◇第六十一話◇閉じるしかなった心の扉
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明日は午前中まで休みを貰っているというアニは、今夜は調査兵団兵舎の客人用の部屋に泊ることになっている。
夕食を終えた私は、アニを客人用の部屋に案内していた。
「荷物ってそれだけ?」
私は、アニが持っているバッグを指さして言った。
バッグというよりも手提げ袋のそれは、着替えくらいしか入らなそうだ。
「明日は帰ったら、そのまま任務だから。
兵団服しか持ってきてないよ。」
アニはそう言って、自分が持っているバッグを少し持ち上げた。
そういうことかと納得もしつつ、わざわざ休みを延ばしてまで泊まりに来てくれたアニに感謝する。
リヴァイ兵長のことや壁外任務のことで悩みが増えてばかりいた最近は、アニからの手紙も泊りに行くという言葉も嬉しくて嬉しくて仕方がなかったのだ。
でも、私がお礼を言っても、アニはどこか上の空だった。
「あ!なまえさん!探してたんすよ!」
アニと歩いている私を見つけたジャンが駆け寄ってきた。
そんなジャンにアニは明らかに迷惑そうな顔をする。
「アンタさ、昼間も話しかけてきたけど、何なわけ。
もしかして、なまえの犬?」
「はぁ?そんなわけねぇだろっ!昼間は憲兵に行ったはずのお前が
こんなとこにいるから、気になっただけじゃねぇーか。 」
「へぇ。それにしちゃ、なまえを見つけたら嬉しそうな顔して
ご主人様の帰りを待ってた犬が尻尾振ってるようにしか見えなかったけどね。」
「そもそもなっ!お前はどうしてなまえさんを呼び捨てなんだっ!
俺だって、さんづけだし、敬語なんだぞ!」
「それはアンタが、なまえの犬だからでしょ。」
「うるせぇーな!違うっつーのっ!散れっ!散れっ!
俺に文句あんなら、俺が喋ってる間、どこかに散っておけっ!!」
顔を真っ赤にして本気で怒ってるジャンに、アニは涼しい顔をして言い返していて、対照的な2人が可笑しかった。
なにより、今日はどこか様子のおかしかったアニが、旧知の仲のジャンの前では気を許しているのが分かって、安心した。
「おぉ、アニじゃねぇか。久しぶりだな。」
「今日はどうしたの?」
私と一緒にいるアニに気づいたライナーとベルトルトがやってきた。
客人用の部屋なんてめったに使われることがないから、あまり人が来ないのに、今日はどうしたのだろう。
「なまえに会いに来ただけ。
アンタ達も相変わらず2人でつるんでるんだね。」
「まぁな。」
「元気そうでよかったよ。」
アニがライナーとベルトルトと話し出すと、ジャンは私に声をかけた理由を話し出した。
「壁外任務に出ることになったんすよね?
しかもかなり危険なやつ…。」
「うん、そうなの。まだ出発までには時間があるから
それまでに生きて帰ってこられるように訓練頑張らなくちゃね。」
「それでなんすけどー。」
ジャンからの嬉しい提案を受けた後、アニもライナーとベルトルトと話が終わったようで、彼らと別れると、私達はまた客人用の部屋へと向かった。
部屋に到着すると、すぐに帰ろうとする私をアニが引き留めた。
明日は、早朝の馬車に乗ってストヘス区へ帰る予定のアニはもう寝るのだろうと思っていたのだが、まだ時間があるから少し話をしようと珍しく誘ってきた。
やっぱり、今日のアニはおかしい。
でも、誰かと一緒にいた方が気がまぎれるのは事実で、私は喜んでその提案に乗った。
夕食を終えた私は、アニを客人用の部屋に案内していた。
「荷物ってそれだけ?」
私は、アニが持っているバッグを指さして言った。
バッグというよりも手提げ袋のそれは、着替えくらいしか入らなそうだ。
「明日は帰ったら、そのまま任務だから。
兵団服しか持ってきてないよ。」
アニはそう言って、自分が持っているバッグを少し持ち上げた。
そういうことかと納得もしつつ、わざわざ休みを延ばしてまで泊まりに来てくれたアニに感謝する。
リヴァイ兵長のことや壁外任務のことで悩みが増えてばかりいた最近は、アニからの手紙も泊りに行くという言葉も嬉しくて嬉しくて仕方がなかったのだ。
でも、私がお礼を言っても、アニはどこか上の空だった。
「あ!なまえさん!探してたんすよ!」
アニと歩いている私を見つけたジャンが駆け寄ってきた。
そんなジャンにアニは明らかに迷惑そうな顔をする。
「アンタさ、昼間も話しかけてきたけど、何なわけ。
もしかして、なまえの犬?」
「はぁ?そんなわけねぇだろっ!昼間は憲兵に行ったはずのお前が
こんなとこにいるから、気になっただけじゃねぇーか。 」
「へぇ。それにしちゃ、なまえを見つけたら嬉しそうな顔して
ご主人様の帰りを待ってた犬が尻尾振ってるようにしか見えなかったけどね。」
「そもそもなっ!お前はどうしてなまえさんを呼び捨てなんだっ!
俺だって、さんづけだし、敬語なんだぞ!」
「それはアンタが、なまえの犬だからでしょ。」
「うるせぇーな!違うっつーのっ!散れっ!散れっ!
俺に文句あんなら、俺が喋ってる間、どこかに散っておけっ!!」
顔を真っ赤にして本気で怒ってるジャンに、アニは涼しい顔をして言い返していて、対照的な2人が可笑しかった。
なにより、今日はどこか様子のおかしかったアニが、旧知の仲のジャンの前では気を許しているのが分かって、安心した。
「おぉ、アニじゃねぇか。久しぶりだな。」
「今日はどうしたの?」
私と一緒にいるアニに気づいたライナーとベルトルトがやってきた。
客人用の部屋なんてめったに使われることがないから、あまり人が来ないのに、今日はどうしたのだろう。
「なまえに会いに来ただけ。
アンタ達も相変わらず2人でつるんでるんだね。」
「まぁな。」
「元気そうでよかったよ。」
アニがライナーとベルトルトと話し出すと、ジャンは私に声をかけた理由を話し出した。
「壁外任務に出ることになったんすよね?
しかもかなり危険なやつ…。」
「うん、そうなの。まだ出発までには時間があるから
それまでに生きて帰ってこられるように訓練頑張らなくちゃね。」
「それでなんすけどー。」
ジャンからの嬉しい提案を受けた後、アニもライナーとベルトルトと話が終わったようで、彼らと別れると、私達はまた客人用の部屋へと向かった。
部屋に到着すると、すぐに帰ろうとする私をアニが引き留めた。
明日は、早朝の馬車に乗ってストヘス区へ帰る予定のアニはもう寝るのだろうと思っていたのだが、まだ時間があるから少し話をしようと珍しく誘ってきた。
やっぱり、今日のアニはおかしい。
でも、誰かと一緒にいた方が気がまぎれるのは事実で、私は喜んでその提案に乗った。