◇第三十七話◇親友を亡くす地獄
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犠牲になった調査兵達の弔い式の準備は、104期の新兵達が引き受けた。
言い出したのが誰だったのかは覚えていない。
アルミンだったような気もするし、ライナーだった気もする。
それとも、みんなでエルヴィン団長にお願いしに行ったんだっけ。
ただ分かるのは、みんなが同じ気持ちだったことだ。
一緒には戦えなかったから、せめて、もう二度と戦わなくていい場所へと送り出すための準備くらいはさせてほしい。
「なまえさんを守るためにルルさん…、
とてもカッコいいですね!」
無理して作った笑顔で、サシャはルルの功績を称える。
そうでもしないとやっていられない彼女の気持ちが痛いほどに分かって、クリスタは頷くだけで精一杯だった。
リヴァイ班と訓練を共にしていたルルとなまえの技術が、他の兵士よりも抜きんでていることは、兵団内でも周知の事実であった。
それに対して、悔しさや嫉妬をにじませる兵士がいたのも確かだったけれど、誰もが彼女達の実力を認めていたのもまた事実だ。
だから、今回の壁外調査でのルルの死は、兵士達にとっても衝撃だったようで、彼女の最後の勇士はあっという間に兵団内に広まり、新兵の耳にも届いていた。
「でも、なまえさんが心配だよ…。
きっと自分を責めてる。」
アルミンが目を伏せる。
普段、エレンと行動を共にすることの多いなまえを目の敵にしているミカサでさえも、彼女のことを心配しているようだった。
「自分の代わりに親友が死ぬって、どういう気分なんだろうな。」
「決まってんだろ、地獄だよ。」
言い切るジャンに、コニーは「あ…。」と目を伏せた。
ジャンもまた、親友であるマルコをトロスト区への巨人襲来の日に亡くしている。
その状況は異なるし、彼が経験した地獄となまえの地獄は、同じものではないのだろう。
でも、悲しみの中で抗うしかないという点では、きっと同じ。
ジャンはその悲しみを糧に、調査兵団の兵士として歩き出すことを決めた。
なまえは、どうするのだろうー。
(まさか…。調査兵団をやめるって言わないよね…。)
不意に頭に浮かんだ想像に、クリスタは不安になった。
調査兵団を続けるか否かは、なまえ次第だ。
実際、壁外調査を終えてから兵団組織を去る者、他の兵団への編入を決める者が少なからずいることは確かだ。
でもー。
「さっき、分隊長達が話してるのを聞いたんだが、
なまえがハンジ分隊長に辞意を伝えたらしい。」
さっきから姿を見なかったユミルが、駆け寄ってくるなり話しかけてきた。
みんな忙しく弔い式の準備をしていたのに、一体今までどこに行ってー。
「え?今なんて言った、ユミル?」
「なまえは調査兵団を辞めることを決めたって言ったんだよ。」
「そんなっ!!だって、ルルさんはなまえさんならきっとって、
人類の希望を託して…っ!そして、死んだのに!!」
「知るかよ。もう耐えられなくなったんだろ。
去るのは弔い式の翌日だろうな。ルル達を見送ってでていくつもりだ。」
「そんな…っ。」
なまえは、調査兵団に入団してすぐに壁外任務に出るほどの実力を持っていて、責任感もある人だ。
少なくとも、クリスタは彼女のことをそう思っていた。
ルルの死を無駄死にする人ではないとそう信じていたのにー。
それなのにー。
「なまえを責めてやるな。」
「ライナー。」
いつの間にか隣に立っていたのは、ライナーだった。
どこか遠い目で、彼は私でもなくなまえでもなく、他の誰かを見ているようだった。
「誰よりも自分を責めてるのは、本人だろうからね。」
心配そうに言って、ベルトルトはライナーを見た。
ライナーは、悔しそうに唇を噛み俯く。
「どっちにしろ、なまえさんを責めてもいいのは、
エルヴィン団長でもハンジ分隊長でも、ましてやおれ達でもない。
ールルさんだけだ。」
ジャンの言葉がその通り過ぎて、クリスタは胸が潰れそうだった。
言い出したのが誰だったのかは覚えていない。
アルミンだったような気もするし、ライナーだった気もする。
それとも、みんなでエルヴィン団長にお願いしに行ったんだっけ。
ただ分かるのは、みんなが同じ気持ちだったことだ。
一緒には戦えなかったから、せめて、もう二度と戦わなくていい場所へと送り出すための準備くらいはさせてほしい。
「なまえさんを守るためにルルさん…、
とてもカッコいいですね!」
無理して作った笑顔で、サシャはルルの功績を称える。
そうでもしないとやっていられない彼女の気持ちが痛いほどに分かって、クリスタは頷くだけで精一杯だった。
リヴァイ班と訓練を共にしていたルルとなまえの技術が、他の兵士よりも抜きんでていることは、兵団内でも周知の事実であった。
それに対して、悔しさや嫉妬をにじませる兵士がいたのも確かだったけれど、誰もが彼女達の実力を認めていたのもまた事実だ。
だから、今回の壁外調査でのルルの死は、兵士達にとっても衝撃だったようで、彼女の最後の勇士はあっという間に兵団内に広まり、新兵の耳にも届いていた。
「でも、なまえさんが心配だよ…。
きっと自分を責めてる。」
アルミンが目を伏せる。
普段、エレンと行動を共にすることの多いなまえを目の敵にしているミカサでさえも、彼女のことを心配しているようだった。
「自分の代わりに親友が死ぬって、どういう気分なんだろうな。」
「決まってんだろ、地獄だよ。」
言い切るジャンに、コニーは「あ…。」と目を伏せた。
ジャンもまた、親友であるマルコをトロスト区への巨人襲来の日に亡くしている。
その状況は異なるし、彼が経験した地獄となまえの地獄は、同じものではないのだろう。
でも、悲しみの中で抗うしかないという点では、きっと同じ。
ジャンはその悲しみを糧に、調査兵団の兵士として歩き出すことを決めた。
なまえは、どうするのだろうー。
(まさか…。調査兵団をやめるって言わないよね…。)
不意に頭に浮かんだ想像に、クリスタは不安になった。
調査兵団を続けるか否かは、なまえ次第だ。
実際、壁外調査を終えてから兵団組織を去る者、他の兵団への編入を決める者が少なからずいることは確かだ。
でもー。
「さっき、分隊長達が話してるのを聞いたんだが、
なまえがハンジ分隊長に辞意を伝えたらしい。」
さっきから姿を見なかったユミルが、駆け寄ってくるなり話しかけてきた。
みんな忙しく弔い式の準備をしていたのに、一体今までどこに行ってー。
「え?今なんて言った、ユミル?」
「なまえは調査兵団を辞めることを決めたって言ったんだよ。」
「そんなっ!!だって、ルルさんはなまえさんならきっとって、
人類の希望を託して…っ!そして、死んだのに!!」
「知るかよ。もう耐えられなくなったんだろ。
去るのは弔い式の翌日だろうな。ルル達を見送ってでていくつもりだ。」
「そんな…っ。」
なまえは、調査兵団に入団してすぐに壁外任務に出るほどの実力を持っていて、責任感もある人だ。
少なくとも、クリスタは彼女のことをそう思っていた。
ルルの死を無駄死にする人ではないとそう信じていたのにー。
それなのにー。
「なまえを責めてやるな。」
「ライナー。」
いつの間にか隣に立っていたのは、ライナーだった。
どこか遠い目で、彼は私でもなくなまえでもなく、他の誰かを見ているようだった。
「誰よりも自分を責めてるのは、本人だろうからね。」
心配そうに言って、ベルトルトはライナーを見た。
ライナーは、悔しそうに唇を噛み俯く。
「どっちにしろ、なまえさんを責めてもいいのは、
エルヴィン団長でもハンジ分隊長でも、ましてやおれ達でもない。
ールルさんだけだ。」
ジャンの言葉がその通り過ぎて、クリスタは胸が潰れそうだった。