◇第五十一話◇アニと不思議な話
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調査兵団の兵舎を出たのが昼過ぎだったということと、途中で草原に寄り道をしたこともあって、馬車が憲兵団施設に到着したのは夜遅くだった。
遅くなったことを咎められるかと思ったが、待っていた憲兵は特に何も言わずに私達を憲兵団の宿泊施設に案内してくれた。
トロスト区からの出張ということもあり、遅くなるのは想定内だったのかもしれない。
会議は明日の午前中からになり、会議の後はザックレー総統に報告やらいろいろと忙しいらしく、帰りは夕方以降ということだった。
そして翌日、リヴァイ兵長が会議に参加している間、私はアニと一緒にストヘス区の街へ繰り出していた。
偶然にも、今日がアニの非番だったらしく、壁外調査前に交わした約束通り一緒に買い物にやってきたのだ。
私服姿のアニは、兵団服のときとあまり印象が変わらなかった。クールなイメージそのままだ。
私に腕を絡まれて、心底迷惑そうにしながら歩いているアニとは対照的に、私はとてもご機嫌だった。
「行きたいところある?」
「別に。とくにないけど。強いて言えば、部屋でゆっくり休みたー」
「じゃあ、ここに入ろうっ!」
何やら言いかけていたアニの腕を引っ張って、私は雑貨屋に入った。
高級そうな店が立ち並ぶストヘス区では、比較的庶民的な表構えの店だけれど、陳列されている商品はどれもセンスのいい雑貨ばかりだ。
「このスカーフいいなぁ~、肌触りが気持ちいい~。」
「アンタ、スカーフしてそうだもんね。」
「私、スカーフしないよ?」
「じゃあ、何で見てんの。」
「ねぇ、この眼鏡、すごく良くない?
フレームが細くてお洒落っ。」
「アンタ、眼鏡かけるの?」
「自慢じゃないけど、視力には自信あるんだよね~。」
「だからさ、何で自分に必要ないもの見てんの。」
「ねぇ、見てよ!お洒落なだけじゃなくて、ほら、こんなに曲がるよっ!」
「…あっちで店主がすごく心配そうに見てるけど。」
「この櫛、可愛いっ。
こんなので毎日髪を梳いたら、寝癖もお洒落なカールになりそうだねっ。」
「それはない。寝癖は寝癖だから。」
店内に入ってすぐの商品から、気になるものを手にとっては、あーでもないこーでもないと楽しむ私の隣で、アニは商品を手に取ることもなく、それでも一緒に商品を見ては意見を言ってくれた。
こういう発展のない会話が、ショッピングの醍醐味だと私は思っている。
だが、今回、このお店に入ったのは雑貨が欲しかったからではない。
実はこの雑貨屋、知る人ぞ知る、アクセサリーショップでもあるのだ。
雑貨屋のアクセサリーだけあって、宝石がついているような高価なものではないけれど、店主の手作りという繊細な飾りがついた綺麗なものが多くて、大好きなのだ。
「これこれ、これを見に来たのよ。」
一番奥に大切そうに陳列されているアクセサリーには、ネックレスや指輪以外にも髪飾りやブレスレット、ネクタイピンなんかもある。
「へぇ、こんなのもあるんだ。」
意外そうにしながらも、アニは一番近くに飾られているネックレスを手に取った。
十字架を模したそれは、クールだけれど真っすぐな瞳をしたアニにとても似合っていた。
でも、欲しいと思って手に取ったわけではなかったのか、すぐに棚に戻した。
「綺麗。」
私の目を奪ったのは、真っ赤な天然石で出来たブレスレットだった。中央には銀で出来た十字架の飾りがついている。
「確かに、綺麗だね。」
アニが私の手元を覗き込んで言ったその一言は、私を喜ばせた。
目を輝かせてアニの顔を見た私に、彼女はあからさまに、余計なことを言ってしまった、と後悔をした顔をしたけれどー。
遅くなったことを咎められるかと思ったが、待っていた憲兵は特に何も言わずに私達を憲兵団の宿泊施設に案内してくれた。
トロスト区からの出張ということもあり、遅くなるのは想定内だったのかもしれない。
会議は明日の午前中からになり、会議の後はザックレー総統に報告やらいろいろと忙しいらしく、帰りは夕方以降ということだった。
そして翌日、リヴァイ兵長が会議に参加している間、私はアニと一緒にストヘス区の街へ繰り出していた。
偶然にも、今日がアニの非番だったらしく、壁外調査前に交わした約束通り一緒に買い物にやってきたのだ。
私服姿のアニは、兵団服のときとあまり印象が変わらなかった。クールなイメージそのままだ。
私に腕を絡まれて、心底迷惑そうにしながら歩いているアニとは対照的に、私はとてもご機嫌だった。
「行きたいところある?」
「別に。とくにないけど。強いて言えば、部屋でゆっくり休みたー」
「じゃあ、ここに入ろうっ!」
何やら言いかけていたアニの腕を引っ張って、私は雑貨屋に入った。
高級そうな店が立ち並ぶストヘス区では、比較的庶民的な表構えの店だけれど、陳列されている商品はどれもセンスのいい雑貨ばかりだ。
「このスカーフいいなぁ~、肌触りが気持ちいい~。」
「アンタ、スカーフしてそうだもんね。」
「私、スカーフしないよ?」
「じゃあ、何で見てんの。」
「ねぇ、この眼鏡、すごく良くない?
フレームが細くてお洒落っ。」
「アンタ、眼鏡かけるの?」
「自慢じゃないけど、視力には自信あるんだよね~。」
「だからさ、何で自分に必要ないもの見てんの。」
「ねぇ、見てよ!お洒落なだけじゃなくて、ほら、こんなに曲がるよっ!」
「…あっちで店主がすごく心配そうに見てるけど。」
「この櫛、可愛いっ。
こんなので毎日髪を梳いたら、寝癖もお洒落なカールになりそうだねっ。」
「それはない。寝癖は寝癖だから。」
店内に入ってすぐの商品から、気になるものを手にとっては、あーでもないこーでもないと楽しむ私の隣で、アニは商品を手に取ることもなく、それでも一緒に商品を見ては意見を言ってくれた。
こういう発展のない会話が、ショッピングの醍醐味だと私は思っている。
だが、今回、このお店に入ったのは雑貨が欲しかったからではない。
実はこの雑貨屋、知る人ぞ知る、アクセサリーショップでもあるのだ。
雑貨屋のアクセサリーだけあって、宝石がついているような高価なものではないけれど、店主の手作りという繊細な飾りがついた綺麗なものが多くて、大好きなのだ。
「これこれ、これを見に来たのよ。」
一番奥に大切そうに陳列されているアクセサリーには、ネックレスや指輪以外にも髪飾りやブレスレット、ネクタイピンなんかもある。
「へぇ、こんなのもあるんだ。」
意外そうにしながらも、アニは一番近くに飾られているネックレスを手に取った。
十字架を模したそれは、クールだけれど真っすぐな瞳をしたアニにとても似合っていた。
でも、欲しいと思って手に取ったわけではなかったのか、すぐに棚に戻した。
「綺麗。」
私の目を奪ったのは、真っ赤な天然石で出来たブレスレットだった。中央には銀で出来た十字架の飾りがついている。
「確かに、綺麗だね。」
アニが私の手元を覗き込んで言ったその一言は、私を喜ばせた。
目を輝かせてアニの顔を見た私に、彼女はあからさまに、余計なことを言ってしまった、と後悔をした顔をしたけれどー。