◇第四十一話◇まだそばにいたい
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なまえが部屋を出て数分後、そこにはハンジがやってきていた。
誰もいなくなった部屋は、異様に冷たく感じる。
ほんの数か月前までは、ここは誰も使っていない部屋だった。これが元々のこの部屋の様子のはずなのにー。
ハンジは、昨日までなまえが眠っていたベッドに腰かけて、ガランとした虚しい部屋を見渡す。
たった数か月なのに、至るところに思い出が転がっていて、胸が痛んだ。
『ハンジさん、聞いてくださいよ~。またミカサが私にだけ冷たくするんですっ。』
大袈裟に嘆くように言った後、愛ですかね?ととぼけたことを言うなまえが可愛くて、可笑しくて、笑ったっけ。
『巨人の弱点は、頭より下、うなじにかけての縦1m横10cmでー。』
巨人について学びたいというなまえに、時間があるときはそこのデスクで勉強をみてやったことも何度かある。
なまえは、本気だった。
本気で、誰も死なせない兵士になるためには自分には何が必要なのかを考えていた。
『トビアスさんのご両親のところには、私も一緒に行かせてください。』
任務中に亡くなった仲間がいたことを知ると、なまえは彼らのために出来ることを何だってしたがった。
崩れ落ち涙する家族を前に、自分の無力さを思い知らされ、そして、なまえはもっと強くなろうと心に誓っているようにも見えた。
本当に、呆れるくらいに優しい兵士だった。
(いや、あれは兵士じゃないか。あれはむしろー)
ふと、棚の上に何かが残されているのに気が付いた。
何だろうかーそう思いながら、ハンジは立ち上がる。
そして、棚の上に見つけたのはティーカップだった。
天使の羽の飾りがついている綺麗なティーカップだ。
なまえが紅茶を飲むときによく使っていたもので、見覚えがあった。
手に取って、よく見れば見るほど、丁寧な仕事が分かる綺麗な羽だった。
まじまじと見たことがなかったから気づかなかったが、なかなか高価そうだ。
一体、こんなものどうやって彼女が買えたのだろう。
そんなことを考えていると、部屋の扉が開いた。
「あ。」
「あ。」
入ってきたのは、ペトラだった。
顔を見合わせて、そしてお互いに苦笑し合う。
短い付き合いだったのに、いつの間にかなまえは自分達の奥深いところまで入り込んでいたらしい。
別れを惜しみ、少しでも長くなまえがいた証を感じたいと思うくらい。
「それ、リヴァイ兵長が買ってくれたらしいですよ。」
「え!?リヴァイがッ!?」
「入団祝いらしいです。」
部屋に入ってくるなり、ティーカップのことを教えてくれたペトラに、ハンジは飛び上がりそうになるほど驚いた。
兵団に入ったばかりのなまえがどうしてこんなに高価なものを買えたのかと思ったが、まさかリヴァイが買い与えていたなんて驚かない方がおかしい。
だが、これで納得もする。
「だから、置いて行ったんですかね。」
ハンジの手からティーカップを自分の手に持ちかえ、ペトラは眉尻を下げた。
なんだかそれが、悲しそうというか、切なそうというかー。
「え?なんで?持ってっちゃえばいいのに。
要らないなら売ったら高く売れるよ?」
不思議に思って訊ねたハンジは、ペトラから引くほど軽蔑の目を向けられた。
部屋の扉が勢いよく開いたのは、そんなときだー。
壊れるんじゃないかというくらいに思いっきり開いた扉から飛び込んできたのは、104期の新兵だった。
誰もいなくなった部屋は、異様に冷たく感じる。
ほんの数か月前までは、ここは誰も使っていない部屋だった。これが元々のこの部屋の様子のはずなのにー。
ハンジは、昨日までなまえが眠っていたベッドに腰かけて、ガランとした虚しい部屋を見渡す。
たった数か月なのに、至るところに思い出が転がっていて、胸が痛んだ。
『ハンジさん、聞いてくださいよ~。またミカサが私にだけ冷たくするんですっ。』
大袈裟に嘆くように言った後、愛ですかね?ととぼけたことを言うなまえが可愛くて、可笑しくて、笑ったっけ。
『巨人の弱点は、頭より下、うなじにかけての縦1m横10cmでー。』
巨人について学びたいというなまえに、時間があるときはそこのデスクで勉強をみてやったことも何度かある。
なまえは、本気だった。
本気で、誰も死なせない兵士になるためには自分には何が必要なのかを考えていた。
『トビアスさんのご両親のところには、私も一緒に行かせてください。』
任務中に亡くなった仲間がいたことを知ると、なまえは彼らのために出来ることを何だってしたがった。
崩れ落ち涙する家族を前に、自分の無力さを思い知らされ、そして、なまえはもっと強くなろうと心に誓っているようにも見えた。
本当に、呆れるくらいに優しい兵士だった。
(いや、あれは兵士じゃないか。あれはむしろー)
ふと、棚の上に何かが残されているのに気が付いた。
何だろうかーそう思いながら、ハンジは立ち上がる。
そして、棚の上に見つけたのはティーカップだった。
天使の羽の飾りがついている綺麗なティーカップだ。
なまえが紅茶を飲むときによく使っていたもので、見覚えがあった。
手に取って、よく見れば見るほど、丁寧な仕事が分かる綺麗な羽だった。
まじまじと見たことがなかったから気づかなかったが、なかなか高価そうだ。
一体、こんなものどうやって彼女が買えたのだろう。
そんなことを考えていると、部屋の扉が開いた。
「あ。」
「あ。」
入ってきたのは、ペトラだった。
顔を見合わせて、そしてお互いに苦笑し合う。
短い付き合いだったのに、いつの間にかなまえは自分達の奥深いところまで入り込んでいたらしい。
別れを惜しみ、少しでも長くなまえがいた証を感じたいと思うくらい。
「それ、リヴァイ兵長が買ってくれたらしいですよ。」
「え!?リヴァイがッ!?」
「入団祝いらしいです。」
部屋に入ってくるなり、ティーカップのことを教えてくれたペトラに、ハンジは飛び上がりそうになるほど驚いた。
兵団に入ったばかりのなまえがどうしてこんなに高価なものを買えたのかと思ったが、まさかリヴァイが買い与えていたなんて驚かない方がおかしい。
だが、これで納得もする。
「だから、置いて行ったんですかね。」
ハンジの手からティーカップを自分の手に持ちかえ、ペトラは眉尻を下げた。
なんだかそれが、悲しそうというか、切なそうというかー。
「え?なんで?持ってっちゃえばいいのに。
要らないなら売ったら高く売れるよ?」
不思議に思って訊ねたハンジは、ペトラから引くほど軽蔑の目を向けられた。
部屋の扉が勢いよく開いたのは、そんなときだー。
壊れるんじゃないかというくらいに思いっきり開いた扉から飛び込んできたのは、104期の新兵だった。