Q15. あることないこと言い触らすのはやめてくれますか?
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「ふぅ…。」
最後の一文字を書き終えて、私は息を吐いた。
肩の力が抜けて、このままぼんやりと過ごしてしまいたい気持ちになる。
本当なら午後からはお休みだった今日、急遽仕事が入ったのは数日前だった。
エルヴィン団長から頼まれた新しい仕事は、駐屯兵団の献立作成だ。
どうやら、前回の駐屯兵団との合同会議の際に、雑談の話題として、調査兵団に調理師が入ったことをエルヴィン団長がピクシス司令に話したようだった。
興味を持ったピクシス司令は、是非うちにも欲しいと言い出し、週の半分ずつで調理師兼栄養管理士をシェアすることを提案したようだが、調査兵達の体調管理も任されている身として、私は日々彼らの小さな変化も見逃さないように兵舎で生活するようにしている。
エルヴィン団長からも、いくらピクシス司令の頼みでもそれは受け入れられないとお断りを入れた結果、私が駐屯兵団の献立作成を任されることに決まってしまったと聞いた。エルヴィン団長とピクシス司令のそれぞれ譲歩し合った解決案というところだろう。
駐屯兵団は、調査兵団のように資金繰りに苦しんでいるわけでもないのだから、新しく調理師を雇えばいいのにと思わないわけでもない。兵士達の体調を食事面からサポートしたいということなら、栄養管理士でもいい。私のように、どちらの資格も持っている者も探せば見つかるはずだ。
でも、駐屯兵団から、私への給料と別に調査兵団にも借料が払われるようなので、真相は、エルヴィン団長の天才的な口車にピクシス司令が乗ってしまったということなのかもしれない。
もうしばらくぼーっとしていたかったけれど、時計を見ると約束の時間まであと30分しかないことに気づいてしまった。
慌てて、作成したばかりの献立表に問題がないかを確認する。
時間をかけて確認しながら作成したおかげか、特に問題も見つからず、私はまたホッと息を吐く。
けれど、今度はもう、のんびりとする時間はない。
デスクの上を片付けた私は、献立表と栄養表等の必要書類を大きめの封筒に入れると、急いで部屋を出た。
兵舎の正面玄関が近づくにつれて、廊下にいる調査兵の数も多くなってくる。
そうなると、増えてくるのは、痛いくらいの視線だ。
「ほら、あれ・・・・。」
「・・・・って、・・・・なんでしょ?」
「リヴァイ兵長って・・・・。」
「もう・・・。」
「信じられない。」
好奇心旺盛の瞳や、嫉妬心を宿す険しい瞳、疑い深い瞳が、あちこちから私に向けられる。そして、途切れ途切れに漏れ聞こえてくる声から察するに、どうやら私とリヴァイ兵長が恋人になったという噂が、あっという間に調査兵団の兵舎に広まっているようだった。
リヴァイ兵長が出張に出た翌日から数日、こんな日々がずっと続いている。
(またか…。)
極力、気にしないようにと努めているけれど、心の中で漏れるため息は止められない。
初めのうちは、恋人ということを公言してもいいと許可が出たリヴァイ兵長が言いふらしているのだと思っていた。
でも、よく考えれば、あの日にそのまま出張に出たリヴァイ兵長が、仲間達に、私との訳の分からない恋人という関係について、言いふらす時間なんてあるわけがなかった。
どうやら、あの日の調査兵が『なまえがリヴァイ兵長の女になった。アレに手を出すとぶっ殺されるぞ。』というようなことを至る所で喋っているようだ。不倫女だの、売女だの、身体だけの付き合いだの、とあることないことを仲間達に吹き込んだ結果がこの痛い視線の原因らしい。
それにしても、お互いに結婚してるわけでもないのに不倫と言われるのも意味が分からないし、リヴァイ兵長ほどの男性が私なんかを身体目当てで誘うわけがないと、少し考えれば分かるはずなのに、調査兵達は一体どうしてしまったのだろう。
「はぁ…。」
兵舎を出た私は、突き刺さるような視線から漸く解放されてホッと息を吐いた。
最後の一文字を書き終えて、私は息を吐いた。
肩の力が抜けて、このままぼんやりと過ごしてしまいたい気持ちになる。
本当なら午後からはお休みだった今日、急遽仕事が入ったのは数日前だった。
エルヴィン団長から頼まれた新しい仕事は、駐屯兵団の献立作成だ。
どうやら、前回の駐屯兵団との合同会議の際に、雑談の話題として、調査兵団に調理師が入ったことをエルヴィン団長がピクシス司令に話したようだった。
興味を持ったピクシス司令は、是非うちにも欲しいと言い出し、週の半分ずつで調理師兼栄養管理士をシェアすることを提案したようだが、調査兵達の体調管理も任されている身として、私は日々彼らの小さな変化も見逃さないように兵舎で生活するようにしている。
エルヴィン団長からも、いくらピクシス司令の頼みでもそれは受け入れられないとお断りを入れた結果、私が駐屯兵団の献立作成を任されることに決まってしまったと聞いた。エルヴィン団長とピクシス司令のそれぞれ譲歩し合った解決案というところだろう。
駐屯兵団は、調査兵団のように資金繰りに苦しんでいるわけでもないのだから、新しく調理師を雇えばいいのにと思わないわけでもない。兵士達の体調を食事面からサポートしたいということなら、栄養管理士でもいい。私のように、どちらの資格も持っている者も探せば見つかるはずだ。
でも、駐屯兵団から、私への給料と別に調査兵団にも借料が払われるようなので、真相は、エルヴィン団長の天才的な口車にピクシス司令が乗ってしまったということなのかもしれない。
もうしばらくぼーっとしていたかったけれど、時計を見ると約束の時間まであと30分しかないことに気づいてしまった。
慌てて、作成したばかりの献立表に問題がないかを確認する。
時間をかけて確認しながら作成したおかげか、特に問題も見つからず、私はまたホッと息を吐く。
けれど、今度はもう、のんびりとする時間はない。
デスクの上を片付けた私は、献立表と栄養表等の必要書類を大きめの封筒に入れると、急いで部屋を出た。
兵舎の正面玄関が近づくにつれて、廊下にいる調査兵の数も多くなってくる。
そうなると、増えてくるのは、痛いくらいの視線だ。
「ほら、あれ・・・・。」
「・・・・って、・・・・なんでしょ?」
「リヴァイ兵長って・・・・。」
「もう・・・。」
「信じられない。」
好奇心旺盛の瞳や、嫉妬心を宿す険しい瞳、疑い深い瞳が、あちこちから私に向けられる。そして、途切れ途切れに漏れ聞こえてくる声から察するに、どうやら私とリヴァイ兵長が恋人になったという噂が、あっという間に調査兵団の兵舎に広まっているようだった。
リヴァイ兵長が出張に出た翌日から数日、こんな日々がずっと続いている。
(またか…。)
極力、気にしないようにと努めているけれど、心の中で漏れるため息は止められない。
初めのうちは、恋人ということを公言してもいいと許可が出たリヴァイ兵長が言いふらしているのだと思っていた。
でも、よく考えれば、あの日にそのまま出張に出たリヴァイ兵長が、仲間達に、私との訳の分からない恋人という関係について、言いふらす時間なんてあるわけがなかった。
どうやら、あの日の調査兵が『なまえがリヴァイ兵長の女になった。アレに手を出すとぶっ殺されるぞ。』というようなことを至る所で喋っているようだ。不倫女だの、売女だの、身体だけの付き合いだの、とあることないことを仲間達に吹き込んだ結果がこの痛い視線の原因らしい。
それにしても、お互いに結婚してるわけでもないのに不倫と言われるのも意味が分からないし、リヴァイ兵長ほどの男性が私なんかを身体目当てで誘うわけがないと、少し考えれば分かるはずなのに、調査兵達は一体どうしてしまったのだろう。
「はぁ…。」
兵舎を出た私は、突き刺さるような視線から漸く解放されてホッと息を吐いた。