◇第三十一話◇壁外調査初日の洗礼
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黄色の煙弾の下は、まさしく地獄絵図と化していた。
仲間の身体が、文字通り、あちこちに転がっている。
そして、彼らの最期の勇士の証拠とばかりに、蒸気を上げる巨人の身体が2体。
「なに…、これ…。どういうこと…。」
地面に大きな穴が幾つも空いていた。
数えられるだけで1,2,3,4,5,6,7-いや、もっと空いていそうだ。
これは一体何なのだ。
最初から空いていて、そこに馬が足をとられてー、いやそれは考えられない。
それなら、馬は怪我をしていそうだが、主人を亡くした彼らは無傷だ。
「先輩達、最後の力を振り絞って、巨人を倒してくれたんだね。」
ルルは馬から下りて、先輩兵士の亡骸にそっと触れる。
その瞳にうっすらと涙が浮かんでいる。
変わり果てた姿にはなっていたが、彼らの顔は見覚えがあった。
右翼索敵を任されるだけの実力を持ったベテラン兵士だ。
そんな彼らが2体の巨人を倒し、力尽くなんてー。
もう少し早く決意していたら、もっと速く馬を走らせる技術が私にあれば、彼らを助けられたかもしれなかったのにー。
私は拳を握り、彼らが命を賭して立ち向かった戦場を見つめ、そしてー。
恐ろしいことに気が付いた。
「違う…!違うっ!!ここは始まりだ!!」
「え?なに?」
「馬に乗ってっ!!」
「待ってよ、先輩達の身体をー。」
「いいから早く!!!」
私の必死の形相に、意味が分からないながらもルルはすぐに馬に乗ってくれた。
多数空いた大きな穴、そして、手練れのベテラン兵士達の戦死が何よりもの証拠。
地獄はこれで終わりじゃない。
「どういうこと!?」
猛スピードで走るテュランになんとか並走し、ルルが叫ぶように訊ねる。
鬼気迫る私の様子に、ただ事ではないことだけは理解しているようだった。
「先輩たちは、最後の力を振り絞って戦ったんじゃない。
巨人を見送ったのよ。追いかけられなかったから。」
「な…!?どういうことよっ!先輩たちは・・・、え?!見送ったって!?」
「緊急事態の煙弾の後に撃たれた作戦遂行不能の煙弾。
あれは、先輩兵士が最期の力を振り絞って撃った右翼後方へのメッセージ。」
「…何てメッセージ?それは…、テュランが辿ってる足跡に関係があるの。」
ルルがゴクリ、と息を呑む。
「逃げて…!お願い、みんな、逃げてて…っ!!」
勇敢な死を迎えた彼らの魂が乗り移ったように、私はひたすら繰り返した。
散らばる命の残骸と幾つも空いた大きな穴、そして、そこから続く幾つもの巨人の大きな足跡ー。
「確認できた穴は7つ。先輩が倒してくれた2体を除いて
少なくともあと5体はいる。この足跡の向こうに…!」
「急ごうっ!!」
私たちは、出来る限り以上の最高速度で向かった。
今度こそ、仲間を助けるためにー。
仲間の身体が、文字通り、あちこちに転がっている。
そして、彼らの最期の勇士の証拠とばかりに、蒸気を上げる巨人の身体が2体。
「なに…、これ…。どういうこと…。」
地面に大きな穴が幾つも空いていた。
数えられるだけで1,2,3,4,5,6,7-いや、もっと空いていそうだ。
これは一体何なのだ。
最初から空いていて、そこに馬が足をとられてー、いやそれは考えられない。
それなら、馬は怪我をしていそうだが、主人を亡くした彼らは無傷だ。
「先輩達、最後の力を振り絞って、巨人を倒してくれたんだね。」
ルルは馬から下りて、先輩兵士の亡骸にそっと触れる。
その瞳にうっすらと涙が浮かんでいる。
変わり果てた姿にはなっていたが、彼らの顔は見覚えがあった。
右翼索敵を任されるだけの実力を持ったベテラン兵士だ。
そんな彼らが2体の巨人を倒し、力尽くなんてー。
もう少し早く決意していたら、もっと速く馬を走らせる技術が私にあれば、彼らを助けられたかもしれなかったのにー。
私は拳を握り、彼らが命を賭して立ち向かった戦場を見つめ、そしてー。
恐ろしいことに気が付いた。
「違う…!違うっ!!ここは始まりだ!!」
「え?なに?」
「馬に乗ってっ!!」
「待ってよ、先輩達の身体をー。」
「いいから早く!!!」
私の必死の形相に、意味が分からないながらもルルはすぐに馬に乗ってくれた。
多数空いた大きな穴、そして、手練れのベテラン兵士達の戦死が何よりもの証拠。
地獄はこれで終わりじゃない。
「どういうこと!?」
猛スピードで走るテュランになんとか並走し、ルルが叫ぶように訊ねる。
鬼気迫る私の様子に、ただ事ではないことだけは理解しているようだった。
「先輩たちは、最後の力を振り絞って戦ったんじゃない。
巨人を見送ったのよ。追いかけられなかったから。」
「な…!?どういうことよっ!先輩たちは・・・、え?!見送ったって!?」
「緊急事態の煙弾の後に撃たれた作戦遂行不能の煙弾。
あれは、先輩兵士が最期の力を振り絞って撃った右翼後方へのメッセージ。」
「…何てメッセージ?それは…、テュランが辿ってる足跡に関係があるの。」
ルルがゴクリ、と息を呑む。
「逃げて…!お願い、みんな、逃げてて…っ!!」
勇敢な死を迎えた彼らの魂が乗り移ったように、私はひたすら繰り返した。
散らばる命の残骸と幾つも空いた大きな穴、そして、そこから続く幾つもの巨人の大きな足跡ー。
「確認できた穴は7つ。先輩が倒してくれた2体を除いて
少なくともあと5体はいる。この足跡の向こうに…!」
「急ごうっ!!」
私たちは、出来る限り以上の最高速度で向かった。
今度こそ、仲間を助けるためにー。