◇第六十九話◇彼女の王子様は誰?
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兵舎の門前でなまえと王子様を見たと聞き、ペトラ達は兵門へ急いだ。
ちょっとした人だかりが出来ているその中央に入り込めば、確かに、彼女達が言うように“王子様”がいた。
テュランに跨り、声をかけてくる女兵士達に軽く手を振っている姿なんて、子供の頃に読んだおとぎ話の世界から王子様が出てきたみたいだ。
金髪がキラキラと光っていて、高身長でスラリと伸びた手足、小さな顔に綺麗に配置されたカタチの良い瞳や鼻、口。
パッと見ただけで分かる高級な洋服を身に着けているその男は、おそらく貴族か。もしかすると、王都の関係者かもしれない。
王子様のような男は、自分を取り囲む兵士の中にペトラ達を見つけると一瞬、瞳の色を変えた。
ゾクリー、ペトラの背中が凍る。
ほんの一瞬、一瞬だけだったけれどー。
ペトラ達のことを氷みたいな目で見下したのだ。
それは確かに、まるで虫けらでも見るようにー。
いや、見間違いだったのだろうか。
少なくとも今はとても優しい表情をしているし、おっとりした性格に見える。
リヴァイに恋をしているはずのなまえが、他の男と帰ってくるから思わず嫌な男だと思ってしまっただけかもしれない。
でも、リヴァイも一緒だったのだろうか。
テュランの隣に立って、眠っているなまえを抱えているのはリヴァイだった。
怖い顔で王子様を見上げて、睨みつけている。
「リヴァイっ!なまえは無事っ!?」
ハンジが、リヴァイの元へ駆け寄った。
「大丈夫ですよ。眠ってるだけですから。
彼女は眠り姫なんです。一度眠ってしまうとなかなか起きないんですよ。」
答えたのは、テュランに跨っていた王子様だった。
地面に降りると、なまえに触れようと手を伸ばしたが、リヴァイに避けられてしまう。
そして、苦笑いを浮かべて、言葉を続けた。
「まぁ、僕から彼女を強引に奪った彼は、知っていたみたいですけどね。」
王子様の棘のある言い方に、ペトラは違和感を覚えた。
リヴァイだけではなく、ハンジとナナバも怖い顔をして彼を睨みつけている。
もしかしてー。
「どういうことだ、リヴァイ。」
ナナバがリヴァイに訊ねた。
怖い顔が、ナナバとハンジに向く。
「それは俺が聞きてぇな、ナナバ、ハンジ。
お前らが、コイツの見張り役だったんじゃねぇのか。」
「それは…、気づいたら、兵舎から出ててっ。」
ハンジが困ったように言うと、王子様が小さくため息を吐いた。
「可哀想に。なまえには見張りまでついて、自由に外に出ることも出来ないなんて。
それじゃ、兵士ではなくて、囚われの身のお姫様じゃないか。」
リヴァイの腕の中で眠るなまえを悲しそうに見下ろした後、王子様は、ハンジとナナバを見た。
いや、彼らの後ろにいたエルヴィンを見たようだ。
気づかなかったけれど、いつの間にか騒ぎを聞きつけたのか、エルヴィンまでやってきていたようだ。
ハンジとナナバの後ろに立つエルヴィンを挑むような目で見た王子様は、表情と声色こそ穏やかなものの、聞き捨てならない台詞を口にする。
「だから、僕はなまえを救いに来たんです。
ここにいては彼女のためにはならない。もうそろそろ我慢の限界だ。
彼女は返してもらいますよ。いいですよね、エルヴィン団長。」
ペトラが最初に感じた、ゾクリとするような冷たさはもうない。
でも、エルヴィンをまっすぐに見据える王子様の瞳は、本気を語っていた。
ちょっとした人だかりが出来ているその中央に入り込めば、確かに、彼女達が言うように“王子様”がいた。
テュランに跨り、声をかけてくる女兵士達に軽く手を振っている姿なんて、子供の頃に読んだおとぎ話の世界から王子様が出てきたみたいだ。
金髪がキラキラと光っていて、高身長でスラリと伸びた手足、小さな顔に綺麗に配置されたカタチの良い瞳や鼻、口。
パッと見ただけで分かる高級な洋服を身に着けているその男は、おそらく貴族か。もしかすると、王都の関係者かもしれない。
王子様のような男は、自分を取り囲む兵士の中にペトラ達を見つけると一瞬、瞳の色を変えた。
ゾクリー、ペトラの背中が凍る。
ほんの一瞬、一瞬だけだったけれどー。
ペトラ達のことを氷みたいな目で見下したのだ。
それは確かに、まるで虫けらでも見るようにー。
いや、見間違いだったのだろうか。
少なくとも今はとても優しい表情をしているし、おっとりした性格に見える。
リヴァイに恋をしているはずのなまえが、他の男と帰ってくるから思わず嫌な男だと思ってしまっただけかもしれない。
でも、リヴァイも一緒だったのだろうか。
テュランの隣に立って、眠っているなまえを抱えているのはリヴァイだった。
怖い顔で王子様を見上げて、睨みつけている。
「リヴァイっ!なまえは無事っ!?」
ハンジが、リヴァイの元へ駆け寄った。
「大丈夫ですよ。眠ってるだけですから。
彼女は眠り姫なんです。一度眠ってしまうとなかなか起きないんですよ。」
答えたのは、テュランに跨っていた王子様だった。
地面に降りると、なまえに触れようと手を伸ばしたが、リヴァイに避けられてしまう。
そして、苦笑いを浮かべて、言葉を続けた。
「まぁ、僕から彼女を強引に奪った彼は、知っていたみたいですけどね。」
王子様の棘のある言い方に、ペトラは違和感を覚えた。
リヴァイだけではなく、ハンジとナナバも怖い顔をして彼を睨みつけている。
もしかしてー。
「どういうことだ、リヴァイ。」
ナナバがリヴァイに訊ねた。
怖い顔が、ナナバとハンジに向く。
「それは俺が聞きてぇな、ナナバ、ハンジ。
お前らが、コイツの見張り役だったんじゃねぇのか。」
「それは…、気づいたら、兵舎から出ててっ。」
ハンジが困ったように言うと、王子様が小さくため息を吐いた。
「可哀想に。なまえには見張りまでついて、自由に外に出ることも出来ないなんて。
それじゃ、兵士ではなくて、囚われの身のお姫様じゃないか。」
リヴァイの腕の中で眠るなまえを悲しそうに見下ろした後、王子様は、ハンジとナナバを見た。
いや、彼らの後ろにいたエルヴィンを見たようだ。
気づかなかったけれど、いつの間にか騒ぎを聞きつけたのか、エルヴィンまでやってきていたようだ。
ハンジとナナバの後ろに立つエルヴィンを挑むような目で見た王子様は、表情と声色こそ穏やかなものの、聞き捨てならない台詞を口にする。
「だから、僕はなまえを救いに来たんです。
ここにいては彼女のためにはならない。もうそろそろ我慢の限界だ。
彼女は返してもらいますよ。いいですよね、エルヴィン団長。」
ペトラが最初に感じた、ゾクリとするような冷たさはもうない。
でも、エルヴィンをまっすぐに見据える王子様の瞳は、本気を語っていた。