◇第九十四話◇幸せな一日の、最初の日
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ジャンと別れてリヴァイ兵長の執務室兼自室に戻ると、ゲルガーさんが来ていた。
ゲルガーさんの背中越しに、ベッドの上で不機嫌に眉を顰めているリヴァイ兵長まで見つけて、よくわからないけれど嫌な予感に襲われる。
ちょうど帰るところだったのか、去り際、ゲルガーさんは、見覚えのあるニヤけた表情で親指を立てて部屋を出ていった。
「ゲルガーさん、何だったんですか?すごく楽しそうでしたけど。」
首を傾げながら、ベッドの縁に腰を降ろした。
すると、リヴァイ兵長がすかさず私を腕の中に捕まえる。
後ろから抱きしめるリヴァイ兵長の腕にそっと手を添えた。
どうやら、リヴァイ兵長は抱きしめるのが好きらしい。
好きな人に抱きしめられるのは、緊張してドキドキするけれど、とても幸せだ。
だから、私も、リヴァイ兵長に抱きしめられるのは、ずっと前から好きー。
幸せを噛みしめる私とは裏腹に、私の肩に顎を乗せたリヴァイ兵長の声は、不機嫌だった。
いや、拗ねていたのかもしれない。
「昼飯を返しに行っただけじゃなかったのか。」
「そうですよ?食事室にお昼を返して、ここに戻ってきました。」
「ジャンと居たそうじゃねぇか。」
「え?」
「ゲルガーがわざわざ教えに来た。」
「あ~…、それで、ゲルガーさん、ニヤニヤしてたんですね。」
「誤魔化すんじゃねぇ。」
「別に誤魔化してるわけじゃないですよ。」
「言え。何してた。」
不機嫌だった理由が分かって、可笑しくなる。
ゲルガーさんにからかわれていたんだろうな、と想像がつくことも、それでリヴァイ兵長が怒っていることも、可笑しくて笑ってしまう。
だって、リヴァイ兵長に抱きしめられて、そんな風に怒られることが、私はこんなにも嬉しいんだってことを、リヴァイ兵長は全然分かっていないから。
「ジャンが、リヴァイ兵長のこと、カッコいいって言ってましたよ。」
リヴァイ兵長の方を見て教えてやると、不機嫌に寄っていた眉の皴がさらに濃くなった。
「馬面に言われても嬉しくねぇ。」
不機嫌な理由は、今度はそれらしい。
やっぱり可笑しくて、私はクスクスと笑う。
「頼りになる弟と頼りない姉として、よろしくって握手してきただけです。」
リヴァイ兵長の腕を握りしめる。
私の恋は叶った。リヴァイ兵長が叶えてくれた。
だから、こんなに嬉しい。幸せだ。
でも、私は、ジャンの恋を叶えてあげられなかった。
それでも、ジャンは、応援してくれた。
弟としてー。
チクリと痛む胸は、確かにジャンを想ってだった。
それが恋としてではなく、仲間として、弟としてでー。
「そうか。」
リヴァイ兵長は、もうそれ以上何も言わず、ただ深く私を抱きしめた。
そこにも確かに、リヴァイ兵長からのジャンへの想いがあるように思えて、やっぱり、素敵な人だなと再認識する。
「それで、リヴァイ兵長はヤキモチ妬いたんですか?」
「…妬いてねぇ。」
「えー、嘘だぁ。絶対、ヤキモチ妬いてー。」
からかい過ぎたのか、リヴァイ兵長にベッドに押し倒された。
強引に唇を塞がれた後、顔を上げたリヴァイ兵長は不機嫌に眉を顰めたままだった。
「妬いてねぇ。」
あまりに真剣に言うから、笑いそうになったけれど、必死に堪える。
それに、どっちだっていい。
今はただー。
「分かりましたから、もう一回、キスしてください。」
私の手がリヴァイ兵長の後頭部にそっと回る。
少し意外そうにした後、リヴァイ兵長は満足気に口元を歪めた。
「仕方ねぇな。」
口調こそ素っ気ないのに、私の前髪をかき上げる手は優しくて、心地いい。
何度唇を重ねても、高鳴る胸の鼓動さえ今はひどく愛おしかった。
ゲルガーさんの背中越しに、ベッドの上で不機嫌に眉を顰めているリヴァイ兵長まで見つけて、よくわからないけれど嫌な予感に襲われる。
ちょうど帰るところだったのか、去り際、ゲルガーさんは、見覚えのあるニヤけた表情で親指を立てて部屋を出ていった。
「ゲルガーさん、何だったんですか?すごく楽しそうでしたけど。」
首を傾げながら、ベッドの縁に腰を降ろした。
すると、リヴァイ兵長がすかさず私を腕の中に捕まえる。
後ろから抱きしめるリヴァイ兵長の腕にそっと手を添えた。
どうやら、リヴァイ兵長は抱きしめるのが好きらしい。
好きな人に抱きしめられるのは、緊張してドキドキするけれど、とても幸せだ。
だから、私も、リヴァイ兵長に抱きしめられるのは、ずっと前から好きー。
幸せを噛みしめる私とは裏腹に、私の肩に顎を乗せたリヴァイ兵長の声は、不機嫌だった。
いや、拗ねていたのかもしれない。
「昼飯を返しに行っただけじゃなかったのか。」
「そうですよ?食事室にお昼を返して、ここに戻ってきました。」
「ジャンと居たそうじゃねぇか。」
「え?」
「ゲルガーがわざわざ教えに来た。」
「あ~…、それで、ゲルガーさん、ニヤニヤしてたんですね。」
「誤魔化すんじゃねぇ。」
「別に誤魔化してるわけじゃないですよ。」
「言え。何してた。」
不機嫌だった理由が分かって、可笑しくなる。
ゲルガーさんにからかわれていたんだろうな、と想像がつくことも、それでリヴァイ兵長が怒っていることも、可笑しくて笑ってしまう。
だって、リヴァイ兵長に抱きしめられて、そんな風に怒られることが、私はこんなにも嬉しいんだってことを、リヴァイ兵長は全然分かっていないから。
「ジャンが、リヴァイ兵長のこと、カッコいいって言ってましたよ。」
リヴァイ兵長の方を見て教えてやると、不機嫌に寄っていた眉の皴がさらに濃くなった。
「馬面に言われても嬉しくねぇ。」
不機嫌な理由は、今度はそれらしい。
やっぱり可笑しくて、私はクスクスと笑う。
「頼りになる弟と頼りない姉として、よろしくって握手してきただけです。」
リヴァイ兵長の腕を握りしめる。
私の恋は叶った。リヴァイ兵長が叶えてくれた。
だから、こんなに嬉しい。幸せだ。
でも、私は、ジャンの恋を叶えてあげられなかった。
それでも、ジャンは、応援してくれた。
弟としてー。
チクリと痛む胸は、確かにジャンを想ってだった。
それが恋としてではなく、仲間として、弟としてでー。
「そうか。」
リヴァイ兵長は、もうそれ以上何も言わず、ただ深く私を抱きしめた。
そこにも確かに、リヴァイ兵長からのジャンへの想いがあるように思えて、やっぱり、素敵な人だなと再認識する。
「それで、リヴァイ兵長はヤキモチ妬いたんですか?」
「…妬いてねぇ。」
「えー、嘘だぁ。絶対、ヤキモチ妬いてー。」
からかい過ぎたのか、リヴァイ兵長にベッドに押し倒された。
強引に唇を塞がれた後、顔を上げたリヴァイ兵長は不機嫌に眉を顰めたままだった。
「妬いてねぇ。」
あまりに真剣に言うから、笑いそうになったけれど、必死に堪える。
それに、どっちだっていい。
今はただー。
「分かりましたから、もう一回、キスしてください。」
私の手がリヴァイ兵長の後頭部にそっと回る。
少し意外そうにした後、リヴァイ兵長は満足気に口元を歪めた。
「仕方ねぇな。」
口調こそ素っ気ないのに、私の前髪をかき上げる手は優しくて、心地いい。
何度唇を重ねても、高鳴る胸の鼓動さえ今はひどく愛おしかった。