◇第四十八話◇ポジティブシンキング
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リヴァイ兵長は、私から書類を受け取ると早速確認し始めた。
気だるげにデスクの椅子に座り、書類の確認も面倒くさそうにしている。
でも、書類の文字を追いかける切れ長の瞳は忙しなく動いて、きちんと読んでくれているようだった。
リヴァイ兵長の溜めた書類を手伝ったことはあるけれど、自分の書類を提出するのは初めてで、すごくドキドキする。
身体を動かす壁外任務や訓練とは違って、私の文字や文章を読まれるのは、見えない部分を見られているようで、なんだか照れ臭いから余計にだ。
「問題ねぇ。ご苦労だったな。」
読み終えたリヴァイ兵長が、書類から顔を上げた。
「よかった、ありがとうございます。」
ホッとした後、私は頭を下げた。
「弔い式の日は、ご迷惑をおかけして申し訳ございませんでした。
そして、私を庇ってくれてありがとうございました。
お詫びとお礼が遅くなってすみません。」
右手にはまだ包帯が巻かれていて、とても痛々しい。
弔い式の日、クレーデル夫妻との騒ぎで、リヴァイ兵長は右手と右腕を負傷してしまった。
兵団服に隠れて見えないけれど、右腕もきっと包帯が巻かれているのだろう。
傷跡が塞がるまでもう少しかかるらしいとペトラから聞いている。
「あぁ、医療兵が大袈裟に包帯を巻きやがっただけだ。
たいしたことねぇ。」
不愛想な言い方で庇ってくれた優しさに、余計に胸が痛くなる。
リヴァイ兵長はそう言うけれど、結構深い傷だったとハンジさんを問いただして教えてもらっている。
あの日、私は、謝るどころかちゃんとお礼すら言えなかった。
「ペトラに聞きました。傷が治るまでは訓練以外にも
右手を使うことは極力しないように言われてるって。」
「あぁ、おかげで身体がなまってどうしようもねぇ。」
「私、知らなくて…。この前、立体起動装置で壁の上に行ったときも
怪我してることは知ってたのに、何も考えてなくて本当にすみません。
傷、痛みましたよね。」
「お前が心配することじゃねぇ。」
リヴァイ兵長にキッパリ言われてしまう。
だが、かけてしまった迷惑はそれだけではない。
「ルルのご両親のこと、不問になるように憲兵団にとりあってくれたと聞きました。
私からもお礼を言わせてください。
本当に、ありがとうございました。」
私はもう一度、深く頭を下げた。
どんな事情があろうとも、兵士を殺そうとした上、人類の宝であるリヴァイ兵長に大けがを負わせたのだ。
クレーデル夫妻の心情は察知してもらえても、あの状況では本当は罪を問われるはずだった。
だが、怪我を負わされたリヴァイ兵長が憲兵団に掛け合ってくれたおかげで、今回のことは不問としてもらえたのだと、これもペトラから聞いた。
「面倒くせぇのが嫌いなだけだ。」
リヴァイ兵長はまた素っ気なく言う。
でも、いろいろと迷惑をかけ、怪我も負わせてしまったのだ。
このまま、頭を下げるだけでは気が済まない。
「もしよかったら、その書類、お手伝いさせてもらえますか?」
私はデスクの上で山積みになっている書類を指さした。
この書類の量だと、残りの休暇をすべてつぎ込むことになりそうだ。
アニに会いに行くのは、諦めるしかないが、次の非番のときでもいい。
明日は朝から好きな人と一緒にいられるのだと、オルオを見習ってポジティブシンキングで考えることにした。
私の言葉を聞いたリヴァイ兵長は、一度は断ろうとしたように見えた。
だが、デスクの上に溜まっている書類に視線を移した後、何か考えるようなそぶりをしてから口を開いた。
気だるげにデスクの椅子に座り、書類の確認も面倒くさそうにしている。
でも、書類の文字を追いかける切れ長の瞳は忙しなく動いて、きちんと読んでくれているようだった。
リヴァイ兵長の溜めた書類を手伝ったことはあるけれど、自分の書類を提出するのは初めてで、すごくドキドキする。
身体を動かす壁外任務や訓練とは違って、私の文字や文章を読まれるのは、見えない部分を見られているようで、なんだか照れ臭いから余計にだ。
「問題ねぇ。ご苦労だったな。」
読み終えたリヴァイ兵長が、書類から顔を上げた。
「よかった、ありがとうございます。」
ホッとした後、私は頭を下げた。
「弔い式の日は、ご迷惑をおかけして申し訳ございませんでした。
そして、私を庇ってくれてありがとうございました。
お詫びとお礼が遅くなってすみません。」
右手にはまだ包帯が巻かれていて、とても痛々しい。
弔い式の日、クレーデル夫妻との騒ぎで、リヴァイ兵長は右手と右腕を負傷してしまった。
兵団服に隠れて見えないけれど、右腕もきっと包帯が巻かれているのだろう。
傷跡が塞がるまでもう少しかかるらしいとペトラから聞いている。
「あぁ、医療兵が大袈裟に包帯を巻きやがっただけだ。
たいしたことねぇ。」
不愛想な言い方で庇ってくれた優しさに、余計に胸が痛くなる。
リヴァイ兵長はそう言うけれど、結構深い傷だったとハンジさんを問いただして教えてもらっている。
あの日、私は、謝るどころかちゃんとお礼すら言えなかった。
「ペトラに聞きました。傷が治るまでは訓練以外にも
右手を使うことは極力しないように言われてるって。」
「あぁ、おかげで身体がなまってどうしようもねぇ。」
「私、知らなくて…。この前、立体起動装置で壁の上に行ったときも
怪我してることは知ってたのに、何も考えてなくて本当にすみません。
傷、痛みましたよね。」
「お前が心配することじゃねぇ。」
リヴァイ兵長にキッパリ言われてしまう。
だが、かけてしまった迷惑はそれだけではない。
「ルルのご両親のこと、不問になるように憲兵団にとりあってくれたと聞きました。
私からもお礼を言わせてください。
本当に、ありがとうございました。」
私はもう一度、深く頭を下げた。
どんな事情があろうとも、兵士を殺そうとした上、人類の宝であるリヴァイ兵長に大けがを負わせたのだ。
クレーデル夫妻の心情は察知してもらえても、あの状況では本当は罪を問われるはずだった。
だが、怪我を負わされたリヴァイ兵長が憲兵団に掛け合ってくれたおかげで、今回のことは不問としてもらえたのだと、これもペトラから聞いた。
「面倒くせぇのが嫌いなだけだ。」
リヴァイ兵長はまた素っ気なく言う。
でも、いろいろと迷惑をかけ、怪我も負わせてしまったのだ。
このまま、頭を下げるだけでは気が済まない。
「もしよかったら、その書類、お手伝いさせてもらえますか?」
私はデスクの上で山積みになっている書類を指さした。
この書類の量だと、残りの休暇をすべてつぎ込むことになりそうだ。
アニに会いに行くのは、諦めるしかないが、次の非番のときでもいい。
明日は朝から好きな人と一緒にいられるのだと、オルオを見習ってポジティブシンキングで考えることにした。
私の言葉を聞いたリヴァイ兵長は、一度は断ろうとしたように見えた。
だが、デスクの上に溜まっている書類に視線を移した後、何か考えるようなそぶりをしてから口を開いた。