◇第六話◇悪魔と呼ばれる姫
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「悪魔だよ、悪魔!あの女こそ本物の悪魔だった!!」
あれほどまでに性格の悪い女は見たことがない———と、ジャンが息を巻く。
アズマビト邸にて、調査兵団は、大部屋を用意してもらい、会議室として使用している。
翌日の朝、パーティー会場へ偵察に出ていたリヴァイ達から話を聞くため、調査兵達はその会議室へ集まっていた。
エルヴィンから釣果を訊ねられ、参加していた要人達の様子の報告もそこそこに、ジャンが最も熱く語ったのは、なまえに起きた出来事のことだった。
「へぇ。綺麗な顔して、やることえげつねぇな。」
素直な感想を漏らすエレンに、ジャンが、その通りなのだと何度も何度も頷く。
いつも意見が対立しあう二人が珍しく意気投合しているそばで、サシャがハッとしたように口を開いた。
「もしかして、ここの屋敷の使用人さん達が、異様に礼儀正しくて
廊下でもすぐに頭を下げて動かなくなるのって、お嬢様にクビにされないためですか…!?」
「もしかしなくても、そうだろうな。」
素っ気なく答えたのは、リヴァイだった。
脚をくんで、ソファの背もたれに寄りかかり、彼をじっと凝視している。
エルヴィンの反応や出方を待っているのだろう。
「僕も、そう思うよ。あの時、一緒にパーティーについてきてた使用人達は、
お嬢様のドレスがワインで汚れた時、誰よりも顔色を真っ青にして震えてたんだ。」
「あれと似たようなことがこの屋敷でも何度もあったんだろうな。」
「そうやって辞めさせられて、地獄に落とされた仲間が何人もいたってことか。」
「うん、そうだろうね。だから、皆、彼女に怯えてるんだ。
失敗したら、次は自分の番だって。」
俯くアルミンの声は少しずつ萎んでいく。
調査兵団を重たい空気が包み込む。
自分達が抱えている問題が、単純な人間関係で出来ているとは思っていない。
ただ、マーレの世界で、辛い思いをしているのはエルディアの血を引くものだけなのだと思っていたのだ。
でも、そんなわけはない。
この残酷な世界に産み落とされた誰もが、それぞれの枷を抱えてなんとか生きているのだから———。
あれほどまでに性格の悪い女は見たことがない———と、ジャンが息を巻く。
アズマビト邸にて、調査兵団は、大部屋を用意してもらい、会議室として使用している。
翌日の朝、パーティー会場へ偵察に出ていたリヴァイ達から話を聞くため、調査兵達はその会議室へ集まっていた。
エルヴィンから釣果を訊ねられ、参加していた要人達の様子の報告もそこそこに、ジャンが最も熱く語ったのは、なまえに起きた出来事のことだった。
「へぇ。綺麗な顔して、やることえげつねぇな。」
素直な感想を漏らすエレンに、ジャンが、その通りなのだと何度も何度も頷く。
いつも意見が対立しあう二人が珍しく意気投合しているそばで、サシャがハッとしたように口を開いた。
「もしかして、ここの屋敷の使用人さん達が、異様に礼儀正しくて
廊下でもすぐに頭を下げて動かなくなるのって、お嬢様にクビにされないためですか…!?」
「もしかしなくても、そうだろうな。」
素っ気なく答えたのは、リヴァイだった。
脚をくんで、ソファの背もたれに寄りかかり、彼をじっと凝視している。
エルヴィンの反応や出方を待っているのだろう。
「僕も、そう思うよ。あの時、一緒にパーティーについてきてた使用人達は、
お嬢様のドレスがワインで汚れた時、誰よりも顔色を真っ青にして震えてたんだ。」
「あれと似たようなことがこの屋敷でも何度もあったんだろうな。」
「そうやって辞めさせられて、地獄に落とされた仲間が何人もいたってことか。」
「うん、そうだろうね。だから、皆、彼女に怯えてるんだ。
失敗したら、次は自分の番だって。」
俯くアルミンの声は少しずつ萎んでいく。
調査兵団を重たい空気が包み込む。
自分達が抱えている問題が、単純な人間関係で出来ているとは思っていない。
ただ、マーレの世界で、辛い思いをしているのはエルディアの血を引くものだけなのだと思っていたのだ。
でも、そんなわけはない。
この残酷な世界に産み落とされた誰もが、それぞれの枷を抱えてなんとか生きているのだから———。