◇第四十九話◇お手伝い
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結局、夕飯が終わっても私はリヴァイ兵長の執務室に籠って書類仕事のお手伝いをさせてもらっていた。
壁外調査が終わったばかりで雑務等が増える時期はそろそろ終わり、来週からは次回の壁外調査に向けての準備のためストヘス区やカラネス区への出張も多くなるから、それまでに終わらせたいらしい。
このまま最後まで終わらせようとしていたスパルタなリヴァイ兵長だったけれど、さっきナナバさんから緊急会議が入ったと呼ばれて執務室を出て行った。
でも、残りはあと少しなので、これなら明日の午前中に終われそうだ。
私も、散らかった書類や資料を片付けてから執務室を出る。
「なんで、アンタがリヴァイ兵長の部屋から出てくるわけ?」
部屋から出てきた私を見て、眉をつり上げたのは若い女兵士だった。ジーニーは、いつも取りまきの女兵士を2人引き連れていて、今も彼女の後ろで私を睨みつけている。
「私のせいでリヴァイ兵長が右手が使えないから
書類の代筆やまとめるのを手伝わせてもらっていたの。」
「へぇ~…、お手伝いねぇ…。
自分のせいでリヴァイ兵長に大けがさせておいて、よく平気で顔を合わせられるわよね。
どうせ、無理言って部屋に入れてもらったんでしょ?いい迷惑。」
「それは…。」
「悪いと思ってんなら、リヴァイ兵長の周りをちょろちょろするのをやめたら?
その方がよっぽどリヴァイ兵長のためになると思うけど?」
「本当だよね~、兵団から逃げたままでいればよかったのに、
どうして戻ってきたの?」
「ルルがいないと何もできないくせにね。」
友人たちに同調してもらって、ジーニーは勝ち誇った顔で私を見下す。
ルルやマレーネ達と仲良くしてからは、悪意を向けられることは少なくなったが、それでもこうして何か言われることは少なからずあった。
いつも決まって私が1人のときだけだった。
それに、ルルが気づいていたかは分からない。
でも、時間が許す限りルルが私のそばにいてくれたのは、もしかしたら、こういう言葉や視線から守ってくれていたということなのかもしれない。
理不尽なことを言われることもあったけれど、今はどう考えても彼女達の言う通りで、何も言い返せなかった。
「珍しい組み合わせだね。」
声をかけてくれたのは、ナナバさんだった。
「ミケ分隊長に書類を提出しに来たんです。
そしたら、久しぶりになまえに会えたから、嬉しくて声をかけたところだったんです。ね?」
つい先ほどまでとは打って変わって可愛らしい笑顔を見せる彼女達に、私はなんとか笑顔を返した。
「へ~、そんな風には見えなかったけどね。本当かな、なまえ?」
「え?あ、はい、本当ですよ。
久しぶりに会って、少し立ち話をしてただけです。」
ニコリと微笑む私の顔をしばらく訝し気に見ていたナナバさんだったけれど、信じてくれたのかそれ以上は追及されなかった。
これがゲルガーさんなら、全く気付かなかったと思うけれど、ナナバさんは勘が鋭そうで怖い。
だって、私はもう誰にも迷惑をかけたくない。
これは自分の問題で、彼女達とうまくやっていくには私が上手く立ち回らないといけないのだ。
「まぁ、それならいいけど。
ミケ分隊長は緊急会議に行ってるから、書類は私が預かっておくよ。」
ナナバさんにそう言われ、ジーニー達は気乗りしないようではあったが、とりあえずという様子で書類を渡した。
「ナナバさんは会議には参加しないんですか?」
ジーニー達が立ち去ってから、私はナナバさんに訊ねた。
緊急会議にはナナバさんも参加するのかと思っていた。
「必要な書類をリヴァイがまだ提出してなくてね。
さっきなまえと終わらせたっていうから、探しに来たんだよ。」
私も一緒に書類を探すことにして、ナナバさんと一緒にリヴァイ兵長の執務室に戻った。
探していた書類はすぐに見つかり、他にも必要になるかもーと書類をとじているファイルをめくりだしたナナバさんに私は話しかけた。
「迷惑なんですかね?」
「ん?」
「私が部屋に来て、仕事のお手伝いしてるのって
迷惑、なんでしょうか。」
さっき、彼女達から言われたことが、ずっと頭の中でリピートされていた。
私は、リヴァイ兵長に迷惑をかけ、怪我までさせてしまった。だから、少しでも役に立てればと思って仕事の手伝いを申し出た。
受け入れてくれたから、少しは役に立てているのではないかと思っていたけれど、違うのだろうか。
彼女達に言われて、優しいリヴァイ兵長は、私の気持ちを察して気を遣ってくれているだけなのかもしれないーそう思ったのだ。
ナナバさんは、ちょうど書類を探し終えたのか、ファイルを閉じて顔を上げた。
「本人がそう言ったの?」
「いえ、リヴァイ兵長は…、助かるって言ってくれました。」
「それなら、役に立ってるってことだと思うけどね。」
「でも、リヴァイ兵長は優しいから、ルルのときのこととか、
怪我のことを気にしてる私に気を遣ってくれてるのかもしれないですよね。」
役に立ってるつもりで、結局は迷惑をかけていたのかもしれないと気づいて、私は落ち込んでいた。
でも、ナナバさんは、私の言葉を聞いて、キョトンとした顔をした後に、可笑しくてたまらないとばかりに笑いを吹き出した。
「あの…?」
「あー、ごめんごめんっ。確かに、リヴァイは見かけによらず心のある男だよ。
でも、優しいって…っ、気を遣うリヴァイを想像したら笑えて来ちゃって。」
ナナバさんは腹を抱えて笑い出してしまった。
これは、私だけではなく、リヴァイ兵長にも失礼なのではないだろうか。
しばらく好きなだけ笑った後、ようやく落ち着いてからナナバさんは言う。
「リヴァイは優しいとは思うよ。でも、絶対に嘘は吐かない。
良くも悪くも、思ってもないことは言わないヤツだから、
他の誰に何と言われても、リヴァイの言葉を信じてやってよ。」
ナナバさんは微笑んで、私の髪をクシャリと撫でた。
ハンジさんに似てるその仕草が、とても優しかった。
壁外調査が終わったばかりで雑務等が増える時期はそろそろ終わり、来週からは次回の壁外調査に向けての準備のためストヘス区やカラネス区への出張も多くなるから、それまでに終わらせたいらしい。
このまま最後まで終わらせようとしていたスパルタなリヴァイ兵長だったけれど、さっきナナバさんから緊急会議が入ったと呼ばれて執務室を出て行った。
でも、残りはあと少しなので、これなら明日の午前中に終われそうだ。
私も、散らかった書類や資料を片付けてから執務室を出る。
「なんで、アンタがリヴァイ兵長の部屋から出てくるわけ?」
部屋から出てきた私を見て、眉をつり上げたのは若い女兵士だった。ジーニーは、いつも取りまきの女兵士を2人引き連れていて、今も彼女の後ろで私を睨みつけている。
「私のせいでリヴァイ兵長が右手が使えないから
書類の代筆やまとめるのを手伝わせてもらっていたの。」
「へぇ~…、お手伝いねぇ…。
自分のせいでリヴァイ兵長に大けがさせておいて、よく平気で顔を合わせられるわよね。
どうせ、無理言って部屋に入れてもらったんでしょ?いい迷惑。」
「それは…。」
「悪いと思ってんなら、リヴァイ兵長の周りをちょろちょろするのをやめたら?
その方がよっぽどリヴァイ兵長のためになると思うけど?」
「本当だよね~、兵団から逃げたままでいればよかったのに、
どうして戻ってきたの?」
「ルルがいないと何もできないくせにね。」
友人たちに同調してもらって、ジーニーは勝ち誇った顔で私を見下す。
ルルやマレーネ達と仲良くしてからは、悪意を向けられることは少なくなったが、それでもこうして何か言われることは少なからずあった。
いつも決まって私が1人のときだけだった。
それに、ルルが気づいていたかは分からない。
でも、時間が許す限りルルが私のそばにいてくれたのは、もしかしたら、こういう言葉や視線から守ってくれていたということなのかもしれない。
理不尽なことを言われることもあったけれど、今はどう考えても彼女達の言う通りで、何も言い返せなかった。
「珍しい組み合わせだね。」
声をかけてくれたのは、ナナバさんだった。
「ミケ分隊長に書類を提出しに来たんです。
そしたら、久しぶりになまえに会えたから、嬉しくて声をかけたところだったんです。ね?」
つい先ほどまでとは打って変わって可愛らしい笑顔を見せる彼女達に、私はなんとか笑顔を返した。
「へ~、そんな風には見えなかったけどね。本当かな、なまえ?」
「え?あ、はい、本当ですよ。
久しぶりに会って、少し立ち話をしてただけです。」
ニコリと微笑む私の顔をしばらく訝し気に見ていたナナバさんだったけれど、信じてくれたのかそれ以上は追及されなかった。
これがゲルガーさんなら、全く気付かなかったと思うけれど、ナナバさんは勘が鋭そうで怖い。
だって、私はもう誰にも迷惑をかけたくない。
これは自分の問題で、彼女達とうまくやっていくには私が上手く立ち回らないといけないのだ。
「まぁ、それならいいけど。
ミケ分隊長は緊急会議に行ってるから、書類は私が預かっておくよ。」
ナナバさんにそう言われ、ジーニー達は気乗りしないようではあったが、とりあえずという様子で書類を渡した。
「ナナバさんは会議には参加しないんですか?」
ジーニー達が立ち去ってから、私はナナバさんに訊ねた。
緊急会議にはナナバさんも参加するのかと思っていた。
「必要な書類をリヴァイがまだ提出してなくてね。
さっきなまえと終わらせたっていうから、探しに来たんだよ。」
私も一緒に書類を探すことにして、ナナバさんと一緒にリヴァイ兵長の執務室に戻った。
探していた書類はすぐに見つかり、他にも必要になるかもーと書類をとじているファイルをめくりだしたナナバさんに私は話しかけた。
「迷惑なんですかね?」
「ん?」
「私が部屋に来て、仕事のお手伝いしてるのって
迷惑、なんでしょうか。」
さっき、彼女達から言われたことが、ずっと頭の中でリピートされていた。
私は、リヴァイ兵長に迷惑をかけ、怪我までさせてしまった。だから、少しでも役に立てればと思って仕事の手伝いを申し出た。
受け入れてくれたから、少しは役に立てているのではないかと思っていたけれど、違うのだろうか。
彼女達に言われて、優しいリヴァイ兵長は、私の気持ちを察して気を遣ってくれているだけなのかもしれないーそう思ったのだ。
ナナバさんは、ちょうど書類を探し終えたのか、ファイルを閉じて顔を上げた。
「本人がそう言ったの?」
「いえ、リヴァイ兵長は…、助かるって言ってくれました。」
「それなら、役に立ってるってことだと思うけどね。」
「でも、リヴァイ兵長は優しいから、ルルのときのこととか、
怪我のことを気にしてる私に気を遣ってくれてるのかもしれないですよね。」
役に立ってるつもりで、結局は迷惑をかけていたのかもしれないと気づいて、私は落ち込んでいた。
でも、ナナバさんは、私の言葉を聞いて、キョトンとした顔をした後に、可笑しくてたまらないとばかりに笑いを吹き出した。
「あの…?」
「あー、ごめんごめんっ。確かに、リヴァイは見かけによらず心のある男だよ。
でも、優しいって…っ、気を遣うリヴァイを想像したら笑えて来ちゃって。」
ナナバさんは腹を抱えて笑い出してしまった。
これは、私だけではなく、リヴァイ兵長にも失礼なのではないだろうか。
しばらく好きなだけ笑った後、ようやく落ち着いてからナナバさんは言う。
「リヴァイは優しいとは思うよ。でも、絶対に嘘は吐かない。
良くも悪くも、思ってもないことは言わないヤツだから、
他の誰に何と言われても、リヴァイの言葉を信じてやってよ。」
ナナバさんは微笑んで、私の髪をクシャリと撫でた。
ハンジさんに似てるその仕草が、とても優しかった。