、目を閉じる可愛らしい女性は、ペトラだった。
そして、唇を重ねるのはどう見てもー。
名残惜しそうに唇を離した2人が、私の視線に気づいた。
目が合った。
驚いた顔で私を見る男には、見覚えがあった。ありすぎた。
あぁ、やっぱり、どう見ても男女の夜を一緒に過ごして、こんな朝早い時間に誰にも気づかれないように自分の部屋に戻ろうとしているようにしか見えない男はー。
目を見開いて私を見る男は、どう見てもー。
「おい、何してんだ。」
リヴァイ兵長の声にハッとして、私は勢いよく扉を閉じた。
そして、身体を回転させて、まるで、扉の向こうにとても怖いお化けでも見つけたみたいに、扉を背中でおさえる。
(え?今の、何…?え?)
どうしよう、パニックだ。
今、自分が見た光景を頭が受け入れようとしてくれない。
理解しようとしてくれない。
それでも必死に頭を回転させようとするから、よけい訳が分からなくなる。
「なんだ、奇行種でもいたか。」
リヴァイ兵長が眉を顰めた。
朝早くから自分を捕まえるために待ち構えているハンジさんの姿を想像したようだ。
でも、違う。
奇行種はいなかった。
「ラブラブな…、恋人がいました…。」
「俺たちのことか。」
澄ました顔で、とんでもないくらいに嬉しいことを言ってくれる人だ、リヴァイ兵長は。
これが、今じゃなかったら、頬を染めてとても喜べたのに、私は壊れた玩具みたいに、首を横に振り続けることだけで精一杯だった。
「オルオが…。」
「アイツがどうした。」
「オルオが…、ペトラに、チューしてた…。」
自分が見たものが信じられずにパニックになっている私とは違い、リヴァイ兵長は片眉を上げただけだった。
私の言っている意味を、すぐに理解し、納得したようだ。
そして、私が背中で押さえる扉を躊躇いもなく開けた。
「リヴァイ兵長ッ!?」
私の部屋から出てきたリヴァイ兵長を見て、真っ青な顔をしたのはオルオだった。
どう見ても、どう見ても、オルオだ。
真っ青な顔のオルオのシャツの腰のあたりを握りしめて、困ったような表情で、でもとても可愛らしく頬を染めているペトラはどう見ても、恋をしている。
どう見ても、どう見ても、オルオに恋をしている。
「いつからだ。」
「え…、えっと…っ。」
オルオはオロオロとしながら、自分の腰元を握りしめて恥ずかしそうに背中に隠れるペトラとリヴァイ兵長を交互に見る。
ちょこっとオルオの背中から、ペトラが顔を出す。
なんだ、それ、可愛すぎる。
染まる頬も含めて、小動物みたいで、可愛すぎる。
「一週間くらい、前からです…。」
オロオロしているオルオの代わりに、頬を染めて、ペトラが答える。
「えっ!?そうだったのっ!?」
「ごめん、なまえ。なんか照れくさくて、なかなか報告できなくて。」
ペトラは申し訳なさそうに言うと、また恥ずかしそうにオルオの後ろに隠れた。
どうしよう、すごく可愛い。
ギューッてしたい。
「あぁ、そうか。つい最近だな。
ところで、オルオよ。」
「は、はい…っ!!」
「俺は、まだ骨がくっついてねぇ。」
「へっ?!あ…、はい、存じております!
リヴァイ兵長の骨が完全に繋がるまで、全力でサポートする所存です!」
「そうか。じゃあ、お前の骨も折って構わねぇな。」
「へッ!?じゃあ、の意味がわかりませぇぇぇええんっ!!」
「クソがッ!!待ちやがれっ!!裏切者がッ!!!!」
真っ青な顔で逃げるオルオを、鬼のように怖い顔をしたリヴァイ兵長が追いかけていった。
激しい運動はダメだって、言われているのにー。
私とペトラは、静かだったはずの廊下を騒がしく走り去っていく、それぞれの愛おしい人の背中を視線で追いながら、口を開く。
「リヴァイ兵長、なんで怒ってるの?」
「たぶん、オルオが羨ましいんだと思う。」
「…あ、あぁ…。骨がまだくっついてないからね。」
「これでまた、延期になりそうだよ。」
「男ってのはバカな生き物って言葉、リヴァイ兵長も含まれてたんだね。」
「悲しいね。」
「うん、悲しいね。」
バカかもしれないけれど、身体能力の高い男達の姿は、あっという間に見えなくなって、遠くにオルオの悲鳴だけが響いていた。
彼が、鬼と化したリヴァイ兵長に捕まるのも時間の問題だろう。
「オルオ、骨、折られちゃうかな。」
「その前にリヴァイ兵長のあばら骨がまた折れるんじゃないかな。」
「…バカだね。」
「うん…、バカだね。」
私とペトラのため息が重なった。
そして、顔を合わせて、笑い合う。
男たちが消えた朝の廊下を、女たちの可愛らしい笑い声が優しく包んだ。