◇第百二話◇夜の逢瀬を
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あの日から、リヴァイ兵長は毎晩、私の部屋を訪れるようになった。
次の壁外任務の日程を決める会議の日は、夜遅くまで終わらず、会議の後もリヴァイ兵長は忙しく、顔を見せに来ただけだったけれど、それでも会いに来てくれた。
本当に約束通り、仕事の合間を縫って、ほんの少しでも顔を見る時間を作ってくれる。
一度、忙しい日は無理しなくてもいいと言ったのだけれど、無理はしていないと眉間に皺を寄せるからそれ以上は言えなくなってしまった。
終わらない、というかやるつもりなんて最初からなかった書類を持ってきて押し付けられたこともあったけれど、大抵はただ2人で並んでソファに座って、他愛のない話をするだけだ。
そして、リヴァイ兵長は寝るためだけに自分の部屋に帰って行く。
でも、今夜はー。
「部屋に戻らなくていいんですか?」
ベッドの中で、リヴァイ兵長に腕枕をされながら、私はもう一度、訊ねる。
今日は一緒に寝るー、そう宣言して、この部屋の主である私よりも先にベッドの中に入ったリヴァイ兵長は、やましいことを考えている様子もなく、ただ本当に寝ようとしているようだった。
「そう言っただろ。」
「でもー。」
「なんだ、嫌なのか。」
「まさか、嬉しいですよ。」
リヴァイ兵長の肩に頬を寄せて、甘えるように抱き着く。
嫌だから訊いてるんじゃない。
嬉しいから、本当なのか確かめたいだけだ。
今夜は朝までずっと、リヴァイ兵長が私と一緒にいてくれるなんて、なんて贅沢なんだろう。
でもー。
「でも、なんでかなぁと思って。」
「奇行種が俺を探してる。」
リヴァイ兵長が、私を引き寄せて強く抱きしめた。
まるで、誰かから宝物を隠すみたいな仕草と、唐突に不機嫌なオーラをまとったリヴァイ兵長に、私は首を傾げた。
「ハンジさんが?どうして?」
顔を上げて、リヴァイ兵長に訊ねる。
「会議を抜けてきた。」
「えッ!?なんでッ!?」
驚きすぎて、飛び起きた。
そんな私の大きな動きに驚きもしないで、リヴァイ兵長は私の手を引いて、腕の中に戻す。
そして、痛いくらいに強く抱きしめてから答えてくれた。
「あんなクソ会議、やってられねぇ。」
何を協議した会議だったのかはわからないけれど、リヴァイ兵長にとってはクソな内容だったようだ。
でも、だからといって会議を抜けてきていいのだろうか。
いや、絶対にダメだ。
「それでも、会議には出た方がいいとー。」
「俺の意見を通すなら、残ってやってもいいと言った。
それを聞かなかったエルヴィンが悪ぃ。」
まるで小さな子供が駄々をこねているみたいだ。
でも、エルヴィン団長が言ってきかなかったリヴァイ兵長を私が説得できるわけがない。
「私の部屋にいることも、すぐバレちゃいますよ、きっと。」
「俺がいて、ナニしてるかわからねぇ部屋に勝手に入ってくるような
非常識な真似はしねぇよ。」
「…たぶん、しますよ。ハンジさんなら。」
「…ああ、するな。ハンジなら。」
この5分後、ハンジさんは本当にやってきて、ノックなしに扉を開いた。
そして、ベッドの上で駄々をこねるリヴァイ兵長の説得に失敗して、うなだれて帰って行った。
今日の会議はとりあえず延期して、明日また協議することになったようだった。
「誰が出てやるか、クソが。」
「…いいんですか、本当に?」
「寝る。」
リヴァイ兵長は眉間に皺を寄せたままで、目を閉じた。
一体、何の協議なのだろう。
まぁ、なんでもいいか。
そのおかげでー。
「おやすみなさい。」
リヴァイ兵長の額にそっと唇を落とす。
すぐに、閉じたはずの瞼が開いた。
「場所、間違ってるぞ。」
今度は、リヴァイ兵長が正解の場所に唇を落とした。
幸せな夜だ。
次の壁外任務の日程を決める会議の日は、夜遅くまで終わらず、会議の後もリヴァイ兵長は忙しく、顔を見せに来ただけだったけれど、それでも会いに来てくれた。
本当に約束通り、仕事の合間を縫って、ほんの少しでも顔を見る時間を作ってくれる。
一度、忙しい日は無理しなくてもいいと言ったのだけれど、無理はしていないと眉間に皺を寄せるからそれ以上は言えなくなってしまった。
終わらない、というかやるつもりなんて最初からなかった書類を持ってきて押し付けられたこともあったけれど、大抵はただ2人で並んでソファに座って、他愛のない話をするだけだ。
そして、リヴァイ兵長は寝るためだけに自分の部屋に帰って行く。
でも、今夜はー。
「部屋に戻らなくていいんですか?」
ベッドの中で、リヴァイ兵長に腕枕をされながら、私はもう一度、訊ねる。
今日は一緒に寝るー、そう宣言して、この部屋の主である私よりも先にベッドの中に入ったリヴァイ兵長は、やましいことを考えている様子もなく、ただ本当に寝ようとしているようだった。
「そう言っただろ。」
「でもー。」
「なんだ、嫌なのか。」
「まさか、嬉しいですよ。」
リヴァイ兵長の肩に頬を寄せて、甘えるように抱き着く。
嫌だから訊いてるんじゃない。
嬉しいから、本当なのか確かめたいだけだ。
今夜は朝までずっと、リヴァイ兵長が私と一緒にいてくれるなんて、なんて贅沢なんだろう。
でもー。
「でも、なんでかなぁと思って。」
「奇行種が俺を探してる。」
リヴァイ兵長が、私を引き寄せて強く抱きしめた。
まるで、誰かから宝物を隠すみたいな仕草と、唐突に不機嫌なオーラをまとったリヴァイ兵長に、私は首を傾げた。
「ハンジさんが?どうして?」
顔を上げて、リヴァイ兵長に訊ねる。
「会議を抜けてきた。」
「えッ!?なんでッ!?」
驚きすぎて、飛び起きた。
そんな私の大きな動きに驚きもしないで、リヴァイ兵長は私の手を引いて、腕の中に戻す。
そして、痛いくらいに強く抱きしめてから答えてくれた。
「あんなクソ会議、やってられねぇ。」
何を協議した会議だったのかはわからないけれど、リヴァイ兵長にとってはクソな内容だったようだ。
でも、だからといって会議を抜けてきていいのだろうか。
いや、絶対にダメだ。
「それでも、会議には出た方がいいとー。」
「俺の意見を通すなら、残ってやってもいいと言った。
それを聞かなかったエルヴィンが悪ぃ。」
まるで小さな子供が駄々をこねているみたいだ。
でも、エルヴィン団長が言ってきかなかったリヴァイ兵長を私が説得できるわけがない。
「私の部屋にいることも、すぐバレちゃいますよ、きっと。」
「俺がいて、ナニしてるかわからねぇ部屋に勝手に入ってくるような
非常識な真似はしねぇよ。」
「…たぶん、しますよ。ハンジさんなら。」
「…ああ、するな。ハンジなら。」
この5分後、ハンジさんは本当にやってきて、ノックなしに扉を開いた。
そして、ベッドの上で駄々をこねるリヴァイ兵長の説得に失敗して、うなだれて帰って行った。
今日の会議はとりあえず延期して、明日また協議することになったようだった。
「誰が出てやるか、クソが。」
「…いいんですか、本当に?」
「寝る。」
リヴァイ兵長は眉間に皺を寄せたままで、目を閉じた。
一体、何の協議なのだろう。
まぁ、なんでもいいか。
そのおかげでー。
「おやすみなさい。」
リヴァイ兵長の額にそっと唇を落とす。
すぐに、閉じたはずの瞼が開いた。
「場所、間違ってるぞ。」
今度は、リヴァイ兵長が正解の場所に唇を落とした。
幸せな夜だ。