◇第三十話◇悲しいくらい健気な願い
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暗くなった部屋で、ルルのデスクを照らす灯りだけが優しく光っていた。
明日の朝には出発だから早めに寝た方がいいとは言ったのだけれど、手紙に乗せたい想いがたくさんあるのだろう。
そんなことを言っておいて、私もまた、ベッドに寝転んで眠れずにいた。
昨日の夜、意志の強い真っすぐな瞳で私を見たペトラは、お願いを聞いてほしいと言った。
それは、恋する乙女の健気な願いでもあって、調査兵団に身を置く兵士のいじらしいくらい切ない願い。
ペトラは、数日後には命がなくなるかもしれないのなら今のうちに気持ちを伝えたい、と切なそうに胸元を握った。
今まで、彼女は何人も見てきたそうだ。
片想いの相手に気持ちを伝えられないまま散っていった兵士達をー。
相手の重荷になりたくない、と敢えて気持ちを伝えなかった兵士もいた。
でも、最後の最後に後悔している姿を目の当たりにしたこともあったそうだ。
だから、決意したのだとペトラは私を見た。
勇気を出して気持ちを伝えると、そして、もしも気持ちが届かなくても、想い出をたった1つでも胸に持って逝きたいのだとー。
『キス…、してくださいって言ったら、リヴァイ兵長はしてくれるかな?』
ペトラが欲しいのは、リヴァイ兵長の心。
それが叶わないのなら、せめてキスの想い出だけでも欲しいと思う切なくて健気で、苦しい願い。
不安そうに私を見るペトラに、なんて答えたのか覚えていない。
でも、私はペトラの願いを受け入れていた。
痛いくらいに気持ちが分かるから、出来ることならなんだってしたいと思ったのは嘘じゃない。
友人の恋の応援が出来るなら、嬉しいことじゃないかと言う偽善的な自分の心に従った。
『明日の夜、リヴァイ兵長を塔の最上階に呼び出してくれる?』
『私が?』
『自分からはなかなか勇気が出なくて。
でも、なまえが誘ってくれたら、もう逃げられなくなるでしょ?』
『そうかもしれないけど…でも…。』
『どうしたの?私がリヴァイ兵長に告白するのが嫌なの?』
『え!?ま、まさかっ!!』
『それなら、お願いっ。ね?友達でしょ?』
『うん…、わかった。』
了承してしまったときのことを思い出しては後悔して、ペトラの気持ちを聞いたリヴァイ兵長は何て答えたのだろうとたくさんの妄想に打ちのめされる。
そんな愚かなことばかりをずっと繰り返している。
塔の最上階、扉を開けたリヴァイ兵長は、そこで待っているのがペトラで驚いただろう。
その後、彼の心を支配したのは、どんな感情だろう。
嬉しかっただろうか。残念だと思っただろうか。
相当な鈍感でない限り、あんな誘い方をすれば、大切な話が何なのか予想出来ただろうから。
『気持ちを伝えたいからって誘って欲しいの。』
『そんな風に言ったら、告白だって分かるんじゃないの?』
『それでいいの。』
『よくないよ!だって、私が…告白すると思われるよ。
ペトラは、いいの?』
『それでいいの。なまえには、悪いけど。
リヴァイ兵長には、告白されてもいいかを判断してもらいたいから。』
『告白されてもいいか?』
『壁外調査前に、誰かに気持ちを伝えられるのって、結構重いんだよね…。
私も経験あるから分かるんだけど。こっちの気持ちの準備もないときに
自分の気持ちだけをぶつけられたらツラいっていうか…。』
ペトラの言っていることは、なんとなく分かる気がした。
相手の重荷になりたくないからと気持ちを伝えずに死んでいった兵士達も、きっと同じだろう。
自分の想いは伝えたいけれど、重荷にはならないように精一杯の配慮をしたペトラと、重荷を背負う覚悟をして約束を受け入れてくれただろうリヴァイ兵長。
2人は優しくて、強くて、お似合いだー。
でも、私は、ペトラにもリヴァイ兵長にも嘘をついて、そしてー。
(いやだ…。2人が恋人になるなんて、いやだ…。)
頭と心がついに気持ちをひとつにしてしまって、どうしようもない現状を嘆いた唇が、自分に噛みつく。
告白はもう終わって、部屋に戻っているだろう。
2人は今夜、どんな夢を見るのだろう。
願わくば、あぁー。
明日の朝には出発だから早めに寝た方がいいとは言ったのだけれど、手紙に乗せたい想いがたくさんあるのだろう。
そんなことを言っておいて、私もまた、ベッドに寝転んで眠れずにいた。
昨日の夜、意志の強い真っすぐな瞳で私を見たペトラは、お願いを聞いてほしいと言った。
それは、恋する乙女の健気な願いでもあって、調査兵団に身を置く兵士のいじらしいくらい切ない願い。
ペトラは、数日後には命がなくなるかもしれないのなら今のうちに気持ちを伝えたい、と切なそうに胸元を握った。
今まで、彼女は何人も見てきたそうだ。
片想いの相手に気持ちを伝えられないまま散っていった兵士達をー。
相手の重荷になりたくない、と敢えて気持ちを伝えなかった兵士もいた。
でも、最後の最後に後悔している姿を目の当たりにしたこともあったそうだ。
だから、決意したのだとペトラは私を見た。
勇気を出して気持ちを伝えると、そして、もしも気持ちが届かなくても、想い出をたった1つでも胸に持って逝きたいのだとー。
『キス…、してくださいって言ったら、リヴァイ兵長はしてくれるかな?』
ペトラが欲しいのは、リヴァイ兵長の心。
それが叶わないのなら、せめてキスの想い出だけでも欲しいと思う切なくて健気で、苦しい願い。
不安そうに私を見るペトラに、なんて答えたのか覚えていない。
でも、私はペトラの願いを受け入れていた。
痛いくらいに気持ちが分かるから、出来ることならなんだってしたいと思ったのは嘘じゃない。
友人の恋の応援が出来るなら、嬉しいことじゃないかと言う偽善的な自分の心に従った。
『明日の夜、リヴァイ兵長を塔の最上階に呼び出してくれる?』
『私が?』
『自分からはなかなか勇気が出なくて。
でも、なまえが誘ってくれたら、もう逃げられなくなるでしょ?』
『そうかもしれないけど…でも…。』
『どうしたの?私がリヴァイ兵長に告白するのが嫌なの?』
『え!?ま、まさかっ!!』
『それなら、お願いっ。ね?友達でしょ?』
『うん…、わかった。』
了承してしまったときのことを思い出しては後悔して、ペトラの気持ちを聞いたリヴァイ兵長は何て答えたのだろうとたくさんの妄想に打ちのめされる。
そんな愚かなことばかりをずっと繰り返している。
塔の最上階、扉を開けたリヴァイ兵長は、そこで待っているのがペトラで驚いただろう。
その後、彼の心を支配したのは、どんな感情だろう。
嬉しかっただろうか。残念だと思っただろうか。
相当な鈍感でない限り、あんな誘い方をすれば、大切な話が何なのか予想出来ただろうから。
『気持ちを伝えたいからって誘って欲しいの。』
『そんな風に言ったら、告白だって分かるんじゃないの?』
『それでいいの。』
『よくないよ!だって、私が…告白すると思われるよ。
ペトラは、いいの?』
『それでいいの。なまえには、悪いけど。
リヴァイ兵長には、告白されてもいいかを判断してもらいたいから。』
『告白されてもいいか?』
『壁外調査前に、誰かに気持ちを伝えられるのって、結構重いんだよね…。
私も経験あるから分かるんだけど。こっちの気持ちの準備もないときに
自分の気持ちだけをぶつけられたらツラいっていうか…。』
ペトラの言っていることは、なんとなく分かる気がした。
相手の重荷になりたくないからと気持ちを伝えずに死んでいった兵士達も、きっと同じだろう。
自分の想いは伝えたいけれど、重荷にはならないように精一杯の配慮をしたペトラと、重荷を背負う覚悟をして約束を受け入れてくれただろうリヴァイ兵長。
2人は優しくて、強くて、お似合いだー。
でも、私は、ペトラにもリヴァイ兵長にも嘘をついて、そしてー。
(いやだ…。2人が恋人になるなんて、いやだ…。)
頭と心がついに気持ちをひとつにしてしまって、どうしようもない現状を嘆いた唇が、自分に噛みつく。
告白はもう終わって、部屋に戻っているだろう。
2人は今夜、どんな夢を見るのだろう。
願わくば、あぁー。